人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

浅草レヴュー劇団「虎姫一座」を観て,大黒屋で「天丼」を食べる

2011年10月13日 07時00分04秒 | 日記

13日(木).昨日,西新橋1丁目町会のお世話で,仕事と仕事の合間に「秋の浅草探索ツアー」に参加してきました 当社を含めて全33人が参加.午前11時半に浅草寺近くの「ニ天門前」に集合,和服姿のアルバイトあさ子さんの案内で,東京スカイツリーを遠めに見ながら,まず浅草寺にお参りし,仲見世通り,伝法院通り,浅草公会堂前などを散策しました.そしてROX6階の「昭和歌謡コシダカシアター」に行き「浅草レヴュー劇団”虎姫一座”」による「エノケン,笠置のヒットソング・レヴュー」を観ました

 

          

 

13時開演ですが,早めに着いたのでドリンクをオーダーしたりして時間を潰しました.テーブルの上に名刺サイズのカードが置いてあり「今週お誕生日を迎える方は,すてきなプレゼントがあります」と書いてありました.心当たりがあったので,ドリンク・オーダーに来たボーイさんに「明日13日が誕生日ですけど」と告げると「あとで,素敵なサプライズ・プレゼントがありますので楽しみにしてください」と言います.証拠に,ということで運転免許証を見せると,誕生日と名前の読み方を確認されました.

 

          

 

スッペの「軽騎兵序曲」の派手なファンファーレで幕が開きます.レヴューは女性7人,男性2人のグループによる歌と踊りのパフォーマンスで,われわれ以上の世代は何とか”ついていける”歌に,踊りの振り付けをしたものです 若い人たちにとっては「買い物ブギってな~に?」という反応です.レヴューも半ばに差し掛かったころ,いきなり「今週お誕生日を迎えられた方がいらっしゃいます」とアナウンスが.次いで,出演者一同が「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」の合唱です.何かが起こりそうな予感です 最後に「ハッピー・バースデー・ディアよ〇の〇さん・ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」とファースト・ネームで祝われてしまいました それと同時にボーイさんが大きなクリーム・パフェを持ってきてくれました.線香花火のような”火花”がグラスの上でパチパチ輝いています.どハデな演出,注目の的です 会場一杯の拍手を受けて,成すすべがなく,立ち上がって何度も会釈をしました.あー,はずかしかった~ それにしても,50人近くの人たちに誕生日を祝ってもらったのは,これが生まれて初めてですクリーム・パフェは,今後の行動(大黒屋で名物の天丼を食べる)を考えると,”今食べたら天丼が食べきれなくなるゾ”と思い,上にのっているサクランボだけ食べて,写真に収めて,食べたことにしました.あー,もったいなかった~

 

          

レヴューが続き,しばらくすると,今度は入場券に印刷された通し番号が,抽選で当たると出演者といっしょに写真が撮れるというイベントが始まりました.出演者の女性が箱の中から1枚札を取り読み上げます「よんじゅう・・・・さんばんです」.この時,隣に座っていたT君は「危なかった~」と,胸をなでおろしていました彼が44番,私が45番だったのです.カスリました.T君はこういう”客いじり”につながりそうな”企て”には巻き込まれたくないタイプなのです.私的にはクリーム・パフェよりもお姉さんたちと一緒に写真を撮りたかったな・・・・ 私は身体を張って頑張っているこういう人たち,輝いていて好きです

終演後,アンコールの歌があり,出演者の女性たちが客席に下りてきて,手分けしてお客さんと握手して回りました.私のところに来ると「お誕生日おめでとうございます!」と言ってくれので,他のお客さんより得をした感じがしました コンサートにしても,こういうレヴューにしても,テレビなんかで見ているよりも,やっぱり生で観なくちゃ良さが分からないよな~とつくづく思いました.

1時間半近くレヴューを楽しんで,昼食会場である「大黒屋」に移動しました.午後2時半前後という時間なのにお店の前に行列が出来ています.よほど有名な美味しい店なのでしょう.エレベーターで4階に行き大きな部屋に通されました.ビールを飲んで待っていると有名な天丼が運ばれてきました.前もってもらったチラシには海老天が3本そそり立っていましたが,実際にはキス天,海老天,小海老の掻き揚げ天がごはんにのっていました.甘めのたれがたっぷりかかっていて結構美味しかったです 昼間からビールを飲んだこともあり,お腹がいっぱいになってしまいました

 

          

 

現地解散ということで,銀座線に乗って虎ノ門まで戻り,職場復帰してまじめに仕事の続きをやりました.ラッキーな1日でした

 

 

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日本人が相次いで優勝する理由~「ブザンソン国際指揮者コンクール」~垣内悠希優勝の陰で

