人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブラームス「弦楽五重奏曲第2番ト長調」を聴く~新日本フィル室内楽シリーズ

2011年10月21日 06時50分24秒 | 日記

21日(金)。昨日、すみだトリフォニー(小)ホールで新日本フィル室内楽シリーズ第2回を聴いてきました。プログラムは①ジェイコブ「六重奏曲」②ブラームス「弦楽五重奏曲第2番ト長調」の2曲です

1曲目のジェイコブの「六重奏曲」は、フルート、オーボエ、ホルン,ファゴット,クラリネット,ピアノによる曲です。プログラムでは個々の演奏者が”聴きどころ”を書いているのですが,まとめると「イギリスの伝説的なホルン奏者デニス・ブレインが,1955年に父オーブリーが死去した際に,ジャイコブに,父の思い出のために曲を依頼した.出来あがったのが父の名Aubley Brainの文字から「A・B・E・B・A」の音をモチーフに作曲した「六重奏曲」だった」ということでした 

このコメントを見る前は,まさかあのデニス・ブレインと関係ある曲だとはまったく思っていなかったので”予習”のしようがなかったのですが,後で家に帰ってデニス・ブレインの12枚組CD「The Art of DENNIS BRAIN」をあらためて調べてみたら,何とジェイコブの「六重奏曲」が収録されていました こういう情報はあらかじめ教えてもらえれば”予習”ができるので,とくに有名で無い作曲家の場合,新日本フィルの関係者には善処をお願いしたいと思います

フルートの野口みおさんは赤のドレス,クラリネットの澤村康恵さんはゴールドのドレス,ピアノの織田祥代さんはグリーンのドレス,男性陣は例外なく黒のスーツで登場です

この曲は5つの楽章から成りますが,フルートの野口みおさんが「それぞれの楽章が,古典的,ジャズ風,ちょっとフランスの香り・・・・と個性に溢れており・・・・」と書いていますが,そういう曲風です.全体的にはフランス風で,ときにガーシュインの”パリのアメリカ人風”だったりします.ソリストたちは軽妙洒脱に演奏していました

2曲目のブラームス「弦楽五重奏曲第2番ト長調」は、オーストリアの保養地バート・イシュルで1890年ごろ完成した明るい曲です。作品全体にワルツの主題がちりばめられており、ロマ音楽(ジプシー音楽)が終結部で展開されています。全4楽章からなります。ヴァイオリン2,ヴィオラ2,チェロ1という編成で,チェロを真ん中にヴァイオリンとヴィオラが相対する形で,掛け合いをします

演奏者の”聴きどころ”によると「この曲は,ブラームスが57歳のときの作品で,彼はこれを以って作曲活動を終えようと思っていた(結局止めなかった)」ということですが,若さ溢れる”青春の音楽”としか聴こえません エネルギッシュで,前に進もうとする強い力を感じます.第2楽章のアダージョのヴィオラの演奏も味わいがあるのですが,スケルツォ風の第3楽章が親しみやすいメロディーでいいと思います.秋にはやっぱりブラームスが似合います

 

      

 

蛇足ですが,プログラムの「出演者のプロフィール」を見るとジェイコブはともかく,ブラームスを演奏する5人の演奏家のうち4人が桐朋学園大学卒となっています.例えば弦楽だけと限定した場合,同じ大学の出身者だけでグループを組む傾向があるのでしょうか?会社で言えば”学閥”ですが,オーケストラの場合は”楽閥”でしょうか?・・・・・・これは新日本フィル特有の傾向なのでしょうか?他のオーケストラの団員が室内楽を演奏する際には気をつけてプロフィールを見てみようと思います

 

写真左はジェイコブの「六重奏曲」を収録した「The Art  of DENNIS BRAIN」のCD.右は予習として聴いたハーゲン弦楽四重奏団によるブラームス「弦楽五重奏曲」のCD.

 

      

 

 

 

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「マーラー没後100年記念プロジェクト~マーラーとウィーンの世紀末」のチケットをゲット!

