人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

井上道義 ✕ 読売日響でハイドン「交響曲第45番”告別”」、ブルックナー「交響曲第9番」を聴く ~ フェスタサマーミューザ / 8月3日の新日本フィルの指揮者・広上氏コロナ陽性で降板

2022年07月30日 07時19分54秒 | 日記

30日(土)。「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2022」のホームページによると、「8月3日(水)の『新日本フィル ~ 山本直純生誕90年と新日本フィル創立50年を祝う』公演の指揮者・広上淳一氏は、7月28日に発熱があり、同日発熱外来で診察・PCR検査を実施したところ、新型コロナウイルス感染症の陽性となったため、出演できなくなった。症状は至って軽いものの、保健所の指導により療養している。代替の指揮者は現在調整中である。詳細が決まり次第発表する」としています 代替指揮者は下野竜也氏くらいしかいないような気がしますが、彼は新日本フィルを指揮してほぼ同じ内容のコンサートを8月6日(土)にトリフォニーホールで演奏するので、難しいかもしれません あるいは、直純氏の息子・山本祐之介氏が全曲振ることになるのか、まったく予想がつきません ほとんど日にちがありません どうするんだろう

ということで、わが家に来てから今日で2757日目を迎え、参院は28日、NHK党のガーシー氏(本名:東谷義和)に関し、通称名の「ガーシー」を国会で使用することを許可した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     帰国すると詐欺容疑で逮捕されるとして ドバイに滞在してる場合じゃない 仕事しろ

 

  諸般の事情により昨日の夕食作りはお休みしました  

 

         

 

昨夕、ミューザ川崎で「フェスタサマーミューザKAWASAKI2022」参加公演「読売日本交響楽団 告別と絶筆。一期一会のシンフォニー」を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第45番 嬰ハ短調 ”告別” 」、ブルックナー「交響曲第9番 」ニ短調」です 指揮は井上道義です

開演前に井上氏によるプレトークがありましたが、開始が10分遅れとなりました 井上氏はその理由を「出来るだけたくさんのお客さんに聞いてほしいと思って遅らせただけです」と告白し聴衆の笑いを誘いました そして、「ミューザのホールはブルックナーに向いていると思いますよ」として、「1曲目のハイドンの第45番は『告別』という愛称が付いていますが、『告別式』という言葉から連想されるように『死んでいく』みたいな暗いイメージがあります でも、そんなもんじゃないんです。楽団員がお休みが欲しいというだけのお話です 今日からこの曲を『お休み希望シンフォニー』と命名してほしい」と希望を述べました そして、「最近は、演奏がライブ配信されたりしますが、配信でブルックナー観ても面白くないです」と持論を展開すると、会場から拍手が起こりました 私は「ああ、言っちゃった~」と思いました。この公演もライブ配信されますから ところで、舞台正面のパイプオルガンを隠すように巨大なスクリーンが降りていますが、何があるのか??? 奇才・井上道義のことですから、何かやるはずです

 

     

 

会場はほとんど満席です。井上 ✕ 読響のブルックナーですから当然でしょう

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンミスは日下紗矢子です 各奏者の譜面台にはミニLED照明が付けられ、何かが起こる前兆を示しています ステージ上には収音マイクが林立し、カメラが狙い、ライブ配信対策が施されています

1曲目はハイドン「交響曲第45番 嬰ハ短調 ”告別”」です この曲はヨーゼフ・ハイドン(1732ー1809)が1772年に作曲しました この曲には「告別」という愛称が付けられていますが、それは次のエピソードによります ハイドンが仕えていたエステルハージ家の夏の離宮エステルハーザでの滞在期間が予想以上に長引いたため、大抵の楽団員がアイゼンシュタットの妻の元に帰りたがっていた このため、ハイドンは終楽章後半のアダージョで、演奏者に一人ずつ演奏を止めさせ、蟷螂の火を吹き消して立ち去るようにした 最後に下手側に2人の弱音器を付けたヴァイオリン奏者(ハイドン自身とコンマス)が残された これを見たエステルハージ公は、ハイドンのメッセージを読み取り、初演の翌日には宮廷はアイゼンシュタットに戻されたーというものです しかし、このエピソードを裏付ける証拠は残されていません

