人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フェスタサマーミューザ「真夏のバッハⅦ ~ ジャン=フィリップ・メルカールト パイプオルガン・リサイタル」を聴く ~ オール・バッハ・プログラム

2022年07月25日 07時07分23秒 | 日記

25日(月)。わが家に来てから今日で2752日目を迎え、安倍元首相を暗殺した山上容疑者の母親が「今回の事件で統一教会を批判にさらして迷惑をかけて申し訳ない」と語っている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ”金がすべて”の統一教会のマインドコントロールの恐ろしさを物語るエピソードだ

 

         

 

昨日、ミューザ川崎で フェスタサマーミューザ KAWASAKI2022 参加公演「真夏のバッハⅦ ~ ジャン=フィリップ・メルカールト  パイプオルガン・リサイタル」を聴きました   オール・バッハ・プログラムで、①トッカータ、アダージョとフーガ  ハ長調 BWV564、②「シュメッリ歌曲集」から「来たれ甘き死よ BWV478」「来たれこの日 BWV479」「喜びに輝ける黄金の日の光は BWV451」「心の痛みはわがイエスを襲う BWV487」、③アンナ・マクダレーナ・バッハのための練習帖・ 第2巻から「汝わがそばにあらば BWV508」、④ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番 BWV1016、⑤カンタータ第132番「道を備え、大路を備えよ BWV132」から第5曲「キリストの肢体なる汝ら、ああ思いみよかし」、⑥ゴルトベルク変奏曲 BWV988(メルカールト編曲)です 演奏は②③⑤のカウンターテナー=中嶋俊晴、④のヴァイオリン独奏=玉井菜摘、パイプオルガン独奏=ジャン=フィリップ・メルカールトです

オルガンのジャン=フィリップ・メルカールトはベルギー生まれ。パリ国立高等音楽学院でプルミエ・プリを得て卒業 ブリュッセルのベルギー王立音楽院で修士号を取得。2007年にジルバーマン国際オルガンコンクール第2位、2009年にブルージュ国際古楽コンクールオルガン部門第2位受賞 2003年から1年間札幌コンサートホールKitara専属オルガニスト、2011~14年には所沢市文化センターミューズホールオルガニストを務めた 現在、那須野が原ハーモニーホールオルガニストを務めています

 

     

 

自席は2CA1列29番、センターブロック1列目の右から2つ目です 1階を中心にバッハ好きが集まりました

1曲目は「トッカータ、アダージョとフーガ  ハ長調 BWV564」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685ー1750)がヴァイマールの宮廷オルガニストを務めていた時代に書かれました

2階正面のオルガン席のマルカールトの演奏でトッカータが開始され、パイプオルガンの豊かな音が会場を満たします こういう時、私は”にわかクリスチャン”になります 鮮やかな演奏でした

2曲目は「シュメッリ歌曲集」(1736年出版)から「喜びに輝ける黄金の日の光は BWV451」「心の痛みはわがイエスを襲う BWV487」「来たれこの日 BWV479」「来たれ甘き死よ BWV478」です この歌曲集は「宗教的歌曲とアリア」で、曲集を編纂したツァイツのカントール、ゲオルク・クリスティアン・シュメッリにちなんで「シュメッリ歌曲集」と呼ばれています

カウンターテナを歌う中嶋俊晴は東京藝大大学院修士課程修了。ウィーン国立音楽大学大学院リート・オラトリオ専修およびアムステルダム音楽院修士課程バロック声楽専攻を共に満場一致の最優秀栄誉賞付きで修了しました

オルガンのメルカールトが2階からP席の階段を通じて1階ステージに降りてきて、ポジティブ・オルガンにスタンバイし、伴奏を務めます

中嶋俊晴の声は「カウンターテナー」というよりも「アルト」と呼んだ方が相応しいような、声が低く深みのある歌唱が印象的です 「ドイツ・リート」の原型とも言われる作品を落ち着いた声でしみじみと歌い上げました

続いて「アンナ・マクダレーナ・バッハのための練習帖 第2巻」から「汝わがそばにあらば BWV508」が歌われます 内容は、愛する人に看取られる安らぎを歌ったものですが、中嶋は優しく穏やかに歌い上げました

次の曲は「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番 BWV1016」です 第1楽章「アダージョ」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「アダージョ・マ・ノン・タント」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の玉井菜摘は桐朋学園大学在学中に「プラハの春国際コンクール」で優勝 卒業後、アムステルダム・スウェーリンク音楽院でH.クレバースに、ミュンヘン音楽大学でA.チュマチェンコに師事。この間、エリザベート王妃国際コンクール他、数々のコンクールで優勝・入賞を果たす 現在、東京藝大教授を務めています

ヴァイオリンとオルガンで演奏するため、両者の音の力関係からして、私はてっきり1階のポジティブ・オルガンを使用するのかと思っていました ところが玉井、メルカールトの2人は2階バルコニーのパイプオルガン前に現れました。ちょっと心配です

2人の演奏で第1楽章に入ります 何とかヴァイオリンの音が消されないで聴こえてきましたが、第2楽章に入ると、やはりオルガンの音が大きく、ヴァイオリンが霞んでしまう場面があります 第3楽章以降も同様で、1本のヴァイオリンではオーケストラを表現できるパイプオルガンには太刀打ちできないと感じました しかし、2階正面からバッハの音楽が降ってくる感覚は特別で、こういうスタイルの演奏も悪くないな、と思いました 何より玉井菜摘のヴァイオリンが素晴らしかった

前半最後の曲はカンタータ第132番「道を備え、大路を備えよ BWV132」から第5曲「キリストの肢体なる汝ら、ああ思いみよかし」です この曲はクリスマス直前の日曜日の礼拝のために書かれた作品です

メルカールトが1階に降りてきて、下手から玉井と中嶋が登場、さっそく演奏に入ります この曲でも中嶋のアルトの魅力が発揮され、玉井のヴァイオリンが良く歌い、メルカールトのオルガンが通奏低音に徹しリズムを刻みます 聴きごたえのある素晴らしい演奏でした

 

     

 

プログラム後半は「ゴルトベルク変奏曲 BWV988(メルカールト編曲)」です この曲は1741年から翌42年にかけて作曲された作品です 冒頭と最後の「アリア」とそれに基づく30の変奏曲から構成されています この作品は、弟子のゴルトベルクが仕えていたカイザーリング伯爵の不眠症を治すために書かれたと言われていますが、真偽は不明です こんな素晴らしい音楽を聴いていたら、ますます目と耳が冴えて眠れなくなってしまうと思います

メルカールトがパイプオルガン席に着き、さっそく「アリア」から演奏に入ります 耳を傾けて聴いていると、すべての変奏がまったく異なる音色で演奏されていることが分かります フルートだったり、ピッコロだったり、弦楽器だったり、トランペットだったり、時にグラスハーモニカだったり・・・これには舌を巻きました これは言うまでもなくメルカールトの編曲の為せる業です 「オリジナルの作品がこういう風に作られていたのだ」と言われても信じてしまうほどの自然な音色と音楽づくりです メルカールトの編曲者としての才能を感じました

メルカールトが1階ステージに降り、玉井菜摘と中嶋俊晴が再登場し、バッハの「カンタータ第137番『主を頌めまつれ、勢威強き栄光の主を』BWV137から「第2楽章」がアンコールとして演奏され、満場の拍手を浴びました

この日の公演は「現代に蘇るバッハ」というタイトルが最も相応しいコンサートでした

 

     

     

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