人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京春蔡「N響メンバーによる室内楽」でサン=サーンス「ピアノ五重奏曲」「七重奏曲」「動物の謝肉祭」他を聴く / 文京シビック「響きの森クラシック・シリーズ」休止へ / 和製英語

2021年03月21日 07時25分21秒 | 日記

21日(日)。昨日の日経朝刊・別刷り「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」で「ネーティブには通じない『和製英語』」を取り上げていました クイズ形式に直してご紹介します

次のうち「和製英語」でないのはどれでしょうか?

①リフォーム、②リストアップ、③ライブハウス、④フライング、⑤マンツーマン(個人レッスン等)、⑥キーホルダー、⑦アフターサービス、⑧ワインクーラー(卓上用)、⑨サラリーマン、⑩ガソリンスタンド。

答えは「なし」。全て「和製英語」です 記事は次のように正しい英語表現を示しています

①リフォーム = 住宅・建物の改修は renovation、改装は remodeling

②リストアップ = 列挙するのは make a list

③ライブハウス = a live music club もしくは a live music venue  。

④フライング = a false start

⑤マンツーマン(個人レッスン等)= private lesson 。1対1で面と向かって話すことを強調する場合、米国は ono-on-one 、英国やオーストラリアは one-to-one を使うこともある。

⑥キーホルダー = key chain もしくは key ring

⑦アフターサービス = after-sales service

⑧ワインクーラー(卓上用)= a wine bucket

⑨サラリーマン = company employee もしくは office worker

⑩ガソリンスタンド = gas station

どうでしょうか、参考になりましたか? 新型コロナ禍で有名になった「Go  To  トラベル」などは典型的な和声英語ですね   緊急事態宣言の解除に伴って復活するのはいいですが、くれぐれも Go To  Trouble にならないように注意してほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2262日目を迎え、米国と中国の外交トップの直接会談は初日の18日、深刻な対立関係を象徴するかのような激しい応酬を繰り広げたが、冒頭発言を1人2分ずつにすると事前に申し合わせていたのに対し、中国の楊共産党政治局員は20分近くも発言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     

     他人の言うことは聞かず 自分の言いたいことだけを言うのが 習近平政権の流儀だ

 

         

 

文京シビックホールから「文京シビックホール改修工事に伴う休館および響きの森クラシック・シリーズ休止のお知らせ」が届きました それによると、「同ホールは改修工事のため今年4月から約1年9か月にわたり休館する。これに伴い、『響きの森クラシック・シリーズ』も公演を休止する。リニューアルオープン後、2023年度にシリーズを再開する予定だが、詳細が決まり次第案内する」となっています 個人的には、座りにくい椅子を改善してほしいと思いますが、そこまで改修するかどうか不明です

 

         

 

昨夜、東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭 参加公演「N響メンバーによる室内楽」を聴きました オール・サン=サーンス・プログラムで①「死の舞踏 作品40」(2台ピアノ版)、②「ピアノ五重奏曲 イ短調 作品14」、③「七重奏曲 変ホ長調 作品65」、④組曲「動物の謝肉祭」です   演奏はヴァイオリン=伊藤亮太郎、白井篤、ヴィオラ=中村洋乃理、チェロ=藤森亮一、コントラバス=市川雅典、フルート=神田寛明、クラリネット=松本健司、トランペット=菊本和昭、打楽器=植松透、竹島悟史、ピアノ=北村朋幹、三浦謙司です

自席はD列19番、左ブロック右通路側です 新型コロナ感染拡大防止のため最前列は空席となっており、座席は市松模様配置です

1曲目は「死の舞踏 作品40」(2台ピアノ版)です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835‐1921)がフランスのアンリ・カザリスの奇怪で幻想的な詩に霊感を得て1874年に作曲、翌75年にパリのシャトル座で初演された作品です 今回は2台のピアノ版により演奏されます

演奏する北村朋幹は東京藝大、ベルリン藝大を経て、現在フランクフルト音楽舞台芸術大学に在籍していますが、第3回東京音楽コンクールで第1位を獲得しています 三浦謙司は2019年ロン・ティボー=クレスパン国際コンクール優勝と3つの特別賞を受賞しています

三浦謙司が下手、北村朋幹が上手にスタンバイし演奏に入ります 静けさから始まり、骸骨が踊り始め、次第に激しさが頂点に達して、再び静けさに戻る様子が ありありと表現されました  曲が終盤を迎えた18時9分頃、 急に会場が揺れ始めました。地震です ピアニストの2人も気が付いたようですが そのまま演奏が続けられ、無事に終了しました 後で、休憩時間にスマホでニュースを調べたら、東京は震度3とのことでした あれが震度4だったらアナウンスが入り、一旦演奏は休止になったと思います 震度3と4の間には対応に大きな違いがありますが、残念ながらその違いを説明する じしん はありません

2曲目は「ピアノ五重奏曲 イ短調 作品14」です この曲は1855年(作曲者20歳!)に作曲されたヴァイオリン(2)、ヴィオラ、チェロとピアノのための作品です 第1楽章「アレグロ・モデラート・エ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・アッサイ・マ・トランクィロ」の4楽章から成ります

第1楽章はサン=サーンスの若き情念のようなものが感じられました 第2楽章は叙情的な曲想で、第3楽章はスピード感溢れる音楽です 第4楽章はメロディーが美しく、若きサン=サーンスのロマンを感じました CDを持っていないので初めて聴きましたが、20歳にしてすでにサン=サーンスのDNAが垣間見られる曲想でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目は「七重奏曲 変ホ長調 作品65」です この曲は1881年に作曲された トランペット、ヴァイオリン(2)、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノのための作品です 第1楽章「前奏曲」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「間奏曲」、第4楽章「ガヴォット:フィナーレ」の4楽章から成ります

第1楽章から菊本和昭のトランペットが爽快に鳴り響きます  第2楽章は古典的な「メヌエット」としているだけあり、愉悦感に満ちた踊れるような音楽です ところが、第3楽章に入ると曲想が一変します チェロ ⇒ ヴィオラ ⇒ ヴァイオリン ⇒ トランペットへと受け継がれる冒頭のメロディーをはじめ何と悲しい音楽でしょうか まるでモーツアルトの音楽が、楽しいと思っていたら、次の瞬間に悲しくなるような感じです 実はこの曲の3年前の1878年、サン=サーンスは1か月の間に2人の息子を事故と病気で亡くしており、その影がこの楽章に表れているのです しかし、第4楽章に入ると一転して、またしてもモーツアルトのごとく、何もなかったかのように陽気な音楽が戻ってきます 北村 ✕ N響のメンバーはこの切り替えが見事でした

最後の曲は組曲「動物の謝肉祭」です この曲は1886年に作曲された ピアノ(2)、フルート(ピッコロ持ち換え)、クラリネット、シロフォン、グラスハーモニカ(この日はチェレスタ)、ヴァイオリン(2)、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための作品です

この曲は①序奏と堂々たるライオンの行進、②雄鶏と雌鶏、③らば、④亀、⑤象、⑥カンガルー、⑦水族館、⑧耳の長い登場人物、⑨森の奥のカッコウ、⑩大きな鳥籠、⑪ピアニスト、⑫化石、⑬白鳥、⑭終曲から構成されています