2011年10月20日 06時22分16秒 | 日記

20日(木)。10月も下旬に入ろうとする今頃は日中も肌寒く感じるようになりますね。夕べは今秋初めて鍋料理にしました。鳥肉と野菜中心のオーソドックスな寄せ鍋です。これからは鍋が多くなるかも 陽がトックリ暮れるとトックリが恋しくなります・・・・・・寄席鍋かい?

コンサートに行くと会場の内外で1キロもあるチラシの束をもらいますが,その中に銀座ヤマハホールのチラシが入っていました.同ホール主催の秋の公演が並んでいます.何気なく見ると「マーラー」の文字が目に入ってきました.「モーツアルト」「マーラー」の文字が目に入ると即,反応します.を凝らして見ると「マーラー没後100年記念プロジェクト マーラーとウィーン世紀末」12月5日(月)19:00開演.一般4,000円(全席指定)とありました

気になる演奏曲目を見ると,マーラーの「ピアノ四重奏曲・断章・イ短調」ほか,とあります.”これは買いだ!”と即決しました 演奏家たちの名前が書かれていますが,誰一人知っている演奏家がいません しかし,誰が演奏しようがいいのです.マーラーの「ピアノ四重奏曲」が生演奏で聴ければ.この曲は滅多に演奏されることがないので,数少ないチャンスなのです

早速チケットぴあで買い求めましたが,公演1ヵ月半前というのに,前から5列目の中央・通路側の席が取れました.まだ空き席がだいぶありそうでした。演奏家が無名なので売れないのでしょうか?まだ1ヶ月以上もあるので,これから売れるのでしょうか?よく分かりませんが,マーラー好きは即,飛びつくはずです 新しくなったヤマハホールで初めて聴くコンサートです。期待したいと思います

昨年レオナルド・ディカプリオが主演した映画「シャッター・アイランド」を観たことのある人は思い出してほしいと思います.映画の冒頭に,2人の男が建物の中に入っていくと,物憂げな音楽が流れてきます 一人が「ブラームス?」と問います.その時,私もてっきりブラームスのピアノ四重奏曲かと思いました.まるで主人公の頭の中のパラノイア的な状態を表現したようなメロディーが,深ーく,深ーく,沈潜して流れていきます それはマーラーの「ピアノ四重奏曲」であることが後で分かります.この映画のテーマにこれほど相応しい音楽はないでしょう。確かスコセッシ監督でしたね、素晴らしい感性を持った人だと思います

〔写真はマーラー「ピアノ四重奏曲イ短調」のCD(ピアノ:クラウス・シルデ,他)のCD〕  

                

 

マーラーとは直接の関係はありませんが、このコンサートが開かれる12月5日はモーツアルトの命日です。彼は1791年12月5日に35年の生涯を閉じました。今からちょうど220年前のことです。コンサートから帰ったら彼の「レクイエム」でも流そうかと思います

 

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グレン・グールドの素顔に迫る~10月29日から映画公開

2011年10月19日 06時25分39秒 | 日記

19日(水).昨日の日経夕刊に「謎多きピアニスト研究進む~天才グールド,その素顔は」という記事が載りました

グレン・グールドは真夏でも手袋とマフラーを手放さず,異様に低い椅子に座り,歌いながら鍵盤を叩いていました バーンスタインとの共演後,31歳の1964年以降コンサートは開かず,レコードのみを発表,50歳という若さで死去した天才ピアニストです

記事は,カナダの新聞記者マイケル・クラークスン著「グレン・グールド シークレット・ライフ」を紹介,「かかわりのあった女性らの証言をもとに,数々のロマンスからその実像に迫っている」としています.青柳いづみこ著「グレン・グールド」は未発表のライブ音源なども取り上げ,これまであまり顧みられなかったステージ演奏家時代に光を当てている,とのことです

また10月29日から銀座テアトルシネマほかで公開される「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」を紹介,かつての恋人たちの口から彼の素顔が語られる,としています.

