宗教間の対話

2025年02月28日 11時13分14秒 | 社会・文化・政治・経済

宗教間対話に導かれて: 京都学派・仏教・キリスト教

Jan Van Bragt (著), 寺尾寿芳 (著), 金 承哲 (編集) 

45年以上の長きにわたって、ヤン・ヴァン・ブラフトは日本における宗教間対話を主導してきた。その間、多くの著作を残したが、そのほとんどはキリスト教と日本仏教との知的にして霊性の深みに根差した出会いを扱っている。

本書『宗教間対話に導かれて』は、偉大な伝統同士の間、哲学と神学の間、教理と現実の間、そして神秘と日常の間を架橋しようとしたヴァン・ブラフトの、日本語による著作を集成したものである。

本書の基調をなすのは、宗教を信じる者が自らの宗教を省みる際、すでに出来上がったシンボルや教説に注目するだけでは不十分であり、人間社会という一層広い視野が欠かせないという主張である。

 

ある信仰を持った人が、異なる信仰の人を理解し、あるいは対話をする。

大切なのは互いの信仰の「本義」問い直すことだ。

それぞれの宗祖の精神に、立ち返ることでもある。

諸宗教の価値を認め、宗教間対話を積極的に取り組む姿勢は、かつては少なかった。

当時は、他宗教に対しては閉鎖的であり、改宗を求めがちであった。

だが、異な宗教を尊重し、宗教間対話を促した。

そこには、共に平和を望むことから、共生や寛容の精神が強調された。

人類の歴史は、確かに一面では、宗教と宗教の戦争の歴史でもあった。

だからこそ、平和の世紀を築き上げるには、宗教者同士の対話が必要になる。

それぞれ立場は違っていても、人間の幸福と平和という理想は一緒であるはずだ。

要するに、原点は人間であり、そこに人類が融合していく鍵がある。

つまり、戦争をするのではなく<善の競争>をするのである。

<善の競争>とは、すなわち「平和のために何をしたいのか、人類のためになにができたかを、競いあっていくことだ。

「世界平和に貢献する優れた人格を、どれだけ輩出したか」が問われるのである。

そして「平和の建設者」としての責任から生まれるのが大いなる智慧である。

「現実の社会のなかで、悩み、苦しみ、病める人々をどう救うかだ」

宗教は、人類の福祉と平和のために、違いを超えて必ず協力できるはずだ。

 

 


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