実に楽しい演奏でした  この曲は「動物学的大幻想曲」という副題を持っていますが、まさにその名の通り、皮肉に満ちた大幻想曲です

第3曲「ラバ」ではピアノが凄いスピードで疾走します ラバはこんなに速く走れるのか? 第4曲「亀」では弦楽器とピアノがオッフェンバックの「天国と地獄」の有名な旋律をわざとゆっくり演奏します 「天国と地獄」はこんなに遅くていいのか? 言うまでもなくサン=サーンス特有の皮肉です 第8曲「耳の長い登場人物」では2本のヴァイオリンがしゃっくりのような音楽を奏でます これはサン=サーンスの音楽に嫌味な評価をしていた音楽評論家を皮肉っていると言われていますが、伊藤、白井のデュオは見事でした 第10曲「大きな鳥籠」では神田寛明のフルートが 飛び回る小鳥を表現していて鮮やかでした     第11曲「ピアニスト」は如何に上手いピアニストが下手に練習曲を弾くかにかかっています   下手に弾くほど評価されるという自己矛盾を抱えた曲です その点、北村 ✕ 三浦の演奏は完璧に下手でした   圧巻は第13曲「白鳥」における藤森亮一のチェロ独奏です。聴衆を黙らせる しみじみといい演奏でした    そして、最後の終曲はカーテンコールです    軽快なテーマに乗せて、これまで登場したメロディーが次々と現れます 滅茶苦茶楽しい演奏でした

会場いっぱいの拍手にカーテンコールが繰り返され、北村 ✕ N響のメンバーは、今演奏したばかりの「終曲」をアンコールに演奏し、再び満場の拍手を浴びました

サン=サーンスの音楽、特にヴァイオリン協奏曲や5曲のピアノ協奏曲は傑作揃いだと思いますが、残念ながら滅多にライブで演奏されることがありません もっとコンサートで取り上げてほしいと思います

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新日本フィル2021~2023年シーズン定期会員継続へ / ポール・バーホーべン監督「トータル・リコール」 & パティ・ジェンキンス監督「ワンダーウーマン1984」を観る 〜 新文芸坐

2021年03月20日 07時21分26秒 | 日記

20日(土)。先日、新日本フィルから「2021/2022シーズン・2022/2023シーズン 継続案内」が届いたので、継続することにしました 私は現在ルビー(アフタヌーン・コンサート・シリーズ)の会員(金曜日)ですが、2021/2022シーズンから「すみだクラシックへの扉」に名称が変更されます また、これまで9月シーズン始まりだったのが2022/2023シーズンから4月始まり(2022年4月~2023年3月・全8回)へと変更されることから、2021/2022シーズンは2021年9月~2022年3月の短縮期間(全5回)により開催されます 2シーズンを通算して申し込むと割引率が高くなるので、2021年9月から2023年3月までの全13回分をまとめて継続申し込みすることにしました

なお、トパーズ(トリフォニー・シリーズ)は現行2回公演が1回となり、ジェイド(サントリーホール・シリーズ)は1回公演のままで、共通のプログラムで演奏されます また、トパーズ、ジェイドの名称は廃止され、シーズンの期間は「すみだクラシックへの扉」と同様です

「すみだクラシックへの扉」で期待しているのは2021年9月度=ハインツ・ホリガー指揮・オーボエによるチマローザ「オーボエ協奏曲」他、2022年3月度=アンヌ・ケフェレックのピアノ独奏によるモーツアルト「ピアノ協奏曲第24番K.491」他、2022年11月度= 沖澤のどか指揮によるブラームス「交響曲第4番」他、2023年1月度=高関健指揮、ネルソン・ゲルナー のピアノによるブラームス「ピアノ協奏曲第2番」「交響曲第3番」の各公演です

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2261日目を迎え、北朝鮮外務省は19日、資金洗浄などの罪に問われた北朝鮮の活動家を米国に引き渡したことを理由に、マレーシアとの外交関係を断絶すると宣言する声明を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そうやって1国ずつ国交を断絶していく先は  どこからも相手にされない孤立だけ

     

         

 

昨日の夕食は2週間に一度のローテ入りした「鶏の唐揚げ」です 昨日は鶏肉を 栗原はるみ先生の「うまみ醤油」(ニンニク、ショウガ、削り節入り)に6時間漬けてから揚げたので とても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「トータル・リコール」 と「ワンダーウーマン1984」の2本立て映画を観ました

「トータル・リコール」はポール・バーホーベン監督による1990年製作アメリカ映画(113分・4Kデジタルリマスター版)です

西暦2084年、地球の植民地となっている火星では、エネルギー鉱山の採掘を仕切るコーヘイゲン(ロニー・コックス)と それに対抗する反乱分子の小競り合いが続いていた 一方、地球に暮らす肉体労働者のダニエル・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、行ったこともない火星の夢を見て毎晩うなされていた 夢が気になるクエイドは「火星旅行の記憶を売る」というリコール社のサービスを受けることにする しかし、それをキッカケに今の自分の記憶が植え付けられた偽物であり、本当の自分はコーヘイゲンの片腕の諜報員ハウザーだったと知る クエイドは真相を確かめるため火星へ旅立つが、真実を隠蔽するコーヘイゲンに命を狙われる

 

     

 

この映画は、フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」をもとに、ポール・バーホーベン監督が映画化したSFアクションです

「能に特定の記憶を植え付ける」というストーリーは、他の映画にもあったような気がしますが、商品として記憶を売るというのは初めて観ました 映画のラストで、火星に平和が訪れたことを受けて、クエイドは「これは夢ではないか」と語りますが、どこまでが夢でどこからが現実なのか、意味深な台詞です シュワルツェネッガーが若い そして妻ローリー役のシャロン・ストーンも若い シュワルツェネッガーが この映画の13年後、2003年にカリフォルニア州知事に就任するとは誰が予想できたでしょうか

 

         

 

「ワンダーウーマン1984」はパティ・ジェンキンス監督による2020年製作アメリカ映画(151分)です

スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナ(ガル・ギャドット)には、幼いころから厳しい戦闘訓練を受け、ヒーロー界最強とも言われるスーパーパワーを秘めた戦士「ワンダーウーマン」という、もう一つの顔があった 1984年、FBIに接収された密輸品が鑑定のために博物館に送られてきたが、その中に奇妙な石が含まれていた 同じ博物館に働く鉱物学者バーバラによると、まがいものとのことだが、台座には「何でも一つだけ願いを叶える」と書かれていた バーバラはその石に「ダイアナのように美しく強くなりたい」と願い、美貌と強力な腕力を手に入れる 一方、ダイアナはかつての恋人で今は亡きスティーブ(クリス・パイン)を生き返らせる ところが、人々の欲望を叶えると声高にうたい世界制覇を狙う実業家マックスがその存在に気が付きバーバラに接近して、石を持ち出してしまう マックスを愛するバーバラは怪獣チータとなってダイアナに敵対する 最強とうたわれるワンダーウーマンが絶体絶命のピンチに陥る

 

     

 

この映画は、DCコミックが生んだ女性ヒーローの誕生と活躍を描き全世界で大ヒットしたアクション・エンタテインメント「ワンダーウーマン」の続編です

この物語のキーとなる「石」のキモは、「何でも一つだけ願いを叶える」が、その代わり「何か一つ失う」という条件が付いているところです ダイアナはスティーブを復活させた代わりにヒーロー的なパワーを失い、バーバラは美貌とパワーを手に入れた代わりに優しい心を失います そして、マックスはあと一歩で世界制覇を達成するところまでいって、一人息子を失いかけます 現実の世界でも、何かを得るには何かを失って(犠牲にして)いることが多いように思います

ダイアナが武器を持った屈強な男たちを次々と手玉に取るシーンを観たら、さぞかし女性はスカッとすることでしょう CGを駆使した映像と パワフルなサウンドに満ちた作品で、終始 飽きさせません 時には理屈抜きで楽しめるアクション映画もいいものです

ところで、ダイアナと生き返ったスティーブがエスカレーターを降りるシーンでは、モーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」のケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」が流れていました 2人の愛の復活を象徴する音楽として使用したのでしょうか

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「新国立オペラ2021‐2022シーズン」年間セット券を申し込む / 萩原浩著「海馬の尻尾」を読む ~ ”良心”のない男の再生物語

