【詳しく】岩手 大船渡の山林火災 避難指示 1340世帯3306人に

2025年02月27日 21時59分16秒 | 社会・文化・政治・経済

岩手県大船渡市で26日発生した山林火災は延焼が続いていて、警察によりますと、三陸町綾里の小路地区で男性とみられる遺体が見つかりました。警察は火災に巻き込まれたとみて確認を進めるとともに詳しい状況を調べています。消防などは夜を徹して消火活動を続けることにしています。

目次

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大船渡市の赤崎町合足地区と、三陸町綾里の広い範囲で26日から火災が発生し、消火活動が続いています。

警察によりますと、27日午前7時すぎ、三陸町綾里の小路地区で男性とみられる遺体が見つかったということです。

警察は火災に巻き込まれたとみて確認を進めるとともに詳しい状況を調べています。

また、市などは逃げ遅れた人やけが人がいないか、避難所以外にいる人も含めて確認を進めています。

一方、住宅などの建物の被害について、県や市は、これまでに少なくとも84棟あるとみられるとしていますが、調査できていない地区もあり、被害は拡大する可能性があるということです。

 

【動画 1分20秒】火災現場 場所を詳しく

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撮影日 27日正午ごろ

 

夜を徹して消火活動 避難指示は1340世帯に

市は、三陸町綾里全域の850世帯2060人、赤崎町の7地区490世帯1246人の合わせて1340世帯3306人に避難指示を出し、小学校や公民館に避難所を設けています。

県によりますと、午後8時時点で大船渡市に開設されている避難所と福祉避難所には、あわせて851人が避難しているということです。

消防は27日も夜を徹して地上から消火活動を続ける方針で、県は、28日午前7時ごろから、ヘリコプターによる放水を再開する予定だということです。

 

相次ぐ山林火災 時系列

 

 

気象台 “乾燥注意報 今後も続く見込み”

盛岡地方気象台は岩手県の沿岸南部では、これから数日間、まとまった雨は降らず、乾燥注意報の発表は今後も続く見込みだとしています。

今後1週間の天気については
▽3月1日までは高気圧に覆われておおむね晴れや曇りの天気が続き
▽2日から3日にかけては曇りや弱い雨が降る見込みだということです。
そして
▽4日は午後から雨や雪
▽5日はまとまった雨が降ると予想されています。

石破首相“消火活動に全力を挙げる”

山林火災を受けて、石破総理大臣は、消火活動に全力を挙げるとともに住民の避難や生活再建に向けた支援に連携して取り組むよう消防庁長官に指示しました。

石破総理大臣は27日、総理大臣官邸で池田消防庁長官と面会し、現在も消火活動が続く岩手県大船渡市の山林火災の被害状況などについて報告を受けました。

そして、住宅への延焼を阻止するため、消防や自衛隊などが一体となって消火活動に全力を挙げることや住民の避難の支援などに万全を尽くすこと、それに被災者の住まいの確保など生活再建の支援に取り組むことを指示しました。

林官房長官は記者会見で「風が強く延焼範囲が拡大して広大な規模の林野火災となり、いまだ鎮圧には至っていないが、部隊を増強し空中消火を含む消火活動を実施している。引き続き対応に全力を尽くしていく」と述べました。

中谷防衛相“大型ヘリを追加投入予定”

中谷防衛大臣は、27日午後5時半ごろ、防衛省で記者団に対し「岩手県知事からの災害派遣要請を受け、自衛隊のヘリコプターによる空中消火などを実施してきた。現下の状況を踏まえ、28日から、CH47輸送ヘリコプター2機の追加投入を予定している」と述べました。

防衛省によりますと、追加投入されるヘリコプターは、一般的な防災ヘリコプターなどと比べて、およそ10倍の水を運べるということで、中谷大臣は「被害の拡大防止と一刻も早い鎮火に向けて、消火活動に全力であたっていく」と述べました。

避難した人「死ぬかと思った」「この先どうなるか」

 

岩手県大船渡市によりますと、避難所となっている三陸町にある越喜来小学校には27日午前7時現在、149人が避難しています。

三陸町綾里の小路地区で1人暮らしをしているという82歳の女性は「きのう(26日)午後2時ごろに様子がおかしいなと思って外に出てみると、家のそばの畑の下草が火の海のようなっていたので薬や夫の位はいなどをリュックサックに入れて慌てて避難した。そのあと自宅から煙が出ているのが見えて、このまま死ぬかと思った」と当時の状況を話していました。

越喜来小学校には、今月19日にも山林火災が発生した田浜地区の住民も避難しています。

77歳の男性は「今月19日に発生した山林火災でも避難して5日ほど避難生活を送り、自宅に戻ったやさきに再び避難することになった。この先どうなるか予想がつかず、家がどうなっているのかも分からない」と疲れた表情で話していました。