彼の演奏の特徴は一音一音を区切る独特の奏法で,楽曲をバラバラに分解して全く違うものに組み立てるような解釈です.また,作曲家の指定を無視して,ゆっくりと弾いたりするのも彼の演奏の大きな特徴です

グールドといえば2つのゴールドベルク変奏曲が有名です.最初の演奏は1955年のモノラル録音で,2番目の演奏はその27年後の1982年のステレオ録音です.最初の演奏は”とんがって”いますが,2番目のはゆったりとしたテンポで音楽が進みます 個人的には最初の演奏の方が何とも言えない味があって引き込まれます

 〔写真左はバッハ「ゴールドベルク変奏曲1955年盤」,同右は「同変奏曲1982年盤」〕

          

グールドのLP,CDは,モーツアルトのピアノ・ソナタ全集,バッハのインヴェンションとシンフォニア,フランス組曲,イギリス組曲,ピアノ協奏曲集,ブラームスの間奏曲などなどを持っていますが,彼の演奏の中で一番気に入っているのはシベリウスの「ピアノ小品集」です.ソナチネ第1番,第2番,3番とキュッリッキ(ピアノのための3つの抒情的小品)が収録されています.とくにソナチネ第1番がお気に入りです 北欧の厳しい自然のなかの”静寂の音楽”を感じます

グールドは1982年没ということなので,来年,没後30年を迎えます.ますます注目される偉大なアーティストです

 

           〔写真左はシベリウスのCD,右は映画のチラシ〕

         

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新イイノホールがオープン~10月25日にオープニング公演「深沢亮子と若きアーティストたち」

2011年10月18日 06時50分13秒 | 日記

18日(火).昨日,今度新しくオープンするイイノホールの関係者(Kさん,Hさん)が来社され,新ホールで開かれるオープニング公演の招待券をお持ちくださいました チラシによると,「イイノホール・オープニング公演 深沢亮子と若きアーティストたち」と題するコンサートで,10月25日(火)午後7時から内幸町のイイノホールで開かれます.

メイン・プログラムは深沢亮子のピアノ,永井公美子のヴァイオリンによるベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ”春”」です.Kさんによると,イイノホールは旧ホールの時から,若い演奏家や落語家を育ていくというコンセプトがあるとのことで,この公演も若い演奏家たちが出演します.勉強不足の私には一人も名前がわかりませんが,以下のようなメンバーが次のような曲を演奏します

小沢麻由子(ピアノ):ショパン「雨だれ前奏曲」ほか,海野幹男(チェロ):バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」,千田悦子(ハープ):リスト「夜鳴きうぐいす」ほか,佐々木和葉(バレエ),海野(チェロ),千田(ハープ):サン=サーンス「白鳥」,そして”トリ”が深沢+永井によるベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」です

イイノホールが若手を育てていこうとする姿勢については,私がすでに購入してある江副育英会コンサート(12月18日.同ホール)もそういうコンセプトなので,よく理解できます 一民間企業の事業としては素晴らしい取り組みだと思います 一種の”先行投資”だと思いますが,”先行投資”とは”採算度外視”のことですから,経営側としては大きな決断でしょう.ひとつの社会貢献事業だと思います

Kさんの説明によると,深沢亮子さんは旧イイノホールの時から,ホールのアドバイザー的な存在だったようで,今回の新ホールのオープンに当たって,ホール備え付けのピアノにスタインウェイを選定したのも深沢さんだったそうです 先日,ホールを見学させてもらった時に,舞台中央にドーンと鎮座していました 「ベーゼンドルファーでなくていいんですか?」と訊かれて「スタインウェイでイイノ!」と答えたとか・・・・・・山田くーん,座布団1枚取ってくださーい

この公演は入場料:全自由席4,000円で,CNプレイガイド,東京文化会館チケットサービスなどで取り扱っているとのことです

座席数500のこのホールの残響時間は反響版を入れて1.5秒ということです.演奏もさることながら,楽器としてのホールも楽しんでこようと思います

 

               

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ノルマ・ファンティーニの「トスカ」にブラボー~プラハ国立歌劇場の公演を観る

2011年10月17日 06時29分19秒 | 日記

17日(月).昨日、東京文化会館で、プラハ国立歌劇場によるプッチーニのオペラ「トスカ」を観てきました ノルマ・ファンティー二がタイトル・ロールのトスカを歌う待望の公演です.自席は1階13列13番.中央のやや左・通路側です.