2021年03月19日 07時26分13秒 | 日記

19日(金)。昨日、豊島税務署に確定申告に行ってきました コロナ禍の関係で申告期間が延長され、受け付けも整理番号方式に変わりました LINEに登録して予約が出来るのですが、私は中国絡みの悪名高きLINEは利用していないので、朝、直接税務署に行って整理券を取りました 受付番号は6番で1番早いグループでした 期間延長と整理番号方式に変えたおかげか、まったく混雑がなく、税務署側の担当者も親切で申告書の作成もスムーズにいきました。その結果、いつもは2時間位かかる申告書の作成が45分で終わりました

ということで、わが家に来てから今日で2260日目を迎え、第一生命保険が17日に発表した「将来なりたい職業の2020年度ランキング」によると、男子の小中高生、女子の中高生のいずれも「会社員」がトップだったが、同社は「在宅勤務が広がり、自宅で仕事をする親の姿を身近に感じた子どもが多かった」と分析している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ということは  多くの親が自宅で真面目に楽しそうに仕事をしていたということか

 

         

 

昨日、夕食に「牛肉と玉ねぎの甘辛炒め」「生野菜サラダ」「玉子スープ」を作りました 娘から、玉ねぎはもっと細く切ってほしいという要望が出たので、次回から改善します

 

     

     

         

 

先日、新国立劇場から「2021-2022シーズン オペラ・セット券 継続案内」が届いたので、継続の申し込みをしました

 

     

 

現行の2020-2021シーズンは年間セット券を販売したものの、コロナ禍のため全額払い戻しとなり、1公演ごとに申し込みをするという変則的な態勢を強いられています 海外からの招聘歌手が予定どおり来日できるかどうか不明のため、毎回A席を申し込んでいます 次シーズンは、1年前までの指定席が確保されているので、1階センター後方ブロック S席 をそのまま継続することにしました

2021-2022シーズンのラインアップ(全10公演)は以下の通りです

 

     

     

     

 

全10公演のうち新制作は次の4公演となっています

①ロッシーニ「チェネレントラ」(10月)

②ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガ-」(11,12月)

③グルック「オルフェオとエウリディーチェ」(22年5月)

④ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」(同7月)

他の6公演は次の通りです

①プッチーニ「蝶々夫人」(12月)

②ワーグナー「さまよえるオランダ人」(22年1,2月)

③ドニゼッティ「愛の妙薬」(2月)

④ヴェルディ「椿姫」(3月)

⑤リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」(4月)

⑥モーツアルト「魔笛」(4月)

もう払い戻しは沢山です 1日も早くコロナ禍が収まって、予定通りのキャストで上演してほしいと熱望します

 

         

 

萩原浩著「海馬の尻尾(かいばの しっぽ)」(光文社文庫)を読み終わりました 荻原浩は1956年埼玉県生まれ。1997年に「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞 2005年に「明日の記憶」で第18回山本周五郎賞を、2016年に「海の見える理髪店」で第155回直木賞を受賞しています

 

     

 

ヤクザの及川頼也は3年前に2度目の刑務所暮らしを終えた ツトメを終えたら組の中での地位が上がる約束だったので1人で罪をかぶったのに、出所には誰も迎えに来なかった しかも地位も上がらない それ以来酒浸りになってしまった 元来の荒くれ者に酒乱が加わり、組でも持て余され、若頭からアルコール依存症を治すように大学病院行きを命じられる 診断の結果、及川には前頭前野の一部の機能不全が見られ、恐怖の概念が自他ともに薄く、良心がないことが判明する その頃、組同士の抗争があり、刺客から身を隠す必要性から、及川は8週間の治療プログラムを受け入れ、人里離れた山中の大学病院の脳科学研究所に入所することになる 彼はそこで様々な症状を持った患者と出会うが、小児病棟に入院中のウィリアム症候群を患っている一人の少女・梨帆と出会い、人を疑うことを知らない純粋な彼女と触れ合うことによって徐々に”良心”の芽生えを感じるようになっていく その一方で及川は、研究所の桐嶋らが入院患者たちを薬の実験動物のように扱っているのではないかと疑問を抱くようになり、梨帆を助け出したいと思うようになる。そして、彼は他の患者を仲間に引き入れて脱出を図る

冒頭のぼったくりバーのシーンで、主人公の及川が33万円の請求書を突き付けられ、最初は相手の言いなりに暴行を受けているが、最後に反撃に出てウィスキーの割れたボトルをボーイの頬に突き刺すあたりは、まるで高倉健のヤクザ映画そのものの展開で、「えっ、これがユーモア溢れる作品で知られる萩原浩の小説なの?」と疑問符が浮かんできます しかし、それは及川に”良心がない”ということを説明する出来事であることが分かります これは、恐怖心のない男が治療の過程で少しずつ恐怖心を覚え、人には表情があることを学んでいき、個人としての尊厳を守るために施設から少女を救出する物語です

本文の最後のページは614ページです。いくつもの危機を乗り越えてきますが、ここに至ってなお、主人公の及川が無事に生き残れるのかどうかが書かれていません まだ続きがあるような書き方になっていて、後のことは読者の想像に任せるという手法を取っています そこがまた、本書の魅力でもあります 文庫本2冊分を読んだ気分です。一気読みをお勧めします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

太田弦 ✕ 伊藤恵 ✕ 日本フィルでシューマン「ピアノ協奏曲」、リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」を聴く ~ 都民芸術フェルティバル

2021年03月18日 07時03分08秒 | 日記

18日(木)。昨日、歯に被せる金属が出来たのでコンサート前に歯科医に行ってきました     来週の水曜日にもう1本の歯の型を取るので、また行かなければなりません 治療は1本だけでいい。歯医者復活戦はいらない、と思うのですが・・・

ということで、わが家に来てから今日で2259日目を迎え、LINEがシステム開発を委託している中国の関連会社で、国内利用者の氏名・電話番号などの個人情報に現地の技術者がアクセスできる状態になっていたことが17日 分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     LINE利用者は国内で8600万人もいるそうだ  相手が中国だけに問題は深刻だと思う

 

         

 

昨日、夕食に「豚の細切れと大根の煮物」と「生野菜サラダ」を作りました レシピは「牛肉と大根の煮物」になっていましたが、なぜか豚の小間切れを買ってきてしまい(最近、時々こういうヘマをやる)、「肉には変わりないから、まあいいか」と豚肉を使うことにしました 結果的には牛肉を使ったのと同じように美味しく、「禍を転じて福と為す」ことができました

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで都民芸術フェスティバル参加公演「日本フィルハーモニー交響楽団」のコンサートを聴きました プログラムは①シューマン「ピアノ協奏曲イ短調作品54」、リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード作品35」です 演奏は①のピアノ独奏=伊藤恵、指揮=太田弦です

 

     

 

自席は1階 J 列13番、センターブロック左通路側です。会場は1列おきの座席配置によるソーシャルディスタンスを図っています    市松模様でなく、こういうやり方もあるのかと感心しました

オケの配置は、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは木野雅之です     日本フィルを聴くのはフェスタ・サマーミューザと、この都民芸術フェスティバルくらいなので、あまり聴く機会がないのですが、管楽器を中心に平均年齢が若返っているように見えます     おそらく厳しいオーディションによりメンバーの入れ替えがあったのではないかと推測します

1曲目はシューマン「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」です この曲はロベルト・シューマン(1810‐1856)が1841年に第1楽章(当初「幻想曲」として作曲)を、1845年に第2、3楽章を作曲、1846年にライプツィヒで初演された作品です 第1楽章「アレグロ・アフェトゥオーソ」、第2楽章「インテルメッツォ:アンダンティーノ・グラツィオーソ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

