「死者の名誉毀損」で問われるべき“法的責任”とは
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本件では、一部のインフルエンサーや元政治家らがSNSや動画サイトで、立花氏の竹内元県議に関する虚偽の情報発信に便乗した形での情報発信を行っている。
このような者たちに対しては、どのような法的責任を問うことが考えられるか。
郷原弁護士:「他人の発言に便乗しただけでは、死者の名誉毀損罪の成立を認めることは困難です。
ただし、相当な拡散力を持っている立場の者が、情報の真偽を十分に確かめもせず情報発信を行ったことは、それによって遺族の感情を著しく傷つけるものにほかならないので、民事上の不法行為責任の追及は考えられます(民法709条、710条参照)。
また、虚偽だったことがはっきりしたにもかかわらず、あえて虚偽の情報をまことしやかに拡散し続けている者も、同様に、不法行為責任の追及の対象となり得ます。
なお、立花氏本人の不法行為責任を遺族が追及できることはいうまでもありません。
とはいえ、大変なショックを受けている遺族の方にとって民事責任の追及をすること自体が大変な負担だと思います。
また、懲罰的損害賠償の制度がないわが国では、賠償額が不法行為者に打撃を与えるほどの金額になるかどうかという問題もあります」 虚偽の情報は、一度流布されると容易には払しょくされない。
それは立花氏が誤りを認め謝罪・訂正しても、今なお信じる者がおり、事態が収束していないことからも明らかである。
また、郷原弁護士が指摘するとおり、民事責任の追及という手段にも限界がある。
斎藤知事には最低限「やめてくれ」と言う道義的責任がある
兵庫県の斎藤知事は22日の定例記者会見で、記者らの「竹内元県議への誹謗中傷・虚偽の情報等が拡散され続けている状況をどう考えるか」という趣旨の質問に対し回答せず、終始、「SNSでの誹謗中傷や人を傷つける発言はよくない」との一般論を繰り返した。
郷原弁護士は、斎藤知事には最低限、亡くなった竹内元県議らに対する誹謗中傷や名誉・尊厳を傷つける発言・情報発信をやめるよう、積極的に働きかける道義的責任があると指摘する。
郷原弁護士:「本件は、斎藤知事のパワハラ疑惑等の兵庫県政をめぐる問題について、真偽が曖昧になっている状態で、立花氏のような物事をはっきりと言い切るスタイルが支持を集め、根拠のない言説・虚偽の情報が拡散されるという、異常な状況のなかで起こったことです。
その状況のなかで、いまだに、虚偽の情報を信じて『竹内元県議は犯罪と言われても仕方がないぐらいのことをやっていた』などのようなことを言っている人がいます。
少なくとも、斎藤知事には『亡くなられた竹内元県議らの尊厳をおとしめる情報発信や、それに同調する言動はやめてくれ』と発言する道義的責任があると思います」
弁護士JP編集部
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