3日(日)。わが家に来てから今日で2730日目を迎え、ロシアのプーチン大統領が 極東の資源開発事業「サハリン2」の運営を新会社に移管するよう命じる大統領令に署名したことにより、同事業に参画する三井物産と三菱商事はロシア側の条件をのまないと株主として残れない事態に発展した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
これで 信用できないロシアを相手に 今後一切商売はできないことがはっきりした
昨日、新国立劇場「オペラパレス」でドビュッシー「ペレアスとメリザンド」のプルミエ(初日)公演を観ました 出演はペレアス=ベルナール・リヒター、メリザンド=カレン・ヴルシュ、ゴロー=ロラン・ナウリ、アルケル王=妻屋秀和、ジュヌヴィエーヴ=浜田理恵、イニョルド=九嶋香奈枝、医師=河野鉄平。合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=大野和士、演出=ケイテイ・ミッチェルです
実は、私が生まれて初めてナマのオペラ公演を観たのは、モーツアルトでもなく、ヴェルディでもなく、このドビュッシー「ペレアスとメリザンド」でした 20代前半のことだったのでジュラ紀や白亜紀よりも後だったと思います 小学校から高校まで同級だったY君の2つ歳上の美人のお姉さんに誘われて、東京文化会館に2人で観に行ったのです 彼女は普通高校から私立M音大に現役で入学し、卒業後は藤原歌劇団に入って歌の研鑽を積んでいました 残念ながら 誰の指揮で どこのオケで 誰が歌ったのか 全く覚えていません ただ、歳上のおねいさんの隣席でドキドキしながら舞台を観たのをうっすらと覚えています
歌劇「ペレアスとメリザンド」はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)がメーテルリンクの同名戯曲をもとに、1893年から95年にかけて作曲(その後1901年~02年に改訂)、1902年にパリのオペラ・コミック座で初演された作曲者唯一のオペラです
王の孫ゴローは、異父弟ペレアスの取り計らいで森で出会った女性メリザンドと結婚する ペレアスはメリザンドに惹かれるが、それを見ていたゴローはペレアスを咎め、メリザンドが妊娠していることを伝える。旅立ちを決意したペレアスは、出発前夜にメリザンドと落ち合い、互いに愛を告白しあう そこへゴローが現れ、ペレアスを剣で刺す 寝台に臥したメリザンドは女子を授かる。メリザンドはペレアスへの愛を認めたものの、不貞は否定し、生まれた子どもの傍らで息を引き取る
全く予備知識なしにこの公演を観たら多分 面食らうと思います 何しろあらゆる場面でメリザンドが2人出てくるからです ケイテイ・ミッチェルの演出は、舞台を現代に移した上で、メリザンドが夢を見ているという設定になっており、夢を見ているメリザンドの視点から描いているので、彼女が本来登場しない場面でも、彼女が傍観者として常に存在している演出になっているのです
本公演はエクサンプロヴァンス音楽祭、ポーランド国立歌劇場の共同制作によるものです ケイテイ・ミッチェルは演劇とオペラの分野で活躍するイギリス人演出家で、ロイヤル・シェイクスピア・シアター、ロイヤル・コート劇場、ナショナルシアターでアソシエイト・ディレクターを務めています
このオペラは全5幕から成りますが、本公演では第1幕~第3幕、休憩、第4幕~5幕という構成により上演されました 全幕を通して感じたのは演劇的な手法です 舞台を上下左右に分割し、見えるところで歌と演技を、見えないところで次のシーンの準備を行い、舞台転換をスムーズにしています 明るい世界と暗い世界の描き方も鮮やかです
ペレアスを歌ったベルナール・リヒターはスイス出身の若手のテノールで、世界の歌劇場で歌っています ペレアスは最も得意とする役だそうですが、少年のような未熟な青年を見事に歌い演じていました
メリザンドを歌ったカレン・ヴルシュはフランス出身のソプラノです 現代曲を得意としているとのことですが、美しいフランス語で聴衆を魅了しました
ゴローを歌ったロラン・ナウリはフランス出身のバリトンです バロックから現代オペラまで約40に及ぶレパートリーを持ち、世界のオペラ劇場を席巻しています ベテランらしく存在感抜群の歌唱力でした なお、パートナーはソプラノのナタリー・デセイとのことです
アルケル王を歌った妻屋秀和は新国立劇場ではなくてはならないバスです 何を歌っても安定感がありますが、今回も期待を裏切りませんでした
ジュヌヴィエーヴを歌った浜田理恵は第19回パリ国際声楽コンクールオペラ部門第1位の経歴を持つなど、フランス・オペラには定評があります 美しいフランス語による歌唱が印象に残りました
イニョルドを歌った九嶋香奈枝は新国立オペラ「魔笛」のパパゲーナの歌唱と演技が記憶に新しいソプラノです 今回は少年役ということですが、父親に怯える少年を見事に演じました
大野和士指揮東京フィルは歌手に寄り添いつつ、自らも流れるようなドビュッシーの音楽を神秘的に、そして情緒豊かに演奏しました
ところで、第3幕の途中で、2階左サイド前方(あるいは1階左サイド後方)の客席から、大きな男声の絶叫が聴こえました 「こらー!」とも「あー!」とも聴こえましたが、あれはいったい何だったのか 舞台の場面がベッド上の絡みのシーンだったので、一瞬「これも演出か?」と思いましたが、事前アナウンスで「ブラボー等の掛け声はお止めください」と警告しているくらいなので、演出家が約束事を反故にする演出をする訳がないと思い直しました あの絶叫が演出かどうかを確かめる唯一の方法は、もう一度本公演を観ることです 同じ場面で絶叫が聴こえれば演出だったことになるはずです しかし、私には名探偵コナンのような余裕はありません どなたか、2回目以降の公演を観る方は、確かめて教えていただけると嬉しいです