プラハ国立歌劇場は1887年に創設されたチェコ随一のオペラ専門の歌劇場です。マーラー、ジョージ・セル、クレンぺラ―など錚々たる指揮者を迎えて公演を挙行してきました。今回の公演は同歌劇場来日15周年とのことですが,舞台は1947年当時の舞台構成を復元したものということです.舞台はシンプルでオーソドックスが一番です

ノルマ・ファンティーニのトスカ以外のキャストは,カヴァラドッシ=ピエロ・ジュリアッチ,スカルピア=ミゲランジェロ・カヴァルカンティ,アンジェロッティ=ルカーシ・ヒネック=クレーマーほかです.バックはジョルジュ・クローチ指揮プラハ国立歌劇場管弦楽団,同合唱団が務めます.

この日のファンティーニには一つ不安がありました というのは,前日歌う予定だったエヴァ・マルトンが来日不能になり,急きょファンティーニが2日連続でトスカを歌うことになったからです.ただ,その心配は結果的には杞憂に終わりました

よく言われることですが,このオペラの特徴は「劇と音楽の一体化」です.物語と音楽が常に一体となって進み,台詞のみの場面や,劇を中断させる挿入音楽はほとんどなく,終始弛緩することがなく進みます もう一つの特徴は,主人公役の一人だけのアリアが極めて少ないということです.第1幕のカヴァラドッシのアリア「妙なる調和」,スカルピアのアリア「行け,トスカ」,第2幕のトスカのアリア「歌に生き,恋に生き」,第3幕のカヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」くらいしかないのです.あとはトスカとカヴァラドッシ,トスカとスカルピアというように,二重唱が多いのです.それはそれで素晴らしい音楽なのですが

カヴァラドッシ役のピエロ・ジュリアッチは第1幕の「妙なる調和」で素晴らしいテノールを聴かせ観衆の心をつかみました.声は申し分ないのですが,ちょっと太りすぎでは?と思いました.もちろん第3幕の「星は光りぬ」も素晴らしかったですが

アンジェロッティ役のクレーマーは,最初舞台に登場したときに「イエス・キリスト」が出てきたのかと勘違いするほど,似ていました こちらは,ちょっと痩せすぎでは?と思いました.世の中うまくいかないものです.

スカルピア役のカヴァルカンティは第1幕を締めくくる「行け,トスカ」を見事なバリトンで歌い盛んな拍手を受けました.ただ,容姿が全然悪人に見えないのが玉にキズです.もっと”えげつなさ”や”いやらしさ”が欲しいと思いました 私はスカルピアの独白から,途中でテ・デウムが加わって第1幕が荘厳に締めくくられるこのシーンが大好きです.この演出ではオーケストラの音楽に,時々大砲の音が混じり,緊張感を高めていました.その意味では十分楽しめました

さて,最初から最後まで出ずっぱりのトスカ役ノルマ・ファンティーニの素晴らしさを,どのように表現すればいいのでしょうか 第1幕のカヴァラドッシとの二重唱「二人の愛の家へ」ではのびやかな美しい歌声を聴かせてくれました.このオペラのハイライト,第2幕のアリア「歌に生き,恋に生き」では,あまりの感動で背筋が寒くなり,涙がチョチョギレそうになりました しばらく会場の拍手喝采,ブラボーが止みませんでした

今回の公演を観るに当たって,どういう演出をするのか楽しみにしていたのが,最後にトスカが城壁から身を投げるシーンです.通常のオペラの演出では,トスカが,足から”どっこいしょ”という感じで飛び降りるのですが,新国立オペラでファンティーニがトスカを演じた時には,直立のまま”倒れ込み”ました.それが感動的で今でも忘れられないのです

今回も同じ演出でやってくれました新国立の時はどうだったか思い出せないのですが,彼女は右手にスカーフを高く掲げて,そのまま城壁から直立のまま倒れ込んでいきました.なんと迫真の演技感動的なフィナーレ ここでも背筋が寒くなりました.