2011年10月12日 06時32分27秒 | 日記

12日(水).昨日の日経夕刊に「若き日本人・世界でタクト・指揮者の登竜門”ブザンソン”で旋風」という記事が載りました

ブザンソン国際指揮者コンクール(フランス)は1951年に創設され,隔年に開かれています.書類選考はなく35歳までという年齢制限を守れば誰でも予選に参加できます.日本人としては1959年に小澤征爾が優勝して以来,松尾葉子,佐渡裕,沼尻竜典,阪哲朗,下野竜也,2年前の前回は山田和樹が優勝.そして今年9月のコンクールでは垣内悠希(33歳)が優勝しました

いまさら言うまでもなく,小澤征爾は世界の最高峰(ウィーン・フィル)に立ち,佐渡裕は今年ベルリン・フィルを振りました.沼尻竜典はびわこオぺラで頑張っているし,下野竜也は読売日響で活躍しています

垣内は父は作曲家,母はオペラ歌手という音楽一家に育ち,東京芸大を卒業後に渡欧.ウィーン国立音楽大学指揮科を卒業し,現在もウィーンで暮らしているとのこと.生まれた環境もいいし,もともと才能があり,その後の方向性も良かったということでしょう

第52回の今回は予選通過者20人のうち6人が日本勢だったといいます.全員に共通するのはウィーン国立音楽大学指揮科の湯浅勇治准教授の指導を受けたということだそうです.トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝した三ツ橋敬子(31歳)も湯浅門下とのこと.湯浅の言うには「日本人は手先が器用で,指揮者としてはその点が第1段階の強み.音楽について緻密に思考出来るし,そうするように教えている」とのこと 0.01秒の微妙な時間感覚まで徹底的に追求する姿勢がコンクールではプラスに作用するとのこと.指揮にはやはり”バトン・テクニック”が最重要要素であるということの証左でしょう

コンクール入賞の背景にはそういう事実が隠されていたことを初めて知りました やはり教える人が良くなければ,いくら本人が頑張っても限度があるのでしょうね

山田和樹は来年,スイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者に就任する予定とのこと.若手の登用によって世界の指揮界で世代交代が進んでいることを実感させられます.個人的には,三ツ橋敬子に国際的な飛躍を期待したいと思います

 

  [写真は垣内悠希.11日.日経夕刊]

     

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「スーパー・コーラス・トーキョー」でモーツアルト「レクィエム」を聴く~ヴィンシャーマン指揮都響

2011年10月11日 06時30分21秒 | 日記

11日(火).昨日,初台の新国立劇場で「スーパー・コーラス・トーキョー」特別公演を聴いてきました「スーパー・コーラス・トーキョー」は合唱界の巨匠ロベルト・ガッビアーニを指導者に迎え,オーディションで選んだ精鋭と,東京のプロの合唱団の選り抜きのメンバーを揃えて結成した合唱団です.今回の公演は東京都が主催者となり,東京文化発信プロジェクトの一環として実施されるものです

新国立劇場には10年以上オペラに通っていますが,舞台の上でのオーケストラを聴くのは初めてです.開演30分前に会場に着くと,すでに長蛇の列.オペラのときは開演45分前から開場しているのでこんなことはないのですが.見たところ客層がオペラ公演と大分違います コーラス団員の家族・親戚・友人・知人などの関係者と一般客といった感じですが,会場は満席です 自席は2階1列9番で一見良さそうな席に思えます.2階の1番前はいいのですが,通路から入って真ん中の席なのです.「前を失礼します」といちいち断って自席に着かなければならないのは本当にイヤなのです.通路側が取れなかったので仕方ないのですが

指揮は1920年生まれの92歳,バッハ・宗教曲の大家ヘルムート・ヴィンシャーマン,オーケストラは東京都交響楽団です.プログラムにヴィンシャーマンのメッセージが載せられています.

「今年3月の大惨事と,その後もまだ収束のつかない福島の原発事故のため,長年積み重ねてきた苦労,幸せな家族との暮らしを奪われた被害者の方々のためにこのコンサートを捧げたいと思います」

そしてこの日のために選ばれたプログラムは①モーツアルト「レクイエム ニ短調K626〈レヴィン版〉」,②ブルックナー「テ・デウム ハ長調」の2曲です.ソリストは①が澤畑恵美(ソプラノ),加納悦子(メゾ・ソプラノ),福井敬(テノール),牧野正人(バリトン),②が高橋薫子(ソプラノ),坂本朱(メゾ・ソプラノ),中鉢聡(テノール),河野克典(バリトン)といった錚々たるメンバーです.1回のコンサートでソリストを全員入れ替えるとは相当贅沢なイベントですね

オーケストラは向かって左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバス.左サイドにファゴット,バゼット・ホルン,右サイドにトロンボーン,トランペット,ティンパニ,オルガンという配置.コーラスは左サイドに44名の女性,右サイドに36名の男性が陣取ります

オケとコーラスがスタンバイしてヴィンシャーマンが登場します.彼は背が高く1メートル80,あるいは90ぐらいはありそうな感じです.92歳とは思えない足取りで指揮台に立ち会場の拍手に応えます.指揮棒なし,両手によってモーツアルトの「レクイエム」が始まります.

