未来の公園ってどんな公園?

2025年01月23日 13時41分13秒 | その気になる言葉

 大きく変わろうとしている、日本の公園の今【前編】

未来の公園ってどんな公園? 大きく変わろうとしている、日本の公園の今【前編】
2020.06.12.FRI 公開

 

欧米の公園にあって、日本の公園にないものとは?

A young girl swings joyfully in a playground, wearing a white shirt and pink pants, with other children and swings in the background.

憩いや遊び、運動、防災などの目的で設置される都市公園。現在、日本全国に10万箇所以上の都市公園があるが、何十年も前からその仕組みや姿を変えていないという公園も多い。そんな中、日本の公園はどう変わろうとしているのだろうか? そのヒントは欧米の公園にある、と教えてくれたのは、誰もが一緒に遊べる公園の普及をめざす市民グループ『みーんなの公園プロジェクト』の矢藤洋子さん。

「欧米では、どんな子どもでも遊べるユニバーサルデザインの視点を取り入れた公園づくりが広がっています。ユニバーサルデザインとは、1980年代にアメリカのロナルド・メイス博士が提唱した、年齢や性別、文化、言語、障がいの有無などに関わらず、どんな人でも利用できるデザインを指したものですが、特にアメリカは、ADA法(障害を持つアメリカ人法※1)があるため、公園のアクセシビリティが着実に改善され、企業やNPOの協力を得ながらよりよい遊び場づくりが進められています。近年は、欧米だけでなくシンガポールや香港などのアジア諸国でもこういったユニバーサルデザインを採用した、インクルーシブ公園(※2)が増えていますね」(矢藤さん)

日本では2006年にバリアフリー法が施行されて以降、公園にも多機能トイレなどのユニバーサルデザインが取り入れられるようになったが、子どものための遊び場に関しては、残念ながらほぼ手付かずの状態。この現状に、声を上げたのが、留学先のアメリカで出産・育児を経験した東京都議会議員の龍円愛梨さんだ。

「スペシャルニーズのあるお子さんやご家族の中には、公園で遊びたい(遊ばせたい)けど、物理的・心理的バリアを感じるから行きたくないという人も少なくありません。でも、インクルーシブ公園はすべての子どもが歓迎され、親御さんや高齢者がコミュニティに参加するきっかけにもなる。単なる遊び場ではなく、人と人をつなぐ場所として機能する可能性を持っているんです」(龍円さん)

※1 ADA法とは、1990年にアメリカで制定された法律「Americans with Disabilities Act of 1990(障害を持つアメリカ人法)」の通称。障がい者に対するあらゆる差別を排除し、合理的配慮がなされるよう定められている。

※2 インクルーシブとは「包括的な」「包み込む」という意味。エクスクルーシブ(排他的、排除的な)の対義語。インクルーシブ公園は、「inclusive playground」を分かりやすく和訳したもので、すべての子どもが共に仲間として遊ぶことを目的として設計された遊具広場を指す。

インクルーシブ公園は、子どもも大人も学べる場


介助犬に興味を持った子どもに手を引かれ、会話を交わす2つの家族。こうした交流が相互理解のきっかけになることも。写真提供/みーんなの公園プロジェクト

では、ユニバーサルデザインを取り入れたインクルーシブ公園とは、実際にどんな公園なのだろうか。『みーんなの公園プロジェクト』では、あらゆる子どもが自分の力をイキイキと発揮しながらさまざまな友だちとともに遊べる場所こそが、ユニバーサルデザインの遊び場だと定義している。その上で大切な点は5つ。

① 誰もが公平にアクセスでき、遊びに参加できる(アクセシビリティ)
② 誰もが自分の好きな遊びを見つけられる(選択肢がある)
③ 誰もが遊びを通して互いに理解を深められる(インクルージョン)
④ 誰もが安心・安全な環境でのびのびと遊べる(安心・安全)
⑤ 誰もがワクワクしながら自らの世界を大きく広げられる(楽しい!)

これらに配慮することで、地域に根差した有意義な公園になるという。

その例をいくつか紹介する。

段差がなく、配色や素材にも工夫

写真提供/みーんなの公園プロジェクト
写真提供/みーんなの公園プロジェクト

園路と遊びエリアの境界に段差がなくアクセシブル。エリアごとに舗装の色や素材を変えているので、視覚に障がいのある人でも位置を認識しやすい。

様々な仕掛けが楽しい砂場

(画像提供/みーんなの公園プロジェクト)
(画像提供/みーんなの公園プロジェクト)

車いすや歩行器のままで砂場の中央まで行けるデッキ。その周囲には車いすに乗ったまま遊べるショベルなど、さまざまな仕掛けが配置されている。日除けの下に自然と子どもたちが集まってくるため、交流が生まれやすい。

車いすでも遊べる回転遊具

写真提供/みーんなの公園プロジェクト
写真提供/みーんなの公園プロジェクト

多様な人が一緒に楽しめる、ベンチや手すりがついた回転遊具。地面との境界に段差がないため、車いすのまま乗り込むことができる。

QRコードを使ってより深く学習


写真提供/みーんなの公園プロジェクト

地元の芸術家が製作した在来の野生動物のリアルな像。視覚障がいのある子どもも触って楽しめる。傍にあるQRコードをスマホで読み込むと、その動物に関する詳しい情報を得られる。

二人で揺れるハーモニーブランコ

写真提供/みーんなの公園プロジェクト
写真提供/みーんなの公園プロジェクト

一人がこぐと、もう一方も一緒に揺れる仕掛けのブランコ。押してあげる人、押してもらう人という関係を生まず、きょうだいや友だち、親子が共に楽しめる工夫がされている。

公園内のステージもみんなで楽しめる

写真提供/みーんなの公園プロジェクト
写真提供/みーんなの公園プロジェクト

地域の学生やボランティアによるプレイイベントやミニコンサートなどが開かれるステージ。車いすやベビーカーのユーザーもみんなと並んで座れるようベンチなどの配置を工夫してある。

日本でも全国に広がりつつある、ユニバーサルデザイ


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