徹は、日本の宗教団体に入信したメイユウに餞別として100万円を進呈した。
そして、成田空港へ送って行く電車内の中で、「中国国内では、信仰は難しいかもいれないな」と言ってみた。
メイユウは「センセイ、わたし、ないしょで、信心します。センセイの幸せ祈ってます」と決意を述べた。
ちなみ、香港には組織があったことを、歯科技工士の木村虎雄から聞いていたのだ。
木村は日本国内ではなく、香港で折伏され入信していた。
メイユウが信仰する宗教団体は1980年代、すでに世界宗教になりつあった。
「センセイ一度、中国にきてください。まってます」
「行けたらいいのだけれど・・・」それは徹の本心ではなかった。
「センセイ わたしの写真うけとってください」メイユウは浅草で徹から買ってもらった赤いバッグから写真を取り出した。
それはチャイナドレスでベッドに横たわるメイユウの妖艶な姿だった。
だが、その写真は皮肉にも、妻の愛子に見られてしまう。
「あなた、この写真は何なのよ」愛子が突然大声を上げ、怒りにまかせて写真はその場で引き裂かれる。
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