今回は〈レヴィン版〉を採用して演奏するということです.モーツアルトの「レクイエム」は第1曲「レクイエム」,第2曲「キリエ」,第3曲「セクエンツィア」,第4曲「オッフェルトリウム」,第5曲「サンクトゥス」,第6曲「アニュス・ディ」,第7曲「コンム二オ」からなりますが,モーツアルトは第3曲の6番目「ラクリモーサ」の途中で作曲を断念しました.その後は弟子のジュスマイヤーが補完して完成したと言われています

ロバート・レヴィンは「ラクリモーサ」の後に,モーツアルトが1791年(死の年)に書いたフーガのスケッチが当てはまるという確証を得て,”アーメン・ホザンナ”を付け加えました.その新しい版によって演奏されるのです

ヴィンシャーマンの指揮は,とても92歳とは思えない明確でシャキットしたもので,オーケストラもソリストも合唱も,指揮者を信頼して演奏あるいは歌っていることが良くわかりました.結局,50分以上立ちっぱなしで指揮していたことになります.凄い

「ラクリモーサ」の後の補完部分は,いつも聴きなれているCDなどとは違うので,ちょっと戸惑いはありましたが,聞き続けるにしたがって違和感を感じることがなくなりました.〈レヴィン版)はそれなりに説得力があると思いました

「レクイエム」終演後,ソリストを迎えて握手,その後,女性コーラスのところに行って,1列目に割り込んで両脇の女性の手を取って上に持ち上げました すると,今度は舞台の前にやってきて,会場の一列目に座っている女性に声をかけて”握手をしよう”というのです.年配の女性は戸惑っているようでしたが,握手に応じてヴィンシャーマンとともに会場の拍手を受けていました.こうした一連の行動は,彼の被災国日本への連帯のメッセージと受け止めました

休憩後のオーケストラは,弦楽器は変わりませんが,管楽器にクラリネット,ホルン,チューバなどが加わりブルックナーの演奏に備えています.コーラスは,前2列が女性,後2列が男性という配置です.モーツアルトの時に左右に分けたのと違う配置です.これはヴィンシャーマンの指示によるものでしょうが,どういう意図があるのか素人にはわかりません

ブルックナーの「テ・デウム」(神であるあなたを,の意味)を生で聴くのは初めてです.というよりも,正直に言うと,予習のためにCDを探してみたのですが,1枚も見当たらないのです.それほど長い曲ではないので,他の宗教曲とカップリングされているのだと思いますが,誰のどの曲とのカップリングか検討もつきません.したがって,いきなり本番で「テ・デウム」を聴くことになりました

最初の第1曲「私たちは神であるあなたを褒め称えて」の冒頭を聴いてショックを受けました「これがブルックナーの”テ・デウム”か!」と圧倒されました.ブルックナーは神に音楽を捧げるために作曲したのだと思います.パイプオルガンの豊穣な響きが聴こえてくるようです.ソリストもコーラスも凄い迫力で歌います

終演後は,とブラボーの中,ヴィンシャーマンはコンマスの矢部達哉と握手したかと思ったら,そのまま矢部を指揮台の上に引き上げてしまいました.矢部は戸惑いながらヴィンシャーマンとともに会場に会釈をしていましたが,すぐにコンマス席に戻りました.居心地が悪かったのでしょう.次に,ソリストと握手,また,女性コーラスの真ん中に行って手をつないで持ち上げました そして,会場に向かって握手を求め,今度は2人が応じました.彼は手を振って舞台袖に引き上げていきましたが,こちらは最初から最後まで圧倒されっぱなしでした.ヴィンシャーマンはバッハの権威で通っていますが,今回のコンサートでモーツアルト,ブルックナーの権威でもあることを証明しました

 

     

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新国立オペラでリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」を観る

2011年10月10日 08時08分55秒 | 日記

10日(月・祝).昨日,初台の新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの歌劇「サロメ」を観てきました キャストはサロメ=ストックホルム生まれのエリカ・ズンネガルド,ヘロデ=クリスティアン・フランツに代わってスコット・マックアリスター,ヘロディアス=ハンブルク生まれのハンナ・シュヴァルツ,ヨハナーン=ドイツ生まれのジョン・ヴェーグナー他で,指揮は体調不良の尾高忠明に代わってラルフ・ヴァイケルト.オーケストラは東京フィルハーモニー管弦楽団です