終演後,会場は割れんばかりのとブラボー,ブラビーの嵐です.会場のあちこちでスタンディング・オーベーションが見られました.とくにノルマ・ファンティーニが舞台に登場した時の騒ぎは尋常ではなく,ファンティー二も何度も会場に向けて投げキッスをして応えていました 最後に大きく手を振って舞台袖に引き上げていきました.とても名残惜しかったです

ひと言でノルマ・ファンティーニの魅力を語るのは難しいのですが,トスカに関して言えば,彼女は”トスカを演じている”というよりは”トスカに成り切っている”と言った方が相応しいと思います.トスカへの感情移入が激しいように思います

最後に忘れてはならないのはクローチの指揮と,プラハ国立歌劇場管弦楽団の演奏です.ソリストたちの歌をしっかり支え,ある時は自ら”歌って”このオペラを盛り上げていました

プログラムの中の,ファンティーニのインタビュー記事が載っているのですが,今後の予定として来年,新国立劇場で「トスカ」を歌うとのことです.また一つ楽しみが増えました

 

       〔プログラム表紙と中面掲載のノルマ・ファンティーニ〕

        

 

この公演が今年100回目です.一応目標達成ですが,まだまだ続きます.また,今年2月15日に始めたこのブログが今回300回を迎えました.こちらも,まだまだ続きます

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坂本龍一「スコラ 音楽の学校」その2~モーツアルトの魅力

2011年10月16日 08時39分18秒 | 日記

16日(日)その2.昨日午後11時からEテレで「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」の第3回「モーツアルトの魅力」が放映されました ハイドンとモーツアルトを対比させる形で,それぞれの音楽の特徴や魅力を浮き彫りにしていました.

ハイドンは1732年~1809年で77歳まで,モーツアルトは1756年~1791年で35歳まで生きたわけですが,2人の生きた時代はオーバーラップしていることが分かります.ハイドンはモーツアルトの”先生”でした.彼はモーツアルトを高く評価し,ある意味”嫉妬”さえしていたのではないかとも言われています.一方のモーツアルトはハイドンを尊敬し,最後の6つの弦楽四重奏曲(いわゆるハイドン・セット)をハイドンに献呈しています.

坂本”教授”は最初に2人の弦楽四重奏曲を例に挙げて比較します.ハイドンの作品33の3「鳥」とモーツアルトの第19番「不協和音」です.教授は「自分だったら,ハイドンは書けるかもしれないけど,モーツアルトは書けない」とコメントしていました. 「ハイドンは,これから,こういう風に展開すれば面白いと思うけれど,元に戻すのが大変だからとして,一歩手前で止めていることが見える.つまり冒険をしようとしない.それに対し,モーツアルトは,作曲の世界では”やってはいけない”ことをあえてやってしまう.その結果が素晴らしい音楽になっている.”不協和音”と言われる弦楽四重奏曲の出だしはまさに当時,前衛的な響きだった」と

出演者の一人が「ハイドンに無く,モーツアルトにある」特徴として「デモーニッシュ」という言葉を挙げていました.つまり「悪魔的」という意味です.これは古くから言われている彼の音楽の特徴です.とくに短調の曲における特徴として挙げられてきました.交響曲第40番ト短調,ピアノ協奏曲第20番ニ短調,歌劇「ドン・ジョバンニ」など,挙げたらキリがありません 個人的な経験で,たとえばモーツアルトの交響曲を聴いた後でハイドンの交響曲を聴くと,何か物足りなさを感じてしまいます.ハイドンには”デモーニッシュ”なところがないからだと思います

次にモーツアルトの交響曲第41番「ジュピター」を題材に取り上げ,この曲の魅力を探っていました.この曲の出だしは本当に単純な音階で出来ていますが,展開される音楽の振幅の大きさ,深さに圧倒されます.出演者の一人が「ハイドンと比べて,モーツアルトは木管楽器のひとつひとつの扱いが優れているのではないか」とコメントしていましたが,なるほどその通りだ,と同感しました

来週はベートーヴェンを取り上げるとのことです.楽しみですね

写真左のCDはモーツアルト「弦楽四重奏曲第19番”不協和音”」(ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団)の1952年の録音,写真右はモーツアルト「交響曲第41番”ジュピター”」(ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団)の1963年の録音です.

 

      

 

 

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チョン・ミュンフン=ソウル・フィルの公演と南西ドイツ放送交響楽団&萩原麻未の公演チケットをゲット!

