人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

出口大地 ✕ 木嶋真優 ✕ 東京フィルでハチャトゥリアン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」「交響曲第2番」「バレエ音楽『ガイーヌ』 ~ 剣の舞ほか」を聴く

2022年07月13日 07時16分16秒 | 日記

13日(水)。わが家に来てから今日で2740日目を迎え、米ブルームバーグは、米電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者がトランプ前大統領について、2024年の大統領選への出馬を断念し、デサンティス・フロリダ州知事に道を譲るべきだと主張したと報道した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプはマスク氏がツイッターを買収しても利用しないと言ってたし 見放したか

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた鯵を塩焼きにして、「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「玉ねぎの味噌汁」を作りました 鯵は脂がのっていてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで「東京フィル第973回サントリー定期シリーズ」公演を聴きました オール・ハチャトゥリアン・プログラムで、①バレエ音楽「ガイーヌ」より「アイシェの目覚めと踊り」「山岳民族の踊り」「ガイーヌのアダージョ」「剣の舞」「レズギンカ」、②ヴァイオリン協奏曲 ニ短調、③交響曲第2番 ホ短調 ”鐘”が演奏されました 演奏は②のヴァイオリン独奏=木嶋真優、指揮=出口大地です

出口大地は大阪府出身。2021年の第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で日本人初の優勝 クーセヴィツキー国際指揮者コンクール最高位及びオーケストラ賞受賞。関西学院大学法学部卒業後、東京音楽大学指揮科で学び、2022年ハンスアイスラー音楽大学ベルリンオーケストラ指揮科修士課程修了予定

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの並び。コンマスは三浦章宏です

1曲目はバレエ音楽「ガイーヌ」より「アイシェの目覚めと踊り」「山岳民族の踊り」「ガイーヌのアダージョ」「剣の舞」「レズギンカ」です 「ガイーヌ」はアラム・ハチャトゥリアン(1903ー1978)が1939年から42年にかけて作曲、1942年12月9日に初演された作品です 物語は、勇気ある女ガヤネー(ガイーヌ)が、コルホーズ(集団農場)への放火を企む怠惰な夫ギコを告発するという内容です 現在ではバレエが上演されることはほとんどなく、「剣の舞」だけがハチャトゥリアンの代名詞的な曲として知られています

指揮者の出口大地が登場し、1曲目の「アイシェの目覚めと踊り」に入りますが、指揮姿を見て「おやっ?」と思いました 彼はタクトを左手に持って指揮をしています 極めて珍しいケースだと思います。若きサウスポーはどういう指揮をするのか、期待が高まります この曲では「目覚め」を表すピッコロの演奏が素晴らしい 2曲目の「山岳民族の踊り」はリズム中心の「これぞハチャトゥリアン」と言いたくなる曲です。メリハリの利いた演奏が素晴らしい 次の「ガイーヌのアダージョ」では最初にチェロによって、次にヴァイオリンセクションによって美しいテーマが演奏されます そして「待ってました大統領」の「剣の舞」で狂喜乱舞の演奏が繰り広げられます さらに「レズギンカ」では、スネアドラムの激しいリズムに乗って管弦楽総動員による熱い演奏が展開します

2曲目は「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」です この曲は1940年にわずか2か月で完成、同年11月16日にモスクワでダヴィッド・オイストラフの独奏により初演され、大成功の裡に迎えられました 第1楽章「アレグロ・コン・フェルメッツァ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の木嶋真優は2016年第1回アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール優勝 2011年ケルン国際音楽コンクールのヴァイオリン部門優勝 2015年ケルン音楽大学大学院首席修了。ドイツの国家演奏家資格取得

協奏曲のためオケは12型に縮小します 大きな拍手に迎えられて木嶋真優が虹色のカラフルな衣装で登場します 上が横のストライプ、下が縦のストライプですが、私は故郷の七夕祭りの吹き流しを思い浮かべました(あくまでも個人の感想です。悪意はありません。悪しからず)。彼女にとってアルメニアのイメージなのかもしれません

出口の指揮で第1楽章に入ります オーケストラ総奏による迫力ある序奏に続き、独奏ヴァイオリンが力強く入ってきます。木嶋は超絶技巧をものともせず、目の覚めるような演奏を展開します カデンツァでは、クラリネットの万行千秋との掛け合いに次いで、ヴァイオリン・ソロによる演奏が繰り広げられますが、唖然とするくらい鮮やかな演奏です 第2楽章では、序奏に続いて独奏ヴァイオリンがアンニュイな雰囲気のテーマを歌い上げます 第3楽章に入ると、独奏ヴァイオリンが軽快でアグレッシブな演奏を展開、聴衆を魅了しました とても楽しそうに演奏していたのが印象的でした

鳴りやまない拍手に木嶋は、コミタス「クランク」 ~ イグデスマン・ファンタジー(木嶋真優編)を、唖然とするくらい鮮やかに演奏、聴衆を熱狂の渦に巻き込みました 恐るべきヴァイオリニストです

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第2番 ホ短調 ”鐘”」です この曲はハチャトゥリアンが作曲した3つの交響曲の1つで、1943年に作曲(44年に改訂)されました 第二次世界大戦中という時代背景もあり、ショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」に通じる悲痛な感情が全体を覆った作品です なお、副題の「鐘」は、全曲を通じて鐘が印象的に使われていることから、ある音楽評論家が命名したもので、作曲者もこれを了承しているとのことです 第1楽章「アンダンテ・マエストーソ」、第2楽章「アレグロ・リゾルート」、第3楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第4楽章「アンダンテ・モッソ~アレグロ・ソステヌート、マエストーソ」の4楽章から成ります

出口の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のオーケストラ総動員による激しい音楽を聴いて、まるで合唱による叫び声のように聴こえました ハチャトゥリアンがそういう効果を狙ったのかどうかは分かりませんが、私には人の声による慟哭に聴こえました 中盤ではショスタコーヴィチ風の音楽が聴こえてきて、親近感を持ちました 第2楽章では中盤以降の弦楽器による民族的な音楽が印象に残りました 第3楽章では、弦楽器のウネリが凄い 第4楽章では印象的な鐘の音とともに、オーケストラ総力あげての音の大伽藍が築き上げられ、圧倒的なフィナーレで曲を閉じました

スケールの大きな指揮ぶりを見せた出口大地と、渾身の演奏を展開した東京フィルの面々に満場の拍手が送られ、カーテンコールが繰り返されました

それにしても、昨年のハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で優勝したばかりの若手指揮者を、その翌年の定期演奏会に迎え、オール・ハチャトゥリアン・プログラムで構成するコンサートを任せる東京フィルの大英断と先見の明には脱帽するしかありません 東京フィルには目利きの新人発掘人がいるのだろうか

 

     

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