避難している姉弟「早く家に戻りたい」

火災が広がっている三陸町綾里に自宅があり、母親や高校生の弟などと避難している21歳の女性は「母の知り合いの消防士から、私たちの家の小屋など、一部が燃えたと聞いた。火災の最初は、ヘリコプターの音やにおいが変だと思う程度で、ここまでひどくなると思っていなかった。早く家に戻りたいが、まずはどうやってこれから生活していくかが心配だ」と話していました。

また、姉と一緒に避難している高校生の17歳の弟は「一刻も早く火が消えてほしい。自宅は全焼するんじゃないかと思っていたので、少しだけ安心したが、これ以上被害が広がらないでほしい」と話していました。

 

被害が拡大した理由 専門家の指摘は

大相次ぐ山林火災について、専門家は、2月に入ってから雨や雪が極端に少ないことや風が強まったことで被害が拡大したとみられると指摘しています。

森林総合研究所の玉井幸治研究ディレクターは、大船渡市など岩手県の沿岸南部で山林火災が相次いだことについて「今月は雨が少なく落ち葉が非常に乾燥していたことや地面に雪が積もっていなかったことが影響したとみられる」と指摘しています。

気象庁によりますと、大船渡市では今月に降った雨の量が2.5ミリと、平年の2月1か月分の41ミリと比べて10分の1以下にとどまっているほか、降雪量は2センチと平年の14センチを大きく下回っています。

また、玉井さんによりますと、現場の映像から主に地面に積もった落ち葉や枯れ枝が燃えていて、風が強まったことで被害が拡大したとみています。26日、大船渡市では昼前から昼すぎにかけて風が強まり、午後1時半ごろに18.1メートルの最大瞬間風速を観測していました。そのうえで、今後、さらに風が強まったり、火が斜面の上に向かって燃え広がったりする場合は、火の勢いが増すおそれがあり注意が必要だとしています。

岩手県の沿岸南部では3月1日まで空気が乾燥した状態が続く見込みで、玉井さんは「今後消火活動が進んでも火種が残っていた場合再び燃える可能性もある」として火が収まったあとに再び白い煙を見たら消防に通報してほしいと呼びかけています。また、27日は岩手県をはじめ太平洋側を中心に広い範囲で乾燥注意報が発表されていて、玉井さんは「乾燥注意報が出ている日や風が強い日は、火の取り扱いに特に注意が必要だ」と話しています。

《各地の動き・影響》

 

被災者生活再建支援法の適用へ 岩手県が内閣府と調整

岩手県は、大船渡市で26日に発生した山林火災を受けて、27日夜7時から対策本部会議を開きました。

この中で県は、火災で住宅が被害を受けた人を支援するため、被害の程度に応じて最大300万円を支給する「被災者生活再建支援法」の適用に向けて、内閣府と調整を始めたことを明らかにしました。

また、被災した人の住宅を確保するため▼県営住宅を合わせて100戸ほど確保できるよう準備を進めているほか、▼仮設住宅の建設に向けて調整しているということです。達増知事は、「被災者の生活再建のため、早期の応急仮設住宅の提供と、 被災者生活再建支援法の適用を目指していきたい」と話していました。

岩手県 応急仮設住宅の準備進める

大船渡市で26日発生した山林火災を受けて、岩手県は27日午前10時から対策本部会議を開き、被害状況や今後の対応について報告されました。それによりますと、
26日夜の時点で少なくとも84棟の住宅などの建物で被害が確認されていて、人的な被害は確認中だということです。その上で、26日夜、適用を決定した災害救助法に基づき、国や大船渡市と連携して、被災者に向けて応急仮設住宅を提供する準備を進めているということです。

また、県はことしに入り山林火災が相次いで発生していることから、27日から5月末までを期間として「山火事警戒宣言」を発令しました。達増知事は、「規模が大きく、消火活動や被害を受けた方々に対し、全力で支援を続けていく。沿岸で乾燥注意報がこれだけ長く続くのは異常であり、火の取り扱いには十分注意してほしい」と呼びかけました。

他県などから消防応援

岩手県大船渡市の山林火災を受け、総務省消防庁は27日午後3時までに宮城県と山形県、青森県、福島県、栃木県、秋田県、新潟県、茨城県の8県の消防に対し「緊急消防援助隊」の出動を求めました。

