27日(日)。昨日の朝日朝刊のコラム「多事奏論」に同社天草支局長の近藤康太郎氏が「表現者の覚悟『書きたくないものは、書かない』」という見出しのもと エッセイを寄せています 近藤氏は九州・天草で朝日新聞の天草支局長を務めながら、水田で米作りをしたり猟師をしたり他の新聞社の若手の指導をしたりしているユニークな新聞人です エッセイの後半部分で音楽について触れているので、その部分をご紹介します
「ウクライナ侵攻のあおりで、ロシア人芸術家が活動の場を狭められている 自国政権への態度を明確に示さないと、欧米などでは仕事を外される 大スターのソプラノ歌手アンナ・ネトレプコも、今季、米メトロポリタン歌劇場での仕事がキャンセルされた 鮮明に『反プーチン』を表明しないからだ。民間人も殺す陰惨な侵略で、劇場のこの対応には、多くの人が納得しているのかもしれない。ネトレプコは声明を出している。『第一にわたしはこの戦争に反対です。わたしはロシア人で祖国を愛していますが、ウクライナにも友人がいます 彼らの悲しみと被害に自分の胸もつぶれている』『それでも、わたしはもうひとつ、付け加えなければならないのです。アーティストに政治的な意見を表明するよう強制するのは、正しいことではありません』。平和は尊い。独裁は悪だ。あたりまえである。というか、だれも反対しようのない命題ではないか。しかし、なにかを言うこと、書くことを、強制されたくはない。たとえどんなに正しいことであっても、だ。それがアーティストの、表現者の、底の底にある気骨ではないか。言うべきことは、言いたいときに、言いたい表現形式で、言う」
近藤氏のご指摘の通りです。それが「言論の自由」というものでしょう もちろん、「言論の自由」とは「言いたいことを言う、書きたいことを書く」自由であるとともに、「言いたくないことは言わない、書きたくないことは書かない」自由でもあります しかし、その前提条件として「言論の自由」が保障されていなければなりません 今のロシアに言論の自由はあるのか 中国には 北朝鮮には
ということで、わが家に来てから今日で2633日目を迎え、ロシア軍は25日、クリール諸島(北方領土と千島列島)で3千人以上が参加する軍事演習を開始したと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ウクライナ問題で対ロシア制裁を課してる日本が気に食わないようだ 小心者だな
昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィルの第350回定期演奏会を聴きました プログラムはマーラー「交響曲第9番ニ長調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1909年から翌10年にかけて作曲、1912年にウィーンで初演されました 第1楽章「アンダンテ・コーモド」、第2楽章「穏やかなレントラーのテンポで、いくぶん歩くように、そして極めて粗野に」、第3楽章「ロンド ~ ブルレスケ:アレグロ・アッサイ、きわめて反抗的に」、第4楽章「アダージョ:非常にゆっくりと、抑えて」の4楽章から成ります
先日の定期演奏会の時に、定期会員で隣席のままははさんがチケットを譲ってくださったので(ままははさん、ありがとうございました)kiriokaさんをお誘いしました
開演20分前から指揮者・高関健氏によるプレトークがありました 「今回の定期演奏会は第350回だが、そのうち300回は指揮をしてきた マーラーの交響曲第9番を初めて聴いたのは1970年のバースタイン指揮ニューヨーク・フィルの来日公演で、当時中学3年だったが心の底から感動を覚え、さっそくスコアを買い求めて勉強したが、さっぱり分からなかった その後、バーンスタインやカラヤンの演奏を身近で聴く機会があり、2人の作品に対するアプローチ方法の違いを知ることができた 今回の演奏にあたっては、2人の演奏を(CD等で)聴かず、スコアだけを頼りに指揮を執ることにした 最新のスコア研究の成果を演奏に反映させるので、普段聴き慣れた曲想と違うように感じる箇所もあるかもしれない ご覧の通り、ステージ上には収音マイクが何本も立てられている。録音していずれ(CDで)皆さまにお届けできると思う というわけで、ケータイ等の電源を予め切っていただきたい」との話がありました
周囲を見回したkiriokaさん「男の人が多いんですね」。私は「マーラーやブルックナーの交響曲の時は男性客が圧倒的に多くなり、男性トイレに長蛇の列ができます その一方、反田恭平やかてぃんが出演する時は女性トイレに長蛇の列ができます」と答えました。プレトーク終了後、本番までの時間にはその言葉通り男子トイレに長蛇の列が出来ました 会場はいつもの定期演奏会よりも圧倒的に多い客入りです 高関健のマーラーですから当然です
拍手の中、楽団員が配置に着きます 弦は14型で左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは戸澤哲夫です
高関氏の指揮で演奏に入りますが、全体を通して弦楽器群の渾身の演奏に心打たれます 今回はとくに上手に位置した第2ヴァイオリンの活躍が目覚ましく、対抗配置にした意味が生かされていました フルートの竹山愛をはじめとする木管楽器愚群が素晴らしい演奏を展開、トロンボーン、トランペット、ホルン、チューバといった金管楽器群も厚みのある演奏を繰り広げていました また、ティンパニを中心とする打楽器群も迫力ある演奏を展開しました 第3楽章終了後、しばらく間を空けてから 気持ち新たに臨んだ第4楽章「アダージョ」では、弦楽器群の集中力に満ちた渾身の演奏が心に沁みました
ピアニッシモで演奏が終わり、しばしのしじまの後、満場の拍手とスタンディングオベーションが高関 ✕ シティ・フィルの面々に送られました シティ・フィルは平均年齢が若いオケですが、一生懸命演奏する姿に応援したくなります このオケにはそういうファンが多いようです。素晴らしい演奏でした
久しぶりにKiriokaさんとお会いできたので、終演後 オペラシティ地下のブリティッシュ・パブで生ビールを飲んで歓談しました 腰痛のためお正月以降アルコールは控えていましたが、痛みも大分和らいできたので、この日解禁にしました ネトレプコのMET降板の話やら、N響や読響のコンサートの話やら、彼女の教えているピアノ教室の話やら、気が付いたら2時間以上も話し込んでいました 来月、オペレッタ「こうもり」の映画を観に行きましょうと約束してお別れしました。楽しい時間はあっという間に過ぎ去ります