2011年10月16日 07時11分18秒 | 日記

16日(日).昨日は土日では珍しくコンサートの予定が入っていなかったので,神保町の「チケットぴあ」で来年のコンサート・チケットを買ってきました 昨日発売開始になった2つの公演です.

1つは来年1月16日(月)にサントリーホールで開かれるチョン・ミュンフン指揮ソウル・フィルの公演です.プログラムは①ドビュッシー「交響詩”海”」②マーラー「交響曲第1番ニ短調」の2曲.このコンビは5月10日に来日公演を挙行したのですが,当初①ドビュッシー「海」②ラヴェル「ラ・ヴァルス」③チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」の予定だったのを,チョン・ミュンフンの強い希望で①と②の代わりに庄司沙矢香をソリストに迎えチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏しました

それというのも,チョン・ミュンフンは3月19日にチェコ・フィルと,庄司沙矢香をソリストに迎えてチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏する予定だったのが,3月11日の東日本大震災の影響で来日中止になってしまったからです.3月のチャイコフスキーが5月に,5月のラヴェルが来年1月に,トコロテン式に押し出された格好です

チョン・ミュンフンは,5月のソウル・フィルとの素晴らしい公演に次いで,8月にはアジア・フィルを率いて来日,ベートーヴェンの「第7番」とブラームスの「第1番」を振ったのですが,その熱演にすっかり感激してしまいました その時,今後ソウル・フィルでもアジア・フィルでも,チョン・ミュンフンと一緒に来日するのなら,必ず聴きに行くと決めていました.メイン・プログラムがマーラーの「第1番」ですから,なおさら聴き逃すことは出来ません 彼の指揮するマーラーは現在望みうる最高のパフォーマンスです

 

         

 

もう1つは2月17日(金)サントリーホールで開かれる南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクの演奏会です.プログラムは①ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」(ピアノ:萩原麻未),②マーラー「交響曲第5番」です.これは言うまでもなく,萩原麻未のピアノを聴くために行きます 指揮はフランソワ・グザヴィエ・ロトという人ですが,この際マーラーの交響曲は2の次です.萩原麻未がラヴェルのピアノ協奏曲で,あのマルタ・アルゲリッチの境地にどれほど近づくことができるか,とても楽しみです

 

        

 

ところで,今日はモーツアルトのピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478が完成した日です 1785年10月16日のことでした.この曲はウィーンでオペラ「フィガロの結婚」の創作の合間をぬって作曲されました.当初,出版社側から3曲のピアノ四重奏曲の作曲を依頼されましたが,第1番を受け取った出版社側から「一般大衆からは受け入れにくい難解な作品だ」とクレームがついたため,第2番K.493は別の出版社から出され,3曲目の作曲は断念されました.第1番はト短調という調性もあって,情熱的でドラマチックな曲想が特徴です

写真でご紹介するのはモーツアルト時代のピアノ,ヴァイオリン,ヴィオラで演奏されたCD録音です.アンドラーシュ・シフ(ピアノ),塩川悠子(ヴァイオリン)ほかの演奏です.1789年にモーツアルトの生まれ故郷ザルツブルクのモーツアルテウムで録音されました.古楽器特有の”くすんだ”というか柔らかい温かい音色でモーツアルトが再現されています

 

      

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「ふしぎなキリスト教」を読む~橋爪大三郎×大澤真幸対談集

2011年10月15日 08時05分09秒 | 日記

15日(土)。昨日は元の職場のT君と巣鴨で飲みました。駅のすぐ近くの魚囲亭という店です.”ういてい”と読むそうです.お互いの職場の情報交換をして焼酎のボトル1本を軽く空け結局4時間飲み続けました.今朝はめずらしく起床が7時過ぎになってしまいました.”頭が頭痛”です.自業自得,四面楚歌,隔靴掻痒,前途絶望,信号無視・・・・・・なんかおかしくない?