すでに現地に入っている隊もあり、地上に加え上空から消火活動が行われています。

大船渡市 逃げ遅れた人がいないか 確認進める

大船渡市は26日発生した山林火災で逃げ遅れた人がいないかどうか、避難者の名簿を作成して確認を進めています。また、避難所ではなく知人の家へ避難したり、車中泊をしていたりする人がいないか、SNSなどを通じて情報提供を呼びかけて確認を急いでいます。

大船渡市で500戸余 停電

東北電力ネットワークによりますと、大船渡市で発生している山林火災の影響で、27日午前10時半時点で、大船渡市の赤崎町の一部と三陸町綾里の一部、あわせて500戸余りで停電しているということです。

三陸鉄道 盛駅~三陸駅で終日運転見合わせ 代行バスを運転

岩手県大船渡市の山林火災に伴い三陸町綾里全域に避難指示が出ている影響で、三陸鉄道は盛駅と三陸駅の間の上下線で27日は終日、運転を見合わせるということです。
このため三陸鉄道は盛駅と三陸駅を結ぶ代行バスを運行しています。

また、三陸駅から釜石駅の間の上下線は、本数を減らして折り返し運転を行うということです。

大船渡市内2つの学校が休校

大船渡市は山林火災に伴い、避難指示が出ている地区から通う児童や生徒の安全を考慮し、27日は、三陸町にある綾里小学校と赤崎町にある東朋中学校を休校にする措置をとっています。28日以降の対応については検討を進めているということです。

避難所に段ボールベッド用意

 

大船渡市三陸町の越喜来小学校に開設された避難所では、介護が必要な人や乳幼児と避難してきた人などのための段ボールベッドの準備が進められていました。市の職員によりますと、この避難所では段ボールベッドを7つ用意していて、要望があれば、追加で準備するということです。

地元の食堂が住民に無償提供

地区全域に避難指示が出されている綾里地区では避難して不安になっている住民を少しでも元気づけようと地元の食堂「お食事処三平」が27日から食事の無償提供を始めました。

午前11時の開店から住民が訪れてラーメンやチャーハンなど思い思いのメニューを頼んで温かい食事をおいしそうに食べていました。

東日本大震災の際に津波で店が流された経験がある店主の菊地憲行さんは「被災した人は途方に暮れていると思う。地元のお客さんや消防で頑張ってくれている人に何か返したいと思った」と話していました。

この店では、27日から4日間、地区の住民に食事の無償提供をするということです。

救援物資を届ける人も

大船渡市三陸町の越喜来小学校に設けられた避難所には、市の内外から食料などの救援物資を届ける人が訪れています。青森県おいらせ町に住むアメリカ人のランス・アーレンさんは、午後2時ごろ、自宅にあった毛布や紙おむつなどを届けました。

日本人の妻がいるアーレンさんはアメリカのハワイ州出身の63歳で、3年前に来日し、青森で生活していて、26日、山林火災が発生したことを知り、軽トラックで3時間かけて物資を運んだということです。
アーレンさんは「毛布で寒さをしのいで暖かくして過ごしてほしい」と話していました。

避難生活での体調悪化に注意

山林火災で多くの人たちが避難生活を余儀なくされていますが、体調の悪化に注意が必要です。過去の災害では、避難所で体調を崩して亡くなった人もいます。

特に高齢者は、環境の変化の影響を受けやすく、いったん体調を崩すと、一気にリスクが高まります。

高齢者などに配慮した食事をはじめ、トイレや簡易ベッドを速やかに整えることが重要です。雑魚寝や和式だけのトイレ、段差のあるトレイ、飲み込みにくい食事、こうした状況があれば一刻も早い改善が必要です。

わずかな異変を見過ごさない

また、体調を崩す前に現れるわずかな異変を見過ごさないことが大切です。NPOやボランティア団体などで作る全国組織「震災がつなぐ全国ネットワーク」は次のような様子を見かけたら注意が必要だとしています。

「トイレに行けてないみたい…」。

トイレに行けなくなることで、便秘や脱水症状、高血圧などの健康被害につながるおそれがあります。去年1月の能登半島地震では、トイレに行くのが難しいことで水分摂取を控えるなどした結果、亡くなったケースもありました。

「食べ物がそのまま残ってる…」。

食べ物を残している人は衰弱するおそれがあります。飲み込む力も弱まり、食べ物をのどに詰まらせて命を落とす危険があります。

「きょうも1人でぼうっとして動かない」。

こうした人は日常生活が失われ体を動かす機会がほとんどなくなるリスクがあります。そのことで認知症が進行したり、筋力が低下して歩くこともままならなくなったりして衰弱する可能性があります。慣れない環境に身を置く中で、限界まで我慢や無理を強いられるなど声をあげられない人がいます。

周りの人たちが少しの異変に気付くことが命を守ることにつながります。

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