23日(土)。新国立劇場から「オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』出演者変更のお知らせ」が届きました それによると、「11月15日開幕予定のムソルグスキー『ボリス・ゴドゥノフ』は、ロシアによるウクライナ侵攻が続いている状況から、ロシア人歌手の招聘手続きにおける影響を考慮した結果、確実に新制作公演の準備を進めるため、残念ながらエフゲニー・ニキティン、マクシム・パステル、アレクセイ・ティホミーロフ、パーヴェル・コルガーティンの出演を断念することになりました」とし、次のように変更になると告知しました
エフゲニー・ニキティン ⇒ ギド・イエンティンス
マクシム・パステル ⇒ アーノルド・べズイエン
アレクセイ・ティホミーロフ ⇒ 未 定(決定次第ウェブサイトで通知)
パーヴェル・コルガーティン ⇒ 清水徹太郎
やっと、コロナによる出演者変更がなくなってきたかと思っていたら、ウクライナ情勢が影響を及ぼしています もういい加減に、政治を文化に持ち込まないでほしいと思います
「ボリス・ゴドゥノフ」は生まれて初めて鑑賞するオペラなので楽しみにしていたのに、ケチが付いたようで悲しい思いです
ということで、わが家に来てから今日で2750日目を迎え、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は20日、プーチン大統領の健康状態について、「いろんな噂があるが、彼は全くもって健康だ」との見方を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
それは困った 健康なのは肉体だけで 精神は異常をきたし不健康そのものだからね
昨日、夕食に「サーロインステーキ」と「山芋の味噌汁」を作りました ステーキと山芋の組み合わせはマッチしないとお思いかもしれませんが、よく合います
昨夕、サントリーホールで読売日響「第619回定期演奏会」を聴きました プログラムは①エトヴェシュ「セイレーンの歌」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調」、ショスタコーヴィチ「交響曲第12番 ニ短調 作品112 ”1917年”」です
演奏は②のヴァイオリン独奏=諏訪内晶子、ピアノ独奏=エフゲニ・ボジャノフ、指揮=アレホ・ペレスです
指揮者アレホ・ペレスはアルゼンチン出身で、指揮をミヒャエル・ギーレンらに師事。2019年からベルギー王立フランダース歌劇場の音楽監督を務めています
オケは14型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは日下紗矢子、その隣は小森谷巧というダブルコンマス態勢を敷きます
1曲目はエトヴェシュ「セイレーンの歌」の日本初演です この曲はハンガリー生まれのペーテル・エトヴェシュ(1944~)が、ホメロスの「オデュッセイア」に触発されて2020年に作曲した作品です
怪鳥セイレーンが歌でオデュッセウスを誘惑するという内容です
なお、エトヴェシュはフランスの現代音楽演奏家集団アンサンブル・アンテルコンテンポランの指揮者としても活躍しました
ペレスが登場しさっそく演奏に入ります 冒頭は弦楽器によるシャックリのような奇妙な音が連続します
なんか変な曲だな、と思っていると、終盤で倉田優のフルートがコロラトゥーラ風に震える音楽を奏で、「ああ、これがセイレーンの歌か」と思いました
違っているかもしれませんが
2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調」です この曲はハンブルク生まれのフェリックス・メンデルスゾーン(1809ー1847)が1823年に作曲した作品です
第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります
ヴァイオリン独奏の諏訪内晶子は1990年、史上最年少でチャイコフスキー国際コンクールで優勝 国内外のオーケストラと協演するほか、2012年から「国際音楽祭NIPPON」を企画制作し、芸術監督を務めています
一方、ピアノ独奏のエフゲニ・ポジャノフはブルガリア出身で、リヒテル国際コンクール優勝、2010年のエリザベート王妃国際コンクール第2位などの入賞歴があります
オケは10型に縮小します 指揮台の手前中央のピアノにポジャノフが、ピアノの手前ヴィオラ側にブラックにシルバーを配したエレガントな衣装の諏訪内がスタンバイします
したがって、指揮者は後方に位置する2人のソリストの姿を見ないで指揮をすることになります
これは難しい
ポジャノフの椅子は極めて低く、腰より膝の方が高い位置にあり、ピアノに対峙する姿は まるでグレン・グールドかイージーライダーです
それはそうと、あのピアノ、スタインウエイでもベーゼンドルファーでもファツィオーリでもヤマハでもないみたいだけど、どこのメーカーだろうか
ペレスの指揮で第1楽章に入ります 冒頭はオーケストラだけによる演奏ですが、メンデルスゾーンにしては若干”重い”と感じました
しかし、2人のソリストが入ってくると耳が慣れてきました
大好きな曲なのでCDで予習しておきましたが、CDで聴くよりもはるかに起伏が大きくロマン的な演奏だと感じます
予想以上に良かったのはポジャノフのピアノです
生き生きした演奏をします。第2楽章はポジャノフのリリカルな演奏が沁みます
諏訪内のヴァイオリンが美しい
間断なく入った第3楽章では、ヴァイオリンとピアノの丁々発止のやり取りが素晴らしく、疾走感が堪りません
「この曲、本当に14歳の時に作曲したんだろうか
」と思うほど素晴らしい音楽です
もっとメンデルスゾーンの隠れた名曲をコンサートで取り上げてほしいと思います
会場いっぱいの拍手で繰り返されるカーテンコールに2人は、フォーレ「夢のあとに」を情緒たっぷりに演奏、再び満場の拍手を浴びました
プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第12番 ニ短調 作品112 ”1917年”」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)が1961年に作曲、同年9月8日にモスクワの作曲家同盟で2台ピアノ版が試演された後、10月1日にレニングラードでムラヴィンスキーの指揮により初演されました
ロシア10月革命を題材とし、レーニンの追悼に捧げられました
第1楽章「革命のペトログラード:モデラート ~ アレグロ」、第2楽章「ラズリーフ:アダージョ」、第3楽章「アウローラ(黎明号):アレグロ」、第4楽章「人類の夜明け:アレグロ ~ アレグレット」の4楽章から成ります
なお「ラズリーフ」はレーニンが危うく追跡を逃れたフィンランド国境の駅名です
オケが14型に戻り、ペレスの指揮で演奏に入りますが、全曲を通して推進力に満ちたアグレッシブな演奏でした 第1楽章と第4楽章におけるホルン、トランペット、トロンボーン、チューバといった金管楽器の咆哮、打楽器の炸裂、第2楽章を中心とするファゴット、オーボエ、クラリネット、フルートといった木管楽器の名演、全楽章を通じての弦楽器の渾身の演奏・・・ペレスは読響から最大限の力を引き出し、最後まで集中力に満ちた演奏を展開、聴衆を興奮の坩堝に引き込みました
聴き終わって思うのは、「ショスタコーヴィチはいいなあ やっぱりライブで聴かないと 本当の良さが分からないよな
」ということです