原作はオスカー・ワイルドの戯曲です.物語の舞台は紀元前30年頃,ユダヤの領主ヘロデの宮殿.ヘロデの寵愛を受ける義理の娘サロメは,庭の古井戸に霊閉されている預言者ヨハナーンに関心をもち,衛兵隊長に連れ出すように命じます.ヨハナーンは,サロメにキスを求めえられますが,拒否して古井戸に戻ります.ヘロデに何でも望みの褒美を与えるからと,踊りをせがまれたサロメは妖艶な「七つのヴェールの踊り」を披露します.舞い終えたサロメが要求した褒美はヨハナーンの首でした 「それだけは出来ない,他のものを」と説得しますがサロメは諦めず,最後にヘロデは折れます.サロメは切り落とされたヨハナーンの首にキスをし征服感を味わいます.それを見たヘロデはサロメを殺すように命令します

耽美的,退廃的な戯曲に付けたR・シュトラウスの音楽は官能的で色彩感豊かな音楽ですが,初演当時は各地で上演禁止の憂き目に会ったといいます.それもそうでしょう.救いようのないストーリーですから

普通はオーケストラのチューニングが終わってから指揮者がオーケストラ・ピットに入ってくるのですが,ヴァイケルトは開始時間には指揮台の椅子に座っていました.タクトが振り下ろされいよいよオペラの始まりです

実はこのオペラを聴くのは久しぶりだったので,ヨセフ・カイルベルト指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団による演奏(サロメ=クリステル・ゴルツほか)による1948年録音のCDを聴いて予習をしていたのですが,いかにも”20世紀の現代オペラ”という感じの小難しい演奏なのです.それが頭にあったので,ヴァイケルトの指揮による演奏はどうかな,と期待して聴き入ったのです.それが,R・シュトラウスらしいメロディーで,自然に音楽の流れが耳に届く素晴らしい演奏なのです あらためてヴァイケルトのプロフィールを見ると,75年にカール・ベーム本人からカール・ベーム賞を贈られたとのこと.ベームといえば「サロメ」に限らず数々のオペラの名演があります.なるほどと納得しました.結果的には指揮者の変更は成功したと思います 

演出はアウグスト・エファーディング(故人)ですが,彼の演出でサロメを観るのは確か今回で3度目でしょうか.このオペラは全1幕4場なので,舞台転換がありません.1時間50分の間,席を立つことは出来ません.「サロメ」を観るときは事前にトイレに行って用を足しておくなど気をつけましょう 突然トイレの話で恐縮でした.水に流してください

サロメ役のエリカ・ズンネガルドは終始出ずっぱりですが,素晴らしいソプラノを聴かせます.それだけでなく,第4場ではこのオペラの白眉というべき「七つのヴェールの踊り」を妖艶に踊りました.彼女は身体が柔軟で,まるで体操の選手のような動きも見せました.まさに体当たりの演技です.天は彼女にニ物を与えましたね

第3場で外に出されたヨハナーンが歌うシーンでは,ヴェーグナーは会場の隅々まで届く素晴らしいバリトンを響かせます.いつか聴いたことがあると思ったので,プログラムを見ると前回の「サロメ」でもヨハナーンを歌ったとのこと.納得です

ヘロデ役のマックアリスターもヘロディアス役のシュヴァルツも素晴らしい歌声と演技力でサロメを盛り立てました

終演後はブラボー,ブラビー(2人以上へのブラボー)と拍手の嵐です.とくにサロメ役のズンネガルドに対する賞賛のがすごかったようです.ヴァイケルトのタクトのもと,東京フィルが素晴らしい演奏を展開したことも特筆に値します

 

   写真はプログラム表紙(左)と中面掲載の舞台の様子(右)

      

 

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今日はサン=サーンスの誕生日~1835年10月9日

2011年10月09日 13時32分11秒 | 日記

9日(日)その2.今日はフランスの作曲家サン=サーンスの誕生日です.1835年10月9日にパリで生まれました.2歳からピアノを始め,3歳でピアノ曲を作曲するなど,モーツアルトに比肩するような早熟を示しました.その後,パリ音楽院でオルガンを学び,教会でオルガにストも務めました.リストはサン=サーンスを「世界で最も優れたオルガニスト」と絶賛しています

「動物の謝肉祭」はサン=サーンスの代表作です.全部で14曲から成りますが,中でもチェロの独奏によって演奏される「白鳥」はだれもが知っている有名な曲です.ほかに,オッフェンバックの「天国と地獄」の有名なメロディを「亀」がゆっくり歩むようなテンポで演奏するように指示したり,アイロニーに満ちたアイディアをあちこちに散りばめています.サン=サーンスは皮肉屋だったのではないでしょうか

「動物の謝肉祭」もいいですが,個人的には交響曲第3番「オルガン付き」,ヴァイオリン協奏曲,ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」などが好きです.9月27日に紀尾井ホールで開かれた萩原麻未&高野麗音のジョイント・コンサートで,萩原麻未がこのピアノ協奏曲第5番の第3楽章に基づく「トッカータ」を,目にもとまらぬ速さで弾いたときには,ただ唖然としましたが,音楽として響いてきたのには流石!と感心しました

サン=サーンスのピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲がコンサートで取り上げられることは滅多にありません.主催者側に,たまには取り上げて欲しいと訴えたいと思います

お勧めCDは「動物の謝肉祭」は,アルゲリッチ(ピアノ)他によるフィリップス盤(写真左),「ヴァイオリン協奏曲」はフランチェスカッティ(ヴァイオリン),ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルによるハルモニア・ムンディ盤(同右)です.