白を基調としたレース状のエレガントな衣装に身を包まれた伊藤恵が指揮者・太田弦とともに入場します 太田が小柄なので、ほとんど親子共演といった雰囲気です 太田の指揮で第1楽章の演奏に入りますが、最初から伊藤は”貫禄”の演奏です 力強くもロマンあふれる演奏を展開します。カデンツァも素晴らしい オーボエが素晴らしい演奏を披露します 第2楽章の間奏曲を経て、私の大好きな第3楽章に入ります ロマン派のピアノ協奏曲の中で一番好きなのがシューマンのこの曲で、特に好きなのが第3楽章です 伊藤のソロと彼女を支える太田 ✕ 日本フィルの演奏を聴きながら幸せな気分に浸っていました 世界中のコンサートホールが閉鎖されている中で、目の前で大好きなシューマンのコンチェルトが聴けることがどんなに幸せなことかを噛みしめながら聴きました

 

     

 

プログラム後半はリムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード 作品35」です この曲はアンドレヴィッチ・リムスキー=コルサコフ(1844‐1908)が1888年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1曲「海とシンドバッドの船」、第2曲「カランダール王子の物語」、第3曲「若い王子と王女」、第4曲「バグダッドの祭り、海、青銅の騎士の立つ岩での難破、終曲」から成ります

全曲を通して聴いた感想は、何と言っても、木野雅之のヴァイオリン・ソロによる「シェエラザードのテーマ」の演奏が素晴らしい このテーマは冒頭と楽章間で演奏されますが、その時々の弾き分けが見事です また この曲でも、第2曲「カランダール王子の物語」を中心にオーボエが素晴らしい演奏を展開していました 第3曲「若い王子と王女」では弦楽器の温かいアンサンブルが印象に残りました 最終章では、オーケストラ総力による渾身の演奏が、熱い情熱として聴衆に迫ってきました 小柄な太田弦は日本フィルからスケールの大きな音楽を引き出して聴衆を唸らせました これからも、チャンスを生かして頑張ってほしいと思います

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クレベール・メンドンサ・フィリオ監督「バクラウ 地図から消えた村」 & アグニェシカ・ホランド監督「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」を観る:新文芸坐

2021年03月17日 07時16分48秒 | 日記

17日(水)。わが家に来てから今日で2258日目を迎え、中国政府は香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストを保有する同国ネット大手のアリババ集団に対し、メディア関連の資産を処分するように要求した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自由なメディアを抹殺するのは全体主義国家の常套手段 中国は覇権主義で邁進する

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました あとは「真鯛の刺身」です。メカジキのソテーは、弱火でじっくり焼いたので柔らかく美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「バクラウ 地図から消えた村」と「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」の2本立てを観ました

「バクラウ 地図から消えた村」はクレベール・メンドンサ・フィリオ監督による2019年製作ブラジル・フランス合作映画(131分)です

村の長老の老婆カルメリータが亡くなったことをきっかけに、テレサ(バルバラ・コーレン)は故郷のバクラウに戻ってきた 村は外部から支給される物資に依存し、定期的にトニーJr.という男がトラックでやってくるが、来るたびにけたたましい選挙運動をするので村人から嫌われていた テレサが戻ったその日から、村で不可解な出来事が次々と発生する インターネットの地図上から村が突然姿を消し、村の上空には正体不明の飛行物体が現れる さらに、村の生命線ともいえる給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村はずれでは血まみれの死体が発見されれる 【以下、ネタバレ注意】 アジトには武器を使いこなし、UFOのようなドローンを操り村の様子を偵察する犯罪集団がいた 彼らは何者かに雇われ、バクラウの村人たちを襲う計画を立てていたのだった 彼らの動きを察知した村人たちは建物に隠れ、彼らが村に入ってくると一人一人を銃殺していく 返り討ちに成功した村人たちの前にトニーJr.がやってくるが、そこに犯罪者集団のリーダー、マイケル(ウド・キア)が引き立てられてくると、トニーJr.に「報酬をよこせ」と叫ぶ 村人たちは事件の黒幕がトニーJr.だったことを知り、彼を深い穴に閉じ込める

 

     

 

最初に空飛ぶ円盤(UFO)の形をした飛行物体を見た時は、「えっ、そういう映画なの?」と、SF映画かと思いましたが、今はやりのドローンだったことが分かると、リアリティーを感じるようになりました 村人たちが家に隠れ、犯罪者たちを一人一人やっつけていくというストーリーは黒澤明監督の「七人の侍」を思い起こします 一連の事件の黒幕はトニーJr.だったことが判明しますが、専門家集団を雇って村人を脅すことと トニーJr.の選挙運動との関連性がイマイチよく分かりません 村人が死んでしまったら投票者が減るわけで、選挙に出るトニーJr.にとっては何のメリットもないように思うのですが、どうなんでしょうか

 

         

 

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」はアグニェシカ・ホランド監督による2019年製作ポーランド・イギリス・ウクライナ合作映画(118分)です

1933年、ヒトラーへの取材経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は、世界中で恐慌の嵐が吹き荒れる中、ソビエト連邦だけがなぜ繁栄を続けているのか疑問を抱いていた ジョーンズはその謎を解くため、単身モスクワを訪れ、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、疑問の答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む しかし、凍てつくウクライナの地でジョーンズが目にしたのは、想像を超える悪夢としか形容できない光景だった 【以下、ネタバレ注意】 ジョーンズは目の当たりにした事実を公表しようとするが、ソ連当局から、書けば捕らわれている英国の技術者たちが犠牲になると言われ、またニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長ウォルター・デュランティ(ピーター・サースガード)にも止められ、書くことを諦める しかし、技術者たちが解放された後、彼は英国の新聞王ハーストに直訴し、公表に踏み切る

 

     

 

この映画は、スターリン体制のソ連という大国に独り立ち向かった英国人ジャーナリストの実話をもとに描いた歴史ドラマです

ジョーンズにとって一番辛かったのは、ソ連当局から「事実を書くな」と脅されたことよりも、同じジャーナリスト仲間であるはずのニューヨークタイムズのワシントン支局長から「ソ連に飢餓はないと認め、見たことは書くな」と体制迎合的な言葉を言われたことです 戦時下における真実の報道の難しさを感じざるを得ません 映画のラストでスクリーンに「ニューヨークタイムズ・モスクワ支局長ウォルター・デュランティに与えられた『ピューリッツァ賞』は現在なお取り消されていない」という言葉が表示されますが、アグニェシカ・ホランド監督の「報道の役割と責任」に対する思想がここに表れています

翻って現代に目を転じると、いま香港で何が起こっているか、ミャンマーで何が起きているのか、シリアの情勢はどうなっているのかなど、誰かが取材し発信しなければ、世界の人々は事実を知ることが出来ないし、現地の国民は不当な権力の犠牲になったまま不自由な一生を過ごすことになりかねないのです その意味では、この映画が主張するテーマは普遍的だと思います

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キンボー・イシイ ✕ 松田理奈 ✕ NHK交響楽団でメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、ベートーヴェン「交響曲第7番」、モーツアルト「フィガロの結婚」序曲を聴く

2021年03月16日 07時24分43秒 | 日記

16日(火)。わが家に来てから今日で2257日目を迎え、ロシアの治安当局は13日、モスクワで会合に参加していた野党の活動家ら約200人を、「好ましくない活動」をする組織のメンバーがいたなどと主張して拘束した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアのプーチン政権にしても 中国の周近平政権にしても 自信がないんだろうな

 

         

 

昨日、夕食に「鶏肉のワイン煮込み」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ワイン煮込みの材料は 鶏むね肉、玉ねぎ、エリンギ、シメジです 作るのは今回が2度目ですが、若干煮込み過ぎて固くなっていまいました 次回の反省材料とします