さて,今日15日から新聞週間です。毎日、新聞を読んでいるといいことがありますよ。私は30年以上A、Nの2紙を購読していますが、重要な情報源です。皆さん新聞を読みましょう イベントでは、今日から27日まで、内幸町のプレスセンタービル1階ロビーで「新聞広告クリエーティブコンテスト」の入賞作品展が開かれます。時間は10時から17時までで、入場無料です。21日(金)午後6時半からは「新聞週間記念の集い」がプレスセンタービルの10階ホールで開かれます。八塩圭子さんの司会で、宇宙飛行士・秋山豊寛さんらが出席し「パネル・ディスカッション”東日本大震災ー求められる情報発信とは」が話し合われます。残念ながらこちらは10月5日に申し込みが締め切られてしまいましたが、あとで各紙で記事になると思います。新聞を読みましょうね

  閑話休題 

講談社新書「ふしぎなキリスト教~橋爪大三郎×大澤真幸」を読みました.新書版の帯に「起源からイエスの謎,近代社会への影響まで,すべての疑問に答える最強の入門書!」とあります.クリスチャンでもないわれわれ一般人は,キリスト教のことをわかっているつもりでも,実はまったくまったくわかっていないということを2人の社会学者が対談形式で教えてくれる本です.

普段,「クラシック音楽」を聴いていますが,いわゆるクラシック音楽(西洋音楽)はキリスト教文化と切り離せない存在です.そういう意味でもある程度はキリスト教について知っておいた方が,音楽を聴く上でプラスになると思い買い求めたものです

たとえば次の質問に答えられますか?

どうして神は一つなのか

ユダヤ教とキリスト教は同じなのか

預言者とは何者か

イエスは神か,人か

なぜイエスは処刑されたのか

福音書が複数あるのはなぜか

奇跡は本当にあったのか

カトリックとプロテスタントの違いは何か

ーーーなどなどです.この本はこうした疑問に答えてくれます

この本の中で,いくつか,なるほどと思ったところを紹介します.

[その1]

大澤:祈りの最後に「アーメン」という言葉をつける場合が多いですね.どういう意味ですか?

橋爪:これはもともとユダヤ教のもので,キリスト教,イスラム教にも伝わっているけれど,「その通り,異議なし」という意味です.新左翼が集会で「~するゾー」「異議ナシ!」とやっているけど,あれと同じです

[その2]

大澤:イスラム教は,ユダヤ教やキリスト教をその内部に取り込みながら出来上がっています.しかし,イスラム教にも,イエス・キリストというものはないのです.ユダヤ教にイエス・キリストが存在しないのは当然として,キリスト教を視野に収めているイスラム教にも,イエス・キリストという要素は存在しない.

[その3]

橋爪:論争の結果,どちらでもない中間に落ち着いたのです.それも,足して2で割るのではなく,イエス・キリストは「完全な人間であって,しかも,完全な神の子である」という結論になった.

そういえば,この本を読んで意外だと思ったのはこの2人の社会学者が「イエス・キリストは実在した」という点で一致しているということです とにかく,読み始めたら止められない面白さです.キリスト教に興味がない人にもお勧めします

 

        

 

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今日はモーツアルトのピアノ・ソナタK.457の完成した日

2011年10月14日 07時00分30秒 | 日記

14日(金)。昨夕は,新しい飯野ビルから地下通路がつながったことから,お客が当ビルに流れてくるのかどうかを確認するという名目で,地下の串焼きRでE部長とK君と飲みました.この日が私の誕生日だったこともあって,E部長が新しい新潟銘酒「きりんざん」の封を切ってくれました.1時間という約束で飲み,1升ビンの半分以上を空けました.解散後,地元のケーキ屋に寄って自分のためにケーキを買って帰りました.こういうのって淋しいよね

  閑話休題 

今日はモーツアルトのピアノ・ソナタ第14番ハ短調K.457が完成した日です  1784年10月14日のことです。翌1785年に幻想曲ハ短調K.475と共に「ピアノフォルテのための幻想曲とソナタ」として出版されました。モーツアルトの作曲したピアノ・ソナタのうち短調の曲はソナタ第8番とこの第14番のみです。

第1楽章「モルト・アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から構成されていますが、短調という性格もあってか、激しく劇的な展開を見せます。幻想曲ハ短調K.475と共に出版されたことから、モーツアルトはこの2曲を一つの作品として考えいていたという説があるそうです

