人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「フェスタサマーミューザ KAWASAKI2022 オープニングコンサート」ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団による「ジャズとダンス ー 虹色の20世紀」公演を聴く

2022年07月24日 07時11分54秒 | 日記

24日(日)。昨日の日経朝刊別冊「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」で、「クラシック音楽 心に響く映画」を取り上げていました 映画ファン1000人が選んだ、クラシック音楽が印象的な作品を選んでいます。ランキング(獲得ポイントは省略)ベスト10は次の通りです

第1位「戦場のピアニスト」:ショパン「ノクターン第20番”遺作”」

第2位「ミッション・インポッシブル/ローグネイション」:プッチーニ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」

第3位「シン・エヴァンゲリオン 劇場版」:モーツアルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」

第4位「ゴッドファーザーPARTⅢ」:マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「間奏曲」

第5位「プリティ・ウーマン」:ヴェルディ「椿姫」

第6位「ショーシャンクの空に」:モーツアルト「フィガロの結婚」より「手紙の二重唱」

第7位「地獄の黙示録」:ワーグナー「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」

第8位「2001年宇宙の旅」:リヒャルト・シュトラウス「交響詩”ツァラトゥストラはかく語りき”」

第9位「羊たちの沈黙」:バッハ「ゴルトベルク変奏曲」

第10位「ファンタジア」:デュカス「魔法使いの弟子」

上記のうち私が観たことがあるのは、「戦場のピアニスト」「ゴッドファーザーPARTⅢ」「ショーシャンクの空に」「地獄の黙示録」「2001年宇宙の旅」「羊たちの沈黙」「ファンタジア」の7作品です それぞれの作品に相応しい音楽が使われていて、今さらながら感心します 「地獄の黙示録」における「ワルキューレの騎行」は衝撃的でした 「2001年宇宙の旅」では「交響詩”ツァラトゥストラはかく語りき”」冒頭のトランペットの演奏が印象的です 「ファンタジア」では「魔法使いの弟子」のほかにも名曲の数々がディズニー・アニメとともに演奏されます シルエットで現れる指揮者ストコフスキーがカッコいい

私が最も印象に残っているのはファスビンダー監督による西ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」(1979年)で使われたモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番K.488」の第2楽章「アダージョ」です さて、あなたにとってのベスト1はどの映画の何という曲でしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2751日目を迎え、米国で動物由来のウイルス感染症「サル痘」の拡大に懸念が強まっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     コロナはピークを越えた頃な とか サルものは追わず とか言ってる場合じゃないぜ

 

         

 

今年もミューザ川崎の暑くて熱い夏「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 」の季節がやってきました

昨日は東京交響楽団による「オープニングコンサート ~ ジャズと虹色の20世紀」が開かれました プログラムは①三澤慶「音楽のまちのファンファーレ」~フェスタサマーミューザ KAWASAKI に寄せて、②クルターク「シュテファンの墓」、③シェーンフィールド:ピアノ協奏曲「4つのパラブル」、④ドビュッシー「第1狂詩曲」、⑤ストラヴィンスキー「タンゴ」、⑥同「エボニー協奏曲」、⑦同「花火」、⑧ラヴェル「ラ・ヴァルス」です 演奏は②のギター独奏=鈴木大介、③のピアノ独奏=中野翔太、④のクラリネット独奏=吉野亜希菜、⑥のクラリネット独奏=谷口英治、指揮=ジョナサン・ノットです

上記のプログラムを見ると、ハンガリー出身のクルターク、ユダヤ系アメリカ人のシェーンフィールド、フランス人のドビュッシー、母がバスク人のラヴェル、ロシア出身のストラヴィンスキーといった具合に、人種の多様性が表れており、まさにサブタイトルの「虹色の20世紀」が際立っています

 

     

 

オープニングは三澤慶「音楽のまちのファンファーレ」~フェスタサマーミューザ KAWASAKI に寄せて」です🎺 この曲は2009年に初演されて以来、毎年「フェスタサマーミューザ」のオープニング・テーマとして演奏されてきました 金管楽器と打楽器奏者が入場し、ノットの指揮で演奏に入ります これから8月11日まで続く音楽祭の開始を告げるに相応しい明るく晴れ晴れとした演奏でした

本公演の1曲目はクルターク「シュテファンの墓」です この曲はハンガリーの作曲家ジェルジ・クルターク(1926ー)が、1976年にギター独奏曲として作曲、その後室内楽版に、そして1989年にフル・オーケストラ版に改訂しました 恩人マリアンヌの夫で歌手シュテファンを追悼する作品です