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで都民芸術フェスティバル参加公演「NHK交響楽団」のコンサートを聴きました プログラムは①モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」、③ベートーヴェン「交響曲 第7番 イ長調 作品92」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=松田理奈、指揮=キンボー・イシイです

キンボー・イシイは現在ドイツ・シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州立劇場の音楽総監督を務めています

 

     

 

自席は1階L列5番、左ブロック左から3つ目です 会場は通常配置換算で7割くらいの入りでしょうか。一昨年のN響公演(昨年は中止)はほぼ満席だったので、やはりコロナ禍の影響があるのかな、と思いました 1階席の最前列はコロナ感染拡大予防のため空席になっています

N響のメンバーが配置に着きます。弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の編成 コンマスは伊藤亮太郎、その隣はゲスト・コンマスの白井圭が控えます 反対側のヴィオラを見ると、首席客員奏者の川本嘉子がスタンバイしています

1曲目はモーツァルト:歌劇「フィガロの結婚  K.492」序曲です このオペラはウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1785年から翌86年にかけて作曲、86年5月1日にウィーンのブルク劇場で初演されました

キンボー・イシイの指揮で演奏に入りますが、「ラ・フォル・ジュルネ(狂おしき1日)」を凝縮した陽気な音楽が軽快に演奏されます オケにとっては小手調べといったところでしょう

2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1844年に完成、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターのF.ダーヴィドに献呈されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ~アレグロ・モルト・ヴィヴァ―チェ」の3楽章から成ります

ソリストの松田理奈は桐朋学園大学を経て、2006年ドイツ・ニュルンベルク音楽大学に編入し、2010年に同大学院を首席で修了、ドイツ国家演奏家資格を取得しています

赤の鮮やかな衣装に身を包まれた松田理奈を迎え、さっそく演奏に入ります 全体を通して聴いた松田の印象は、極めて素直かつ流麗な演奏で、音がとても綺麗です カラヤンが生きていたら共感を覚えて称賛するだろう演奏スタイルです こういう演奏は飽きないと思います。とても美しい演奏でした

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲 第7番 イ長調 作品92」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年にウィーンのルードルフ大公邸で私的に初演された後、ウィーン大学講堂で公開初演されました 第1楽章「ポコ・ソステヌート ~ ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

コンマスが白井圭に代わります。キンボー・イシイの指揮で演奏に入ります 第2楽章の葬送行進曲風の音楽の演奏がとても良かったと思います また、とても意外だったのは第4楽章です。トランペット(とホルン?)が普段聴きなれないメロディーを吹いたので驚きました 楽譜通り演奏しているのでしょうが、多くの指揮者は全体のバランスの中でトランペット(とホルン?)を突出させない中、キンボー・イシイは他を圧して演奏するよう求めたように思います この曲にはこういうメロディーが隠れていたのか、と驚きました また、この指揮者は音のバランス感覚が良いようで、とくに低弦の強調がツボにはまっていました この楽章の終盤で、チェロとコントラバスが文字通り通奏低音の音楽を奏でるのですが、この重い響きがとても心地良いのです 実に爽快な演奏でした

ところで、開演前にロビーでプログラムを読んでいると、Oさんに声をかけられました Oさんは金融機関の支店長を退職後、川越で経営労務事務所を開設されていて、時々このブログに「ママハハ」というブログネームでコメントを下さる方です 現在のコロナ禍での各オケのコンサートの状況などについて情報交換しました 休憩時間にもお話しましたが、Oさんによると、この日のティンパニ奏者は都響の楽団員とのことでした。Oさんはなかなかのコンサート・ゴア―で、在京オケの構成人員などもよくご存じで、お話しするたびに勉強になります

われわれが会話をしている脇を有名な(悪名の方)サスペンダー爺さんが通り抜けていきました なぜ「悪名高いのか」といえば、多くの場合、開演時間ギリギリに おっとり刀で現れて、コンマス登場のタイミングで平然と一番目立つ最前列ど真ん中の席に着くので、目立ちたいという意識が見え見えで恥かしいからです そんな爺さんも、近くで見るとずいぶんお歳を召されたようで、白髪に杖、そしてショルダーバッグが目立ちます ママハハさんと「あのバッグには鍋釜はじめ家財道具一式が入っているに違いない」と推測し合っていました 「生きているうちが華」とはよく言われますが、「自分の足で歩けるうちが華」ではないか 爺さんを見ていて何故かそんなことを思いました 他人事ではありません

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クァルテット・エクセルシオ ✕ クァルテット・インテグラによりシューマン「弦楽四重奏曲第2番」、シューベルト「弦楽四重奏曲第14番」、メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」を聴く~第一生命ホール

2021年03月15日 07時19分52秒 | 日記

15日(月)。昨日はホワイトデーだったので、池袋のデパ地下で生チョコ菓子を買いました 夕食後、娘と一緒にいただきましたが、紅茶によく合いました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2256日目を迎え、元タレントの森下千里氏(名古屋市出身)が14日、次期衆院選宮城5区に自民党から立候補したい考えを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     私がオバさんになっても選挙に出たい・・・って森高千里と間違えてた. なぜ宮城?

 

         

 

昨日、第一生命ホールで「クァルテット・エクセルシオ ✕ クァルテット・インテグラ  ジョイント・コンサート」を聴きました プログラムは①シューマン「弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 作品41-2」、②シューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D810 ”死と乙女” 」、③メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20」です 演奏は①と③=クァルテット・エクセルシオ、②と③=クァルテット・インテグラです

 

     

 

自席は1階5列26番、右ブロック左から2つ目です 会場は8割以上埋まっていると思われます   今までコロナ禍のなか、家に閉じこもっていた人たちが暖かい日和に誘われて、晴海に集まってきた感じです

1曲目はシューマン「弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 作品41-2」です この曲はロベルト・シューマン(1810‐1856)が1841年に作曲した3つの弦楽四重奏曲の一つで、メンデルスゾーンに献呈されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ・クァジ・ヴァリアツィオー二〜モルト・ピゥ・レント~ウン・ポコ・ピゥ・ヴィヴァーチェ~テンポ1~コーダ、ウン・ポコ・ピゥ・モッソ」、第3楽章「スケルツォ:プレスト〜トリオ、リステッソ・テンポ」、第4楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

演奏するクァルテット・エクセルシオは1994年に桐朋学園大学在学中に結成、年間70公演以上をこなす日本では数少ない常設の弦楽四重奏団です 2000年には難関の第5回パオロ・ボルチア―二国際弦楽四重奏コンクールで最高位となるなど数々の賞を受賞しています メンバーは第1ヴァイオリン=西野ゆか、第2ヴァイオリン=北見春菜、ヴィオラ=吉田有紀子、チェロ=大友肇です

この演奏を聴くに当たり、ハーゲン四重奏団のCDで予習しておいたのですが、いまいち曲の構成というか、どこが良いのかが解りませんでした しかし、エクセルシオの演奏を聴いて、なるほどこういう曲だったのか、と解りました 全体としてはメンデルスゾーンを思わせる曲想です

2曲目はシューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D810 ”死と乙女” 」です この曲はフランツ・シューベルト(1797‐1828)が1824年に作曲、シュ―ベルトの死後の1833年にベルリンで初演されました 「死と乙女」という愛称は、同名の歌曲のテーマを引用しているために付けられました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

クァルテット・インテグラは2015年桐朋学園大学および桐朋学園女子高等学校音楽科に在学中の学生により結成され、今年結成6年目を迎えました 「インテグラ」とはイタリア語で「統合」や「誠実さ」を意味するそうです メンバーは第1ヴァイオリン=三澤響果、第2ヴァイオリン=菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=築地杏里です