忘れられない演奏は、フランスの女性ピアニスト、アンヌ・ケフェレックが一昨年、リサイタルで弾いたK.457とK.475の連続演奏です。深い味わいのある、感動的な演奏でした 彼女はCDでモーツアルト・アルバムを出しています。この2曲のほかにロンドイ短調K.511、幻想曲二短調K.397、デュポールのメヌエットによる変奏曲K.573が収録されています

久々にそのCDを出してみて,リサイタル当日にサインをしてもらった時のことを思い出しました.サインには2009年3月12日の日付が入っています.場所は浜離宮朝日ホールです.いつものように,やや後方通路側の席を確保していたので,アンコールが終わるや否やすぐにロビーに行ってサイン会のために並びました.何と先頭ですしばらく待っているとケフェレックが登場しました.買ったばかりのモーツアルト・アルバムCDを手に,さあサインがもらえるゾと期待していたら,なかなか始まりません.というのは,ケフェレックの親しい友人らしい日本人の中高年女性2人がケフェレックに話しかけて,フランス語でぺチャクチャ話し続けてなかなか止めようとしなかったのです 途中,ケフェレックもサインペンを片手に「お客さんが並んでいるから,また後で・・・」といった対応をしたのですが,なかなか止みません.そのオバサンたちは”外国人離れした非常識者”だと思いましたが,そばに主催者側のスタッフが3人もいたのに,誰もオバサンの暴挙を止めようとしなかったのです ケフェレックには何の罪もないのに,彼女のイメージダウンに繋がります.関係者に猛省を促したいと思います

その時のコンサートは前半がモーツアルト,後半がショパンでした.そしてアンコールにヘンデルの「メヌエット」を弾いたのですが,これが背筋が寒くなるほど感動を覚える美しい曲でしたほんの5分もかからない短い曲です.その後,昨年11月17日に銀座の「王子ホール」でショパンを中心とするリサイタルがあったので,聴きにいきました.その際にヘンデルの「メヌエット」を収録したCDにサインをもらい,感激して帰ってきました.

彼女の演奏は、ショパンもいいし、モーツアルトもいいし、ベートーベンもいいし、バッハやヘンデルもいいし、ラヴェルやサティもいいし、何を弾いても素晴らしいと思います。彼女の弾いたCDはほとんど揃えています

是非また日本に来てリサイタルを開いてほしいと切望します

 

        

 

 

 

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三ツ橋敬子指揮東京シティ・フィルの「ニューイヤー・コンサート」チケットをゲット!

2011年10月13日 07時14分15秒 | 日記

13日(木)その2.昨日は来年1月7日(土)に新宿文化センターで開かれる三ツ橋敬子指揮東京シティ・フィルの「ニューイヤー・コンサート」の発売開始日だったので,会社帰りに同センターまでチケットを買いに行きました 「ちけっとぴあ」での取り扱いはありません.昨夕,座席の空き状況を見たら,まだ1階の中央ブロック前方の50~60席くらいしか埋まっていなかったので,今のうちなら1階中央ブロックの通路側が取れると思います 新宿文化センターでの取り扱いは9:00~19:00,電話は13日以降同じ時間帯で番号は03-3350-1141です.

演奏曲目は,J.シュトラウス「皇帝円舞曲」,「美しく青きドナウ」,ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」,ヴェルディ「歌劇アイーダから”凱旋行進曲”」ほかです.有名な小曲を集めたコンサートですが,三ツ橋がこういう曲をどのように料理するのか楽しみです

三ツ橋敬子については,9月22日に「ティアラこうとう」で聴いた東京シティ・フィルとのブラームス「交響曲第1番」についてブログに書きました.今私が若手で一番期待を寄せている指揮者が三ツ橋敬子です 11月29日には東京交響楽団を振ってブラームスの「交響曲第1番」と,萩原麻未をソリストに迎えてシューマンの「ピアノ協奏曲イ短調」を演奏します.これは川口のリリア・メインホールでの公演ですが,もちろん聴きに行きます.当分,三ツ橋敬子と萩原麻未の活躍から目が離せません

 

         

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