4日(金)。東京フィルのホームページ(3月1日付)によると、「特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフは、3月定期演奏会のため来日いたしました。これより待期期間に入り、公演に臨みます」とあります その下に「※ 今後の状況により、出演者・曲目などが変更になる場合や公演中止とさせていただく場合もございます。公演中止の場合を除き、お求めいただいたチケットの払戻・変更等はいたしませんので、予めご了承ください」と書かれています プレトニョフ氏は3月10日、11日、13日の3日間、スメタナ:連作交響詩「わが祖国」全曲を演奏することになっていますが、気になるのは「今後の状況により~公演中止とさせていただく」という文面です 通常は 新型コロナ・オミクロン株の感染拡大に伴う外国人の入国制限措置などを理由に、「都合により曲目、出演者等が一部変更される場合がございます」というような一般的な書き方が多いようですが、わざわざ「今後の状況により」と書いているのは、ロシアのウクライナへの侵攻の影響で、ロシア出身のプレトニョフ氏の出演に支障が出る恐れがある、ということを暗示しているように思えます ウクライナ情勢はまったく先が見通せませんが、プレトニョフ氏はすでに来日しており、これからリハーサルに入ろうとしているので、予定通り3公演とも指揮を執ってほしいと思います
ということで、わが家に来てから今日で2610日目を迎え、昨年1月6日の米連邦議会議事堂占拠事件を調査している米下院特別委員会は2日、トランプ前大統領が大統領選の結果を覆すために犯罪行為に関与した疑いがあり、そう結論できる誠実が根拠があるとの見解を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプ党の支持者以外の米国民は みんなトランプが犯罪者だと確信しているよ
昨夜、サントリーホールで読売日響「第650回名曲シリーズ」を聴きました これは2月19日(土)の読響「土曜マチネーシリーズ」公演が東京シティ・フィル定期公演と重なってしまったため、振替制度のある読響の方をこの日に振り替えたものです プログラムは①コルンゴルト「シュトラウシアーナ」、②グルダ「チェロ協奏曲」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 ”新世界より”」です 演奏は②のチェロ独奏=横坂源(エドガー・モローの代役)、指揮=山田和樹です
上記の振り替えの結果、2日連続で「新世界交響曲」を聴くことになりました たまにはこういうこともあります
振り替え先の席は2階C9列と、いささかステージからは遠い席です
オケのメンバーが配置に着きます 弦は左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後方にコントラバスという対抗配置。コンマスは林悠介です
1曲目はコルンゴルト「シュトラウシアーナ」です この曲はエーリッヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(1897‐1957)が1953年に作曲、同年11月22日、米カリフォルニア州イングルウッドで初演されました タイトルの通り、同郷オーストリアの先輩作曲家ヨハン・シュトラウス2世の曲を題材として3つの部分から成る作品に仕上げました 第1部「ポルカ」、第2部「マズルカ」、第3部「ワルツ」です
山田の指揮で第1曲「ポルカ」が弦楽器のピッツィカートで開始されます 全体として「ピッツィカート・ポルカ」によく似た曲想です 第2曲「マズルカ」は演奏に乗せてバレエを踊り出してもおかしくない曲想です 第3曲「ワルツ」はまさにシュトラウスのワルツそのものを一層華麗に転身させたような曲想です 鈴木康浩と柳瀬省太の2人のソロ・ヴィオラが実に楽しそうにノリノリで演奏しているのが印象的でした
ここで、弦楽奏者が全員舞台袖に引き上げ、彼らの椅子も撤去され、次の曲の準備に入ります
2曲目はグルダ「チェロ協奏曲」です この曲はウィーン出身のピアニストで作曲家のフリードリヒ・グルダ(1930-2000)がチェリストのハインリヒ・シフの依頼により1980年に作曲、1981年10月9日にウィーンで初演された作品です 第1楽章「序曲」、第2楽章「牧歌」、第3楽章「カデンツァ」、第4楽章「メヌエット」、第5楽章「行進曲風終曲」の5楽章から成ります
指揮者の下手に独奏チェロの横坂源が、上手にドラム・セット、ギター、ジャズベースがスタンバイし、後方に管楽奏者が所定の位置に並びます。横坂の前には拡声マイクが設置されています
山田の指揮で第1楽章に入ります 油断して聴いていたら、「これ、ロックじゃん」というノリの曲です クラシックのクの字もありません。「それがどうした?」と、眼鏡の奥でウインクするグルダのとぼけた顔が頭に浮かびます 第2楽章「牧歌」はホルンの豊かな響きが会場を満たし、「これがクラシックだよな」とちょっと安心します 中間部の民俗音楽レントラーはオーボエとクラリネットの演奏が素晴らしかった 第3楽章「カデンツァ」はタイトル通り、独奏チェロの超絶技巧の演奏が延々と続きます この楽章はちょっと長過ぎると感じました 第4楽章「メヌエット」は古い舞曲のような響きです 第5楽章「行進曲風終曲」はロックとジャズが入り乱れたような、もっと言えばブラスバンドでマーチを大音響で聴いているような曲想でした 横坂源の超絶技巧による超高速演奏には唖然としました
満場の拍手に横坂は、超スローペースな音楽と超スピーディーな音楽が交互に弾かれる超絶技巧曲、ソッリマ「アローン」を演奏し、聴衆を興奮の坩堝に引き込みました
プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 ”新世界より”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)がニューヨークの私立ナショナル音楽院の院長を務めている間(1892~95年)の1893年1月に第1~第3楽章のスケッチを終え、5月24日に全曲を完成、同年12月16日にニューヨークで初演されました ドヴォルザークはアメリカの黒人霊歌や先住民の音楽から刺激を受けながら、望郷の念をこの曲に結実させました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります
第1楽章の演奏に入りますが、山田の指揮はテンポをかなり動かして起伏の大きな演奏を展開します このスタイルは誰かに似ているな、と思って改めてプログラム冊子に掲載の彼のプロフィールを見たら「東京藝大で小林研一郎に師事」とありました。なぞが解けました 音楽づくりがよく似ています 第2楽章は誰が何と言ってもイングリッシュホルンによる「家路」のテーマです 独奏は北村貴子だと思いますが(遠くてよく見えない)、素晴らしい演奏でした 第3楽章は弦楽器群の渾身の演奏がテンポよく迫ってきます ホルンが冴えています 第4楽章ではトランペット、トロンボーンの胸のすくような演奏が素晴らしい また、16型ということもあって、弦楽器群の美しくも迫力ある演奏が強く印象に残りました
山田の指揮は全体的にテンポ感がよく、ドラマティックな曲作りが際立っていました