4人の演奏で第1楽章が力強い総奏で開始されますが、その後も切羽詰まった緊迫感に満ちた演奏が展開します 4人の演奏はエモーショナルで、非常に強いインパクトがあります 全楽章を通じて聴いた印象も同様で、緊張感が持続します この4人にはこういう曲が合っているように思います 他の作曲家ではバルトークなどが合うように思います 将来が楽しみなユニットです 熱演の4人に会場から惜しみない拍手が送られました

 

     

 

プログラム後半はメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が16歳の時=1825年に作曲したヴァイオリン4,ヴィオラ2,チェロ2のための八重奏曲です 第1楽章「アレグロ・モデラート・マ・コン・フォーコ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・レジェリッシモ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

八重奏の編成は弦楽四重奏を2倍にしたものなので、8人の並び方も同様になります 左から三澤、菊野、西野、北見、大友、築地、吉田、山本という並びです 先輩格のエクセルシオが大学の後輩でもある若手のインテグラを育てる意味を持たせた配置だと思います

第1ヴァイオリンの三澤を他の7人がフォローして、推進力に満ちた演奏が展開します 私はメンデルスゾーンの作品の中ではこの曲が一番好きです 第3楽章のスケルツォを聴くと、「夏の夜の夢」の妖精が飛び回っているような印象を受けます 第4楽章は大友のチェロの強奏から始まって、チェロからヴィオラへ、ヴィオラから第2ヴァイオリンへ、第2ヴァイオリンから第1ヴァイオリンへとフーガのように受け継がれ、”疾走する喜び”とでも言うべき爽快な音楽が前へ前へと進められます このスピード感が堪りません 素晴らしい演奏でした 会場いっぱいの拍手の中、カーテンコールが繰り返され、8人の顔に喜びと安堵の表情が見て取れました

この日のようなジョイント・コンサートを通して、音楽に対する先輩の姿勢が 後輩に受け継がれていくのでしょう

 

     

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヨハン・シュトラウスⅡ世:オペレッタ「ウィーン気質」の映画を観る 〜 ティアラこうとう小ホール / サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデンのチケットを12枚取る

2021年03月14日 07時21分19秒 | 日記

14日(日)。わが家に来てから今日で2255日目を迎え、ミネソタ州ミネアポリス市は12日、昨年5月下旬に白人警察官による暴行で死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさんの遺族に和解金2700万ドル(約29億円)を支払うことを決めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     訴訟の国アメリカはスケールが違う 人種差別行動が如何に高くつくかの前例となる

 

         

 

昨日は、毎年6月にサントリーホール「ブルーローズ」で開かれている「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」の先行発売日だったので、受付開始の午前10時にサイトにアクセスして12公演のチケットを取りました 昨年はコロナ禍の影響で中止になったので2年ぶりの開催となります

今回取ったチケットは以下の通りですが、最初にエルサレム弦楽四重奏団による「ベートーヴェン・サイクル  Ⅰ〜Ⅴ」の5枚セット券(先行期間限定50席)を取りました 6月6日、7日、8日、10日、11日の5日間でベートーヴェンの弦楽四重奏曲全16曲が演奏されます 毎回楽しみにしている公演です

 

     

     

 

それ以外のチケットは公演日順に以下の通りです

①6月13日(日)14時開演「フォルテピアノ・カレイドスコープ」①ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番」、②同「チェロ・ソナタ第2番」、③同「ピアノ三重奏曲第2番」。ヴァイオリン=佐藤俊介、チェロ=鈴木秀美、フォルテピアノ=スーアン・チャイ。※使用楽器=エラール(1867年製)。

②6月14日(月)19時開演「シューマン・クァルテット」①モーツアルト「弦楽四重奏曲第17番”狩”」、②ヴィトマン「弦楽四重奏曲第3番」、③ブラームス「弦楽四重奏曲第3番」。

③6月21日(月)19時開演「へーデンボルク・トリオ」①ベートーヴェン「ヴェンツェル・ミュラーの『私は仕立て屋カカドゥ』による変奏曲」、②同「ピアノ三重奏曲第5番”幽霊”」、③ブラームス(キルヒナー編)「弦楽六重奏曲第1番」。

④6月22日(火)19時開演「キュッヒル・クァルテット」①ハイドン「弦楽四重奏曲第30番」、②同「同第57番」、③同「同第74番”騎手”」。

⑤6月24日(木)19時開演「キュッヒル・クァルテット」①ハイドン「弦楽四重奏曲第32番」、②同「同第60番」、③同「同第79番”ラルゴ”」。

⑥6月25日(金)14時開演「フォルテピアノ・カレイドスコープ」①フォーレ「ピアノ三重奏曲ニ短調」、②J.S.バッハ(サン=サーンス編)「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番より「ブレ」、同ソナタ第3番より「ラルゴ」、③サン=サーンス「ピアノ三重奏曲第1番」。フォルテピアノ=川口成彦、ヴァイオリン=原田陽、チェロ=新倉瞳。※使用楽器=エラール。

⑦6月27日(日)14時開演「ミュージックガーデン・フィナーレ」:曲目未定。

以上のほか、6月20日(日)14時開演の「へーデンボルク・トリオ」=ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番」、ブラームス「ピアノ三重奏曲第2番、第3番」のチケットを取ろうと思ったのですが、あっという間にソルドアウトになってしまいました

また、経験から1日うち2つのコンサートをハシゴするのは体力的にきついので、すでに予定されているコンサートを優先して最初から諦めた公演もいくつかあります 19日(土)19時開演の「葵トリオ」はその筆頭です

 

     

 

         

 

昨日、ティアラこうとう小ホールでオペレッタ映画、ヨハン・シュトラウスⅡ世「ウィーン気質」を観ました これは1971年製作ドイツ映画(カラー・ステレオ・1時間41分)です 出演は ツェドラウ伯爵=ルネ・コロ、ガブリエーレ(ツェドラウ伯爵夫人)=インゲボルグ・ハルシュタイン、フランツィスカ・カリアリ(ダンサー)=ダグマール・コラー、イプスハイム=ギンデルバッハ侯爵(ロイス・グライツ・シュライツ国首相)=ベンノ・クッシェ、ぺピ・プライニンガー(お針子)=ヘルガ・パポウシェク。管弦楽=クルト・グラウンケ管弦楽団、バレエ=ウィーン・フォルクスオーパー・バレエ、指揮=アントン・パウリク、監督=ヘルマン・ランスケです

 

     

 

物語の舞台は1814年から翌15年にかけてのウィーン 「会議は踊る、されど進まず」という言葉で有名な「ウィーン会議」が物語の背景になっています

小国ロイス・グライツ・シュライツ国の大使としてウィーンに単身赴任したツェドラウ伯爵は、愛人の踊り子フランツィスカ・カリアリを別荘に住まわせ、お針子ぺピにも色目を使っている 別荘にシュライツ国の首相が現れ、カリアリを伯爵夫人と勘違いする その後、ガブリエーレ(伯爵夫人)もウィーンにやってくる。首相と愛人と妻が鉢合わせしているのを見た伯爵は大慌て 首相はなぜかガブリエーレを自分の妻と紹介し、カリアリはガブリエーレを伯爵の新しい愛人だと疑う しかし、伯爵はぺピをヒンツィングの祭りに誘い出すのに成功して上機嫌になる ヒンツィングでの大騒ぎの末、お互いの勘違いが解け全員で仲直りする 全てがシャンパンのおかげと盛り上がると、首相は「いや、ウィーン気質のせいだ」と結論付け、一同は乾杯する

 

     

 

冒頭から、ワルツ「ウィーン気質」が流れる中、シュテファン大聖堂、ベルヴェデーレ宮殿、シェーンブルン宮殿などが映し出され、さながら映像によるウィーンめぐりのようです 1980年代半ばに訪ねたウィーンの街並みを思い出しました