      

 

 

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ルキーノ・ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」を観る~マーラー「アダージェット」が流れる中で

2011年10月09日 08時46分37秒 | 日記

9日(日).昨日,銀座テアトルシネマでルキーノ・ヴィスコンティ監督「ベニスに死す」を観てきました.レーザーディスクを持っていたのですが,プレーヤーが壊れてしまいディスクをタダ同然で手放してしまいました 舞台は今から100年前のベニスのリド島.映画の公開は今から40年前の1971年です

9月27日のブログで書いたように,最近トーマス・マンの原作を集英社文庫で読みました.実に難解な文章で読みにくかったので,映画を観て”口直し”をしようと思ったわけです 原作では,主人公のグスタフ・フォン・アシェンバッハは小説家ですが,ヴィスコンティは,主人公のモデルがグスタフ・マーラーであることから,作曲家に変更しています.

この映画はマーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」と切り離して考えることが出来ません.これに関してはサウンド&ヴィジュアル・ライターの前島秀国さんが映画プログラムの中で「壮麗なる”死”の交響楽」と題して鋭い分析をしています.

「本編の中で”アダージェット”が流れてくるのは,次の5つの箇所である.①タイトルバックと,アシェンバッハを乗せた蒸気船がベニスに向かうオープニング,②心臓発作で倒れたアシェンバッハの傍らで,友人アルフリートが「アダージェット」をピアノで弾く回想シーン,③いったんリドを離れることを決心し,ベニス駅に向かったアシェンバッハが手荷物のトラブルから再度リドに引き返すシーンと,アシェンバッハが妻と娘の幸福な日々を回想するシーン,④アシェンバッハと妻が幼い娘の死に打ちひしがれる回想シーンと,理髪店で髪を染めたアシェンバッハが,タジオを求めてベニスを徘徊するシーン,⑤リドの海岸でタジオの姿を目にしながらアシェンバッハが絶命するエンディングとエンドロール.これら5つの箇所は”死の床”を象徴する視覚的モチーフ(デッキチェア,ソファー,理容椅子,ビーチチェア)や生の”可逆と不可逆”のメタファー(父親の砂時計の回想,美容術による若返り)などを対称的に配置しながら,全体としてアーチ型の配列をとるような周到な場面構成がなされている」

これは見事な分析だと感心しました どのシーンも「アダージェット」のメロディーがピッタリと当てはまっているのです.この曲の登場シーンが少ないと印象に残りにくいだろうし,多すぎるとしつこいと感じるだろうし,その点この映画での起用は多すぎもなく少なすぎもなく,中庸をいっているのではないでしょうか

実は,この映画を観るまで記憶違いをしている箇所があることに気が付きました それはアシェンバッハが死を迎えるシーンです.理髪店で髪を染めたアシェンバッハがタジオを求めてベニスを徘徊する中で,白い消毒液が撒かれた広場の中央にある水飲み場のようなところで,崩れ落ちて意識を失うシーンがありますが,ここで映画が終わるのだと記憶していました.しかし,実際には海岸の砂浜でビーチチェアに身を任せてタジオの姿を見ながら息を引き取っていきます 原作を読んだはずなのに,難解な文章に惑わされて・・・言い訳です

この映画での「アダージェット」の演奏はフランコ・マンニーノ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団です.この映画では,ほかにマーラーの交響曲第3番の第4楽章が同じ演奏家をバックにアルトのルクレツィア・ウェストによって歌われています.マーラー以外では,ベートーヴェンの「エリーゼのために」が美少年タジオ役のビョルン・アンドレセンのピアノで演奏されています.ホテルのロビーのシーンではフランツ・レハールの喜歌劇「メリーウィドウ」から”ヴィリアの歌”,”メリー・ウィドウ・ワルツ”が演奏されています マーラー以外にこれらの音楽が使われていたことを,あらためて”発見”しました

     

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ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団でラヴェル「ダフニスとクロエ」を聴く~第593回定期演奏会から

2011年10月08日 06時28分34秒 | 日記

8日(土).昨夕,サントリーホールで東京交響楽団の第593回定期演奏会を聴いてきました.指揮は1962年イギリス生まれ,2000年にバンベルク交響楽団,アンサンブル・アンテルコンタンポランの首席指揮者に就任したジョナサン・ノット,ピアノは情熱的な演奏で人気のある小菅優,合唱は海外にもその名を轟かせている新国立歌劇場合唱団です

プログラムは①ドビュッシー「夜想曲から”シレーヌ”」,②シェーンベルク「ピアノ協奏曲」,③ラヴェル「ダフニスとクロエ」(全曲)の3曲です.