オケはコントラバス1,チェロ3,ヴィオラ3,ギター1,打楽器7,ハープ1といった小編成です

ギター独奏の鈴木大介がステージ下手後方にスタンバイし、ノットの指揮で演奏に入ります 独奏ギターが静かに語り掛け、弦楽器が応えるといった具合に音楽が進みました

2曲目はシェーンフィールド「4つのパラブル」です この曲はユダヤ系アメリカ人のポール・シェーンフィールド(1947ー)が作曲したピアノ協奏曲で、「パラブル」とは人間を中心とする教訓話(寓話)のことです 第1曲「我々を殺すまで肉屋はぶらつく」、第2曲「老衰という乗り物」、第3曲「哀歌」、第4曲「犬の天国」から成ります

オケのメンバーが登場します オケは12型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスはグレブ・ニキティン、その隣は小林壱成というダブル・コンマス態勢を敷きます 木管を見ると、フルートのトップはN響首席の甲斐雅之氏の客演だろうか

ジュリアード音楽院出身のピアニスト中野翔太が配置に着き、ノットの指揮で演奏に入ります 各楽章に付けられたタイトルを見ると面白可笑しく感じますが、ピアニストにとっては飛んでもない超絶技巧曲です 第1曲では穏やかに始まったかと思っていると、突然、突拍子もないスピードにギアが上がり、独奏ピアノが駆け巡ります これは第1曲に限らず、第2曲、第4曲も同様の曲想で、息つく間もありません 中野とノッ ト✕ 東響との丁々発止のやり取りが凄まじい演奏でした 熱演の中野に大きな拍手が送られました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はドビュッシー「第1狂詩曲」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)が1909年から翌10年にかけて、パリ音楽院の試験のために作曲したもので、1911年に作曲者自身により管弦楽版に編み直されました

管楽器の編成が変わります 下手に金管楽器が、上手に木管楽器が集められます。さらに上手後方にクラリネット独奏の吉野亜希菜が、その右手にハープ2台がスタンバイします

ノットの指揮で演奏に入ります。曲想としては「海」のような雰囲気が聴き取れます パリ国立高等音楽院出身の吉野亜希菜の演奏が素晴らしく、オケは色彩感溢れる演奏を展開します

次の曲はストラヴィンスキー「タンゴ」です この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882ー1971)が1940年に作曲、1953年に管弦楽用に編曲した作品です

左右に分かれていた金管楽器と木管楽器が通常の配置に戻ります ステージの上手側の照明が落とされ、指揮台と下手後方スペースだけに照明が当てられます サックス、クラリネット、打楽器とエレキ・ベースが中心となって演奏に入りますが、同じタンゴでもロシア風のタンゴです

 

     

 

続けてストラヴィンスキー「エボニー協奏曲」が演奏されます この曲は1945年にウッディ・ハーマン・バンドからの委嘱により作曲、1946年にニューヨークのカーネギーホールで初演されました クラリネットの材質である黒檀(エボニー)の名を取ったタイトルです クラリネット独奏の谷口英治を中心にジャジーな音楽が繰り広げられます

続いてストラヴィンスキー「花火」が演奏されます この曲は1908年から翌09年にかけて、作曲の師匠リムスキー・コルサコフの娘の結婚祝いのために作曲されました

ノットの指揮で演奏に入ります。曲想としてはクルクル回ってバンと爆発する「ねずみ花火」みたいだな、と思っていると、打ち上げ花火のように大きな大倫の花を咲かせるような迫力ある演奏も聴かれました。面白い曲だと思いました

最後の曲はラヴェル「ラ・ヴァルス」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)が1919年から翌20年にかけて作曲、1920年にパリで初演され、1928年にパリ・オペラ座で二ジンスカの振付によるバレエ曲として初演されました 「ラ・ヴァルス」とは「ザ・ワルツ」という意味で、20世紀のパリから19世紀半ばのウィーンを懐古した作品です

ノットの指揮で演奏に入ります。雲の切れ目から舞踏会の様子が垣間見られるシーンから、徐々に踊りが佳境に入っていくまでの様子が、大管弦楽によって色彩感豊かに表現されます ラヴェルの真骨頂の音楽をノット✕東響はアグレッシブに演奏、聴衆を興奮の坩堝に引き入れました

この日のオープニングコンサートは、音楽監督ジョナサン・ノットならではの凝ったプログラミングで、世界の音楽を2時間で堪能することが出来ました

 

     

     

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