この映画では「ウィーン気質」をはじめ、「酒・女・歌」「浮気心」「電光石火」「百発百中」などの音楽がふんだんに使われていて、オペレッタの楽しさが存分に味わえます

ツェドラウ伯爵に関わる3人の女性(妻・愛人・お針子)はそれぞれ魅力的ですが、愛人でダンサーのフランツィスカを演じたダグマール・コラーは、ウィーン・フォルクスオーパーのダンサーとしてキャリアを開始し、後に歌手契約を結んでオペレッタやミュージカルで多くの主役を務めたそうです どうりで踊りも上手いわけです プログラムの解説によると、彼女の夫は元ウィーン市長のヘルムート・ツィルク氏(2008年没)で、親日家として知られる同氏は、飛行機内で偶然観た映画「男はつらいよ」が気に入り、同シリーズの1989年製作「寅次郎  心の旅路」ではウィーン・ロケを招致、シリーズ唯一の海外ロケを実現し、同作に本人もエキストラとして出演しているそうです どうせなら本人よりご夫人のコラーさんに出演してもらえばよかったのに・・・おいちゃん、それを言っちゃあ おしまいよ

 

     

 

終映後、ご一緒した Kirioka さんと地下鉄 住吉駅近くの喫茶店Kでお茶しました コーヒーを飲みながら、Kiriokaさんの自宅敷地内に新設する完全防音ピアノ室の工事の準備状況の話や、洋服や物の断捨離は難しいという話や、Kiriokaさんの大好きな指揮者ジョルジュ・プレートルや ピアニストのシューラ・チェルカスキーの話や、最近クラシック界ではカリスマがいないという話や、現代は「マエストロ」という言葉に重みがなくなったという話や、今度観る予定のMETライブビューイング「メリー・ウィドウ」の話など、取りとめのない話に華が咲きました   周囲にクラシックの話ができる友人や知人がいないので、Kiriokaさんは貴重な存在です それにしても、前回のMETライブ「カルメン」の時も 今回も 外は雨でした 我々は 雨男と雨女 なのだろうか

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キム・ドヨン監督「82年生まれ、キム・ジヨン」 & ルル・ワン監督「フェアウェル」を観る 〜 女性の共感を呼ぶ作品:ギンレイホール

2021年03月13日 07時18分22秒 | 日記

13日(土)。わが家に来てから今日で2254日目を迎え、参照条文などに45カ所の誤りが見つかった菅義偉首相肝いりのデジタル庁創設を含むデジタル改革関連法案について、その誤りを示した正誤表にも2カ所の誤りがあった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     デジタル庁からアナログ庁に戻って 変換ミスをなくした方がいいんじゃないかい?

 

         

 

昨日の夕食は「牛タン塩焼き+ハラミ焼肉」「生野菜サラダ」「玉子スープ」にしました 焼肉は久しぶりです。お酒はワインですね

 

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールで「82年生まれ、キム・ジヨン」と「フェアウェル」の2本立てを観ました

「82年生まれ、キム・ジヨン」はキム・ドヨン監督による2019年製作韓国映画(118分)です

結婚・出産を機に仕事を辞め専業主婦になったジヨン(チョン・ユミ)は育児と家事に忙殺され、常に誰かの母であり妻であることに、閉じ込められているような感覚に陥ることがあった 夫のデヒョン(コン・ユ)はそんな彼女を心配するが、本人は「ちょっと疲れているだけ」と深刻には受けとめない しかし、ジヨンは まるで他人が乗り移ったような言動をするようになる ある日は、夫の実家で自身の母親になり「正月くらいジヨンを私の元に返してくださいよ」と文句を言う またある日は、すでに亡くなっている夫と共通の友人になり、「身体が楽になっても気持ちが焦る時期よ。お疲れ様って言ってあげて」と夫にアドヴァイスする またある時は、祖母になり母親に「ジヨンは大丈夫。お前が強い娘に育てただろう」と語りかける しかし、ジヨンにはその時々の記憶がすっぽりと抜け落ちていた そんな心が壊れてしまった妻を前に、夫のデヒョンは精神科に相談に行くが、医師からは本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう ジヨンは夫から「時々別人になる」と事実を告げられ、初めて自分から精神科に行くことを決心する 医師からは「ここに来るだけで、半分治ったようなものです」と言われる。元の女性上司が会社から独立し起業したことで、ジヨンは社会復帰のチャンスを得るが、子どもをどうするかの問題をクリアしなければならない 夫デヒョンは自分が育児休業を取るから働いても良いと提案するが、それを知ったデヒョンの母親が激怒し、「息子の昇進の邪魔をしないで」と罵倒されてチャンスは消えてしまう ジヨンは自分の経験した苦悩を小説の形で残すことを決心する

 

     

 

この映画は、平凡な女性の人生を通して韓国の現代女性が抱える重圧や生きづらさを描き、日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説を、自身も2人の子どもの母親であるキム・ドヨン監督が映画化した作品です

この映画で語られるのは、韓国社会では小さい時から「男の子」が大事にされ、「女の子」は二の次に見られていること、大学を卒業しても女性には男性よりも就職の高い壁があること、結婚・出産で会社を辞めた後は社会から孤立している気持ちになること、せっかく再就職が決まっても夫やその家族の理解が得られないこともあることなど、現代の日本の女性にも共通すると思われれる様々な問題です

デヒョンは自分が育児休業を取ると提案するなど、妻に理解のある夫として描かれていますが、ジヨンは夫の母親に再就職を反対されてしまいます 女性の社会復帰は夫婦間だけでは片付かないことを表しています

この映画は、子育て中の女性をはじめ女性全般の共感を呼ぶこと間違いなしの作品です

 

         

 

「フェアウェル」はルル・ワン監督による2019年製作アメリカ映画(100分)です

ニューヨークに住むビリー(オークワフィナ)は、中国に暮らす祖母ナイナイが末期がんで余命3か月と知らされる この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族・親戚一同が、嘘の結婚式をでっち上げて久しぶりに顔をそろえる アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるように、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する 中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、他の親戚も大叔母に賛同する

 

     

 

この映画は中国で生まれアメリカで育ったルル・ワン監督が、自身の家族の体験を元に描いたコメディです

祖母ナイナイを演じたチャオ・シユウチェンが素晴らしい 中国ではテレビで有名らしいですが、歳をとったらこういう風になりたいと誰もが思うようなおばあちゃんを演じています

この映画では偽の結婚式で、参列者のお祝いの歌が披露されますが、ジョルダ―二のアリエッタ「カーロ・ミオ・ベン」が歌われたり、日本の「五木の子守歌」が歌われたりで面食らいます エンドロールではベートーヴェン「ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 ”悲愴” 」の第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」がスキャットで流れます

この映画は、死の間近にいる人に対し「敬愛する人のために真実を告げるべきか、傷つけないように嘘をつくべきか」といった、とてもデリケートな問題を扱っていますが、映画のラストでナイナイのモデルになった本物のおばあちゃんが登場し、「やっ」と太極拳で気合を入れます そして次のテロップが表示され、やられた! と思いました

「ナイナイはこの後、6年経った現在も元気で生きています」

まあ、元気でよかったんですけどね

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新国立オペラでワーグナ―「ワルキューレ」を観る 〜 池田香織、ミヒャエル・クプファー=ラデツキー、藤村実穂子、小林厚子、村上敏明にブラボー!