ドビュッシーの「夜想曲」は「雲」「祭」「シレーヌ」からなりますが,”シレーヌ”は上半身は人間の女,下半身は鳥という怪物で,その美声によって船乗りを誘惑し難破させたと言われています

シレーヌの歌を表現するために女性合唱をオーケストラの右側後方に配置します.ジョナサン・ノットの指揮は流麗というか,滑らかな手さばきです.幻想的とでもいうべき曲想をフルオーケストラで奏でます

シェーンベルクの「ピアノ協奏曲」はナチス・ドイツから逃れてアメリカに渡ったシェーンベルクが1942年に作曲しました.1921年に彼が考え出した十二音技法によって作曲しました.十二音技法というのは,オクターヴに含まれるすべてが1回ずつ登場する音列に基づいて曲を構成していく技法だそうですが,専門外なのでよくわかりません

全体は単一楽章ですが4つの部分からなります.第1部「人生はとても穏やかだった」,第2部「突然,憎しみが沸き起こった」,第3部「深刻な状況が引き起こされた」,第4部「それでも人生は続いてゆく」となっています.シェーンベルクの人生そのものだ,という解説もあります

小菅優は濃いオレンジのドレスで登場,小柄ですが,技巧的に相当難しそうなこの曲に真っ向から立ち向かいます.彼女の演奏を観ていると,ハガネのような,野性的とでも言えるような俊敏な力を感じます 曲自体は,どこが良いのかわからないのですが,集中力のある真摯な演奏態度はこちらに伝わってきます.音が非常にきれいなのも彼女の演奏の特徴でしょう

何度も呼び返されて,アンコールを弾くために座ったので,「お願いだからシェーンベルクは止めてね!」と心で願ったのですが,流れてきたのは,どうもシェーンベルクのような曲想です.シーンとした中でピアノの音だけが響きます

休憩時間にロビーに出て「アンコール曲の紹介」を見ると「武満徹作曲 雨の樹の素描1」となっていました.武満ってシェーンベルクそっくりジャンと思いました

休憩が終わり席に着くと,私の席の3つ前の左の席に,さっきまでシェーンベルクを弾いていた小菅優がGパン姿で座りました.小柄ながらかなり体格がいいようです

ロシア生まれの天才的な興行師ディアギレフはラヴェルにバレエ音楽を依頼しました.ラヴェルは,その依頼を受け,2~3世紀頃のギリシャの作家ロンゴスの恋愛物語に基づいた「ダフニスとクロエ」を作曲しました.全体は1幕3部からなり,第1部は聖なる森のはずれの草原,第2部は海賊ブリュアクシスの陣営,第3部は第1部と同じ場面になっています.ラヴェルはこれを抜粋して,第1組曲を完成し1911年4月に初演,1913年に第2組曲を作曲しました.このうち最も美しく感動的なのは第3部の冒頭に当たる「夜明け」でしょう.そして「無言劇」,最後の熱狂的な「全員の踊り」になだれ込みます

この曲は50分ほどかかる大曲で,途切れることなく音楽が続きますが,ジョナサン・ノットは流麗な指揮ぶりでオーケストラを歌わせます.全曲を通してフルートが活躍するのですが,首席の甲藤さちの演奏は指揮者の意図に100%応えた素晴らしい演奏でした 演奏後,ノットがソリストとして立たせたのは甲藤さちだけだったのも頷けます.また,新国立歌劇場合唱団の合唱も特筆に値します.終演後は惜しみない拍手とブラボーの嵐でした

      

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東京交響楽団2012-2013年定期会員を継続

2011年10月07日 06時37分16秒 | 日記

7日(金)。東京フィル文京シビックシリーズに続いて、東京交響楽団から「2012-2013年定期会員継続案内」が届きました。現在、サントリーホール・シリーズと東京オペラシティ・シリーズの定期会員になっています

東京交響楽団の良いところは毎年、テーマを設定してプログラムを組んでいるところです。最近ではシューベルトの交響曲全曲演奏シリーズや、その後のシューマン交響曲全曲演奏シリーズなど、いずれも良い企画で良い演奏でした

次年度のテーマは「マーラー・リーダー(歌曲)」シリーズです。10回のうち8回の公演で歌曲を取り上げます。「子どもの不思議な角笛」(2回に分けて)、「大地の歌」、「さすらう若人の歌」、「リュッケルトによる5つの詩」、「若き日の歌」、「亡き子をしのぶ歌」、「嘆きの歌」です プログラムにマーラーが入っていないのは6月と9月ですが、両方ともモーツアルトのピアノ協奏曲が入っているので文句の付けようがない素晴らしいプログラムです。もう、定期会員を継続するしか選択肢はありません.S席49,000円,1回あたり4,900円です

一方の東京オペラシティ・シリーズは全6回公演です。このうち一番の”ウリ”はラ・フォール・ジュルネ音楽祭で人気に火が点いたネマニャ・ラドゥロビィチの指揮&ヴァイオリンによるバッハのヴァイオリン協奏曲第1番、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲2曲(二短調とホ短調)の公演でしょう。もう一つはアラべラ・美歩・シュタインバッハーの演奏するブラームスのヴァイオリン協奏曲の公演です。曲の魅力で選べばモーツアルトのピアノ協奏曲第23番が児玉桃の演奏で聴ける公演があります。また、交響曲第38番ほかオール・モーツアルト・プログラムによる公演もあります。こちらも定期会員を継続するしかありません.S席26,000円,1回当たり4,400円弱です

もうひとつ,ミューザ川崎で開いてきて震災後に別会場で公演している「名曲全集」のうち,2013年3月31日の公演で,三ツ橋敬子が待望のベルリオーズ「幻想交響曲」を振ります.これは単発でチケットを買うことにします

 

   

 

ところで,明後日の日曜日に新国立劇場のオペラ公演「サロメ」を観にいくのですが,またまた新国立から「指揮者変更のお知らせ」が届きました.今回はいつもと変わっていて,日本人の指揮者が出演できなくなり,代わりに外国人が指揮を執るという内容です.「出演を予定していた尾高忠明が,健康上の理由のため出演出来なくなった.代わってオーストリア生まれのラルフ・ヴァイケルトが出演する」という内容です.チューリッヒ歌劇場の音楽監督などを歴任したとのことです.お手並み拝見といきましょう

 

          

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東京フィル「文京・響きの森クラシック・シリーズ」2012年度定期会員を継続

2011年10月06日 06時30分37秒 | 日記

6日(木)。昨夕は仕事の関係で飲みました。月・飲み会、火・コンサート、水・飲み会と3連チャンできついのですが、サラリーマンなので、どうしても仕事優先になってしまいます 結局,月曜に次いで昨夕も帰りの地下鉄で乗り越しました.しかも月曜よりも終点に近い駅まで サラリーマンといえば、毎年オリックスがやっている「お金をテーマにした”マネー川柳”」は面白いですね。昨年の大賞は「はやぶさの五倍もかけてローン終え」でした。第8回の川柳を現在募集中で大賞30万円とのこと。無い知恵を振り絞って考えてみようかとおもいますが,さてどうなることやら・・・・・・

  閑話休題 

公益財団法人文京アカデミーから「響きの森クラシック・シリーズ2012-2013セット券継続購入案内」が届きました.2012年6月から2013年2月までの4回の公演で,このシリーズの10周年記念として,全公演を小林研一郎が指揮をとり,ベートーヴェンの交響曲を演奏するとのこと.オーケストラは東京フィルで,会場は文京シビックホール.各公演のラインアップは次のとおりです

6月9日(土)     チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:渡辺玲子),ベートーヴェン「交響曲第6番”田園”」

9月22日(土・祝) チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」(P:ユンディ・リ),ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」

12月8日(土)   ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」(Sp:市原愛,At:山下牧子,Tn:高橋淳,Br:青戸知)

2月2日(土)    ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」(P:仲道郁代)

この4回でS席22,000円,A席19,000円,B席15,000円とのことです.ユンディ・リのピアノが聴けて,第9が聴けてこの安さS席で1回当たり5,500円.絶対お買い得です さっそく現在の定期会員S席を継続する旨のハガキを投函しておきました

 

   

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仙台フィルハーモニーで「ショスタコーヴィチ「第5交響曲」を聴く~お寺の本堂での練習の成果披露

2011年10月05日 07時00分25秒 | 日記

5日(水).昨日の朝日朝刊「文化面」に「ホール被災 乗り越えて」と題する記事が載りました。「仙台フィルは、20年以上使ってきた市民センターが東日本大震災を被災して休館となり、仙台市青葉区の住宅地にある東昌寺で練習している」という内容です。写真はお寺の本堂での練習風景です。このお寺は団員の実家とのこと。宮城、福島、岩手の文化ホールは使用できない状態にあるといいます。何とか練習場を確保しようという意欲が、お寺の本堂に繋がったのでしょう。お寺の本堂なら適度に残響もあり、案外いいかもしれません。大管弦楽の音の中で,仏様も”知らぬが仏”とホットケないでしょう

 

          

 

さて、昨夕,東京オペラシティコンサートホールで仙台フィルハーモニー管弦楽団の東京公演を聴いてきました これは「アジア オーケストラ ウィーク 2011」の一環として”わかちあうシンフォニー”の名のもとに開かれたもので,ニュージーランドからは2月22日に大地震の被害を受けた地元のクライストチャーチ交響楽団が,日本からは3月11日に東日本大震災で被災した宮城県の仙台フィルが,そして被災に対し早期に支援を表明した韓国からは大邸(テグ)市立交響楽団が参加しています 10月2日に大低市立交響楽団が,3日にクライストチャーチ交響楽団が,4日に仙台フィルがオペラシティ・コンサートホールで演奏します.スケジュールの関係ですべては聴けないし,同じ日本人として支援をする意味で仙台フィルを選びました 座席は1階18列11番という中央ブロック通路側です.

仙台フィルは1973年に市民オーケストラ「宮城フィルハーモニー管弦楽団」としてスタートし,78年にプロ・オケとして活動を開始,89年に現在の「仙台フィルハーモニー管弦楽団」と改称しました.昨年10月には第250回の定期演奏会を開いたといいます.3月11日の大震災を受けて「音楽の力による復興センター」を立ち上げ,復興に向けて演奏活動を続けているとのことです

オーケストラを見ると顔なじみの演奏家が2人いました.一人は東京シティフィルのコンサートマスター戸澤哲夫,もう一人は東京フィルの首席ヴィオラ須田祥子です.あらためてプログラムを見ると,それぞれ客員コンサートマスター,客員首席ヴィオラと紹介されていました.

プログラムは①片岡良和「抜頭によるコンポジション」②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」③ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」の3曲.指揮は2009年から仙台フィル正指揮者の山下一史,ピアノは1982年仙台市生まれの津田裕也です.

1曲目の「抜頭によるコンポジション」を作曲した片岡良和は宮城フィルハーモニー管弦楽団の創立者で,現在,仙台フィルの副理事長とのこと.「抜頭によるコンポジション」は雅楽「抜頭」をヒントに作曲したもので,極めて日本的な,民族色豊かな曲です 演奏後,私の5つ前の席の男性が立ち上がり拍手に応えていました.作曲者本人でした.

2曲目のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」はある意味画期的な曲です.それまでは,協奏曲と言えばまず前奏があって,その後やっとピアノが出てくるのが普通でした.その常識を覆して,この曲は冒頭からピアノ独奏で始まります.この曲が交響曲第5番”運命”とともに初演されたことも大きな意味があるでしょう

津田裕也はたしか,仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門優勝者クララ・ジュミ・カンのリサイタルの時に伴奏を務めたピアニストです.地味な存在ですが,しっかりした音楽作りをします.盛んにを受けていました.

ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」は,当時スターリン体制のもと自由な芸術活動が認められず,第5交響曲では”伝統的で大衆に分かりやすい”曲作りをしました.そうは言うものの名曲には違いありません

山下一史のタクトが振り下ろされ”苦悩の第1楽章”とでもいうべき音楽が始まり,コンマスの戸澤哲夫がぐんぐんオケを引っ張っていきます.仙台フィルのメンバーもよく付いていっています.最後の第4楽章フィナーレでは弦も管も打も最大限の力を振り絞って”歓喜の勝利”を歌い上げます

第4楽章が終わると会場いっぱいの拍手とブラボーが舞台に押し寄せました.力一杯の,というより,温かい拍手と言った方が相応しいでしょう.ショスタコーヴィチの交響曲第5番は,被災地の復興に向けた意志を現すのに最も相応しい曲のように思います オケのメンバーの表情を見ると,晴れ晴れとして,達成感に満ちていました

鳴り止まない拍手に,アンコールが演奏されました.大河が流れるような包容力のあるゆったりした曲です.イギリスの作曲家か?だとすれば,エルガーか?エルガーの管弦楽曲といえば・・・・エニグマ変奏曲か?・・・・と考えているうちに曲は終わってしまいました.心が洗われるようないい曲です 帰る途中,ロビーに張り出された「本日のアンコール曲」の案内を見ると,「エルガー作曲”エニグマ変奏曲”から”二ムロッド”」とありました.半分当たりでした 「ニムロッド」は”エニグマ変奏曲(なぞの変奏曲”)」の第9変奏に当たる曲で,旧約聖書に出てくるノアのひい孫で狩の名人です.お勧めCDはジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団による1956年の録音(下の写真)です.

練習場の確保,学校や施設での演奏活動などいろいろ大変でしょうが,仙台フィルにはショスタコーヴィチの第5交響曲のように,不屈の精神で頑張ってもらいたいと思います.機会があればまた聴きにいきたいと思います.そうすることが一番の支援活動になると思います

         

   

 

 

コメント (2)
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