第1楽章「アレグロ・アッサイ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:プレスト ~ アダージョ」の4楽章から成ります

井上の指揮で第1楽章の演奏に入ります 「シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒涛)期」の最後の作品に相応しい、緊迫感に満ちた演奏が展開します 弦楽器を中心に穏やかに演奏される第2楽章、優雅なメヌエットの第3楽章を経て、スピード感あふれる第4楽章冒頭のアレグロが展開します 井上はほとんど踊っています そして、急にテンポが落ち、アダージョの演奏に移ります。すると舞台の照明が落とされ、舞台正面の巨大スクリーンに「ハイドンは楽団員に休みを与えることにしました」というテロップが流れ、演奏者一人ひとりの普段着の写真が次々と映し出され、その演奏者が演奏を止め譜面台の照明を消して、手を振りながら舞台から去っていきます そして最後に日下コンミスと第2ヴァイオリン首席の瀧村依里が立奏しながら井上とともに舞台袖に去っていきました 再び舞台に登場した井上と楽団員に大きな拍手が送られたことは言うまでもありません 井上道義はやっぱり演歌テナー、もとい、エンターティナーです

休憩時間には「ブルックナーとトイレの関係の法則」の通り男子トイレに長蛇の列が出来ていました 1階と2階のトイレに並んでいる客に対し、レセプショニストは4階のトイレを案内していました 20分休憩で間に合わなかったら水に流せないですが、何とかなったようです

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第9番 ニ短調」です     この曲はアントン・ブルックナー(1824ー1896)が1891年から94年にかけて作曲、1903年にウィーンで初演されました この曲はブルックナーが作曲した全11曲(0番と00番を含む)の交響曲の最後を飾る作品です    ブルックナーは1894年11月に第3楽章までの総譜を完成させましたが、1896年10月11日、未完成のまま他界しました。第1楽章「荘厳に、神秘的に」、第2楽章「スケルツォ:軽く、快活に ~ トリオ:急速に」、第3楽章「アダージョ:ゆっくりと荘重に」の3楽章から成ります

第1楽章は冒頭の8本のホルンによる荘重な響きが印象的です 第2楽章は弦楽器のピッツィカートとそれに続く渾身のキザミが迫力満点です 第3楽章は冒頭から弦楽アンサンブルが素晴らしい フィナーレのワーグナー・チューバの演奏も印象的でした 全般を通じて井上 ✕ 読響は、スケールの大きな演奏を展開しました

カーテンコールが繰り返されますが、井上は舞台中央で、羽生結弦の向こうを張って2回転を披露、回転不足ながら満場の拍手をもらうと、いきなり上着を脱ぎ、派手な絵柄模様のシャツ姿になり、楽団員と聴衆が唖然とする中、上着を肩にかけて舞台袖に走って引き上げていきました コンミスの日下以下楽団員も事前情報はなかったらしく、一体何が起こったのかとワサワサしていました

奇才・井上は演奏会を盛り上げるために文字通り「一肌脱いだ」わけですが、後でコンサートを振り返る時、本番の演奏よりも後のパフォーマンスの方が印象に残ることがままあります 天才ピアニストのアファナシエフが「アンコールは絶対やらない。なぜなら、アンコールが客受けすると、肝心の正規プログラムの演奏よりもアンコールの方が印象に残るからだ 聴いてほしいのはあくまでも正規プログラムだ」みたいなことを語っていますが、それと似ています

結局のところ、井上道義氏はサービス精神が旺盛なのだと思います クラシック音楽界の火を消さないため、そしてクラシック・ファンを増やすための努力として、演奏する側のこうした行動も評価されるのかもしれません しかし、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という諺もあります 井上氏は2024年末を持って指揮者を引退すると宣言しているだけに、本番が印象に残るようなパフォーマンスを第一に考えた方が良いと思います

 

     

     

コメント
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