2021年03月12日 07時20分02秒 | 日記

12日(金)。わが家に来てから今日で2253日目を迎え、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は10日、東京五輪・パラリンピック会場の観客について「外国人観客を会場に入れるかどうかはなるべく早く決めたいが、入場者の上限数はなるべく遅くに決めたい」と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       I O C は海外のスポンサー関連者の入国を求めているけど  やっぱり基準はお金か

 

         

 

昨日は16時半からオペラ公演があるため、早めに夕食作りをしました 「鶏のマヨポン炒め」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました マヨポン炒めはマヨネーズで炒めるのですが、温度管理が難しくて焦がしてしまいました でも出来上がりは上々で美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ワーグナーの楽劇「ワルキューレ」プルミエ(初日)公演を観ました キャストは、ジークムント=村上敏明(第1幕)、秋谷直之(第2幕)、フンディング=長谷川顕、ヴォータン=ミヒャエル・クプファー=ラデツキー、ジークリンデ=小林厚子、ブリュンヒルデ=池田香織、フリッカ=藤村実穂子、ゲルヒルデ=佐藤路子、オルトリンデ=増田のり子、ヴァルトラウテ=増田弥生、シュヴェルトライテ=中島郁子、ヘルムヴィーゲ=平井香織、ジークルーネ=小泉詠子、グリムゲルデ=金子美香、ロスヴァイゼ=田村由貴絵。管弦楽=東京交響楽団、指揮=大野和士、演出=ゲッツ・フリードリヒです

当初、ジークムントはダニエル・キルヒが、フンディングはアイン・アンガーが、ヴォータンはエギルス・シリンが、ジークリンデはエリザベート・ストリッドが、ブリュンヒルデはイレーネ・テオリンがそれぞれ歌う予定でしたが、コロナ禍に伴う入国制限により来日できなくなり、上記の通り変更となっています さらに、健康上の理由で指揮者が飯守泰次郎から大野和士に変更となっています

 

     

 

リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)は1853年から1874年にかけて楽劇「ニーベルングの指輪」全4部作を作曲しました 上演日数4日、上演総時間16時間の超大作で、①前夜「ラインの黄金」、②第1日「ワルキューレ」、③第2日「ジークフリート」、第3日「神々の黄昏」から構成されています 「ワルキューレ」の概要は次の通りです

主神ヴォータンは人間女性との間に双子の兄妹をもうける。妹ジークリンデはフンディングの妻となるが、再会した兄ジークムントと愛し合うようになり、2人の男は決闘することになる ヴォータンは息子を勝たせようとするが、妻フリッカに反対され、彼を敗北させよと愛娘ブリュンヒルデに命じる しかし、娘が命令に背いたため、ヴォータンはフンディングにジークムントを殺害させる ジークムントの子を宿したジークリンデは森へ逃げていく。ヴォータンはブリュンヒルデを罰するため岩山に眠らせ、炎で囲み永遠の別れを告げる

 

     

 

私が新国立劇場で「ワルキューレ」を観るのは2002年3月、2009年4月、2016年10月に次いで今回が4度目ですが、ゲッツ・フリードリヒの演出で観るのは2度目です

自席は2階3列15番、センターブロック左通路側です。会場は通常配置で1階席はかなり埋まっていますが、2階は空席が目立ちます 主役級の歌手が変更された影響がないとは言えないと思います

どうでもいいことですが、隣席のカップルは 開演前こそ1冊のプログラムを仲良く読んでいましたが、第1幕が終わると姿を消し、二度と戻ってきませんでした デートの場所を間違えたか、まさか5時間を超える大作だとは思っていなかったかのどちらかでしょう チケット代は決して安くないのですから、よく考えてから行動パターンを選んだ方が良いと思います

ステージ上はフンディングの家の室内が設えてありますが、部屋は左に15度くらい傾き、さらに奥が高く手前が低い傾斜舞台となっています 歌手にとっては結構きつい条件ではないかと思われます

大野和士がオーケストラ・ピットに入り、第1幕が弦楽器による荒々しい演奏で開始され嵐が表現されます。この冒頭の激しい音楽を聴くと、「これから5時間を超えるワーグナーの旅に出発するんだな」と思います    この幕はジークムント、フンディング、ジークリンデの出番ですが、ジークムントを歌った村上敏明は声がよく通り、表現力に優れていました 時折、歌手を助けるプロンプターの声が2階席まで届いていましたが、急きょの代演ということでやむを得ないことだと思います ジークリンデを歌った小林厚子は初めて聴きましたが、声量もあり力強い歌唱力で説得力がありました フンディングを歌った長谷川顕は低音の魅力がありました

第2幕は、遠近感のある2本の道路のような舞台装置で、やはり手前に低い傾斜舞台になっています この幕ではジークムントが秋谷直之に代わります。彼もよく検討しましたが、やはり村上敏明が通して歌うことが出来なかっただろうか、と思ってしまいました 他のオペラならともかくワーグナーの楽劇となるとそう簡単に通して歌えないということでしょうか

この幕で初めて主神ヴォータンと妻フリッカ、ヴォータンの娘ブリュンヒルデが登場します

ヴォータンを歌ったミヒャエル・クプファー=ラデツキーは魅力のあるバリトンで、次の第3幕も含めて、神なのに頼りなく妻フリッカには頭が上がらない”人間的な神”としての演技力も十分で、存在感がありました

フリッカを歌った藤村実穂子はバイロイト音楽祭でも歌った経験のある実力を発揮し、美しくも力強い歌唱力を披露しました

プログラム冊子に寄せた青山学院大学教授・広瀬大介氏の「『愛』の物語としてのワルキューレ」によると、「日本語では『ワルキューレ』とだけ表記される本作、ドイツ語では  Die  Walkure と単数女性名詞を表す定冠詞が用いられる 集合名詞としての『ワルキューレ(戦乙女)』ではなく、ブリュンヒルデだけを指していることが分かる」とのことです その意味では、この楽劇「ワルキューレ」は「ブリュンヒルデ」と言い換えても差し支えないことになります そうしたことを勘案すると、ブリュンヒルデを歌った池田香織こそ この公演のヒロインそのものでした 第2幕、第3幕を通じて彼女の歌い演じるブリュンヒルデを見ていると、神なのに日和見主義者で頼りないヴォータンの娘としての苦悩や、”愛”こそ一番大切なものであることに目覚める様子が切々と伝わってきました

 

     

 

第3幕は飛行場の滑走路のような傾斜舞台です この幕ではブリュンヒルデと、母親を別とする8人の「ワルキューレ(戦乙女たち)」が登場します 冒頭の「ワルキューレの騎行」はフランシス・コッポラ監督の「地獄の黙示録」(1979年製作)で使われて有名になりましたが、勇壮な音楽です 大変申し訳ないのですが、8人のワルキューレは誰が何を歌っているのか見分けがつきませんでした この幕はほとんどブリュンヒルデとヴォータンの会話が占めますが、最後に本公演の演出で注目すべき仕掛けがあります 舞台中央に深い眠りに落ちたブリュンヒルデが横たわり、その周囲に火が放たれるシーンですが、四角いステージを囲むように 炎が白煙を上げながら走っていく有り様は 本公演の最後のハイライトです 2階席から見下ろすとその様子がよく分かり感動を覚えます

本公演では、オーケストラピット内の間隔を確保するため管弦楽縮小版により演奏されたため、東京交響楽団の人数が限られましたが(それでも多く感じましたが)、大野和士の巧みなタクトのもと メリハリの効いた迫力ある演奏を展開し 聴衆を魅了しました

新国立オペラとして4回目となる「ワルキューレ」公演は、コロナ禍のなか主役級の歌手の変更という悪条件のもとで挙行されましたが、大作ではあるものの出演歌手が極めて少ない作品なので、歌手同士のソーシャルディスタンスをとる上では、これほど相応しいオペラ(楽劇)もないかもしれません

何度もカーテンコールが繰り返されましたが、振り返ってみると、ヴォータンを歌ったミヒャエル・クプファー=ラデツキーとブリュンヒルデを歌った池田香織が際立っていました

かくして午後4時半に始まった5時間(休憩を含む)を超えるワーグナーへの旅は午後9時45分に終了しました

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする