人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

高野麻衣著「F ショパンとリスト」を読む ~ 故郷を追われたショパンは誰にも明かせない秘密を抱えていた。リストはそれを受け入れ共有した

2022年07月16日 07時14分23秒 | 日記

16日(土)。新型コロナウイルスワクチンの4回目接種券が届いていたので、ウエブサイトから予約を入れました 3回目接種日から5か月以上後に接種できるので、私の場合は7月22日以降が接種可能です。手帳を見ると7月中はコンサートが詰まっているので8月にしました 場所は豊島区役所1階の接種会場です。予約状況を検索すると、ファイザーは接種可能日が多いのにモデルナは少ないことが分かりました しかし、私はこれまで3回ともモデルナだったので4回目もモデルナにしました。深い考えはありません 8月も第2週までかなりコンサートの予定が入っているので第3週の18日(木)午前9時からを予約しました

ということで、わが家に来てから今日で2743日目を迎え、ブリンケン米国務長官は13日、ロシアが侵攻を続けるウクライナで26万人の子どもを含む90万~160万人を支配地域などに強制連行したとの推計を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     日本人を拉致した北朝鮮とどこが違う? 人口が少ない小国ロシアは人が欲しいんだ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「キャベツと魚肉ソーセージのスープ」を作りました チキンステーキは久しぶりですが、ソフトで美味しく出来ました ただ、スープについては娘から「魚肉ソーセージでは脂が出ないじゃない?」とクレームが付いたので、次回はウインナとかハムにしようと思います

 

     

 

デザートに、先日高校時代の友人たちと箱根旅行に行ってきた娘のお土産「栗饅頭 月のうさぎ」をいただきました 大きな栗がそのまま入っていてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

高野麻衣著「F  ショパンとリスト」(集英社文庫)を読み終わりました 高野麻衣は新潟県出身。上智大学文学部史学科卒業。音楽雑誌記者などを経て独立。音楽と歴史、人物の関連性を題材にエッセイ等を執筆・講演している

本書は、2021年11月に上演された朗読劇「リーディングシング『F  ショパンとリスト』の脚本をもとに、大幅に加筆・修正を加えて書き下ろした作品です

舞台は19世紀のパリ。フレデリク・ショパン(1810ー1849)とフランツ・リスト(1811ー1886)という2人の「F」が出会う 幼少期からピアノの神童・天才としてヨーロッパ中で注目され、出会う前からお互いを見えざるライバルと意識していた2人は、すぐに無二の親友となり、ともにピアノの頂点を目指そうと誓い合う しかし、故国ポーランドを追われたショパンは誰にも明かせない秘密を抱えていた

 

     

 

【以下ネタバレ注意】

本書は事実に基づき脚色を加えた小説ですが、当時のピアノ製作事情についても触れています     フランツがフレデリックにこう言うシーンがあります

「いまはピアノの時代なんだ。ピアノはどんどん進化している。おまえのプレイエルに、俺のエラール。完璧な7オクターブの音域に、素早いアクション反応 最新の楽器こそが、俺たちの演奏を支えている」「これからのツアーでは、行く先々の地元メーカーにも協賛してもらう。ウィーンではグラーフとシュトライヒャー。イギリスではブロードウッド。スペインではボワスロに。各社はますますしのぎを削って、技術開発に邁進するはずだ そこから生まれる音は、モーツアルトやベートーヴェンの時代とは比べ物にならない。弱音から大音響まで、ピアノ1台で・・・この10本の指で作り出せる!生まれた場所も身分も関係ない ハンガリー生まれのリスト・フェレンツーー病弱だった少年が、憧れの大スターになれる!ピアノは、無限大の希望なんだ!」

現在、世界中で使用されているスタインウェイもベーゼンドルファーもベヒシュタインもファツィオーリもヤマハもカワイもない時代には、上記のようなピアノメーカー同士の競争により新しい技術が日進月歩で開発され、新製品がショパンやリストに提供され、コンサートで演奏されていたことが分かります

この小説のハイライトはフレデリックがフランツに、自分が抱えている秘密を告白するシーンです フレデリックは「俺は、革命と引き換えにこのパリにいる」と告白します 絶句するフランツに、「パリのポーランド亡命政府を監視し、動きがあれば知らせるようにと言われている。ロシア諜報部に。そして、ロシアの動きを知りたいフランス政府に。いわば二重のスパイだ」と続けます なぜそうした経緯になったのかは本文に書かれていますが、果たして事実なのかフィクションなのかは分かりません

本書にはフレデリックとフランツの間で交わされた書簡が4篇登場しますが、最後に紹介されたショパンからリストに宛てた1849年の手紙が印象的です 抜粋すると次のように書かれています

「俺は、音楽という使命にすべてを捧げた。名前など、忘れ去られてもかまわない ただ俺の音楽が、誰かの心を震わせ、彼ら自身の新たな物語となって生き続けてくれるなら、それだけでいい 俺はずっと自由にー音楽そのものになりたかったのだから。ピアノの詩人と呼ばれ、周囲から天使のように褒めそやされることは、いつも苦しかった 人には言えない汚い俺を、自分だけが知っていたからだ。その苦しみを、おまえだけがわかってくれた まるで共犯者のように秘密を共有し、助けようとしてくれた。暗闇のような孤独を分かち合えるのは、おまえだけだった

この手紙を読むと、「ショパンはロシアとフランスの二重スパイだった」ということが事実だったようにも推測されます ショパンは39歳の若さで肺結核により亡くなったと言われていますが、二重スパイ説が事実だとすれば、その立場による心労が大きかったことも大きな要因だったのではないかと思います

一方のリストは75歳まで生き延び、ハンガリーの英雄とまで祭り上げられました いくら神童と呼ばれたり、天才と呼ばれたりしても、人生なんて分からないものです

音楽好き、とくにピアノ好きには興味が尽きない本です。お薦めします

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