松井徹にとって、小学生時代の思い出の一つは、6年生の時に担任となった草間登紀子先生であった。
村長の娘である草間先生は、教育大学を出て村の母校へ教師として戻ってきたのである。
理科の先生で、実験室では生徒たちに顕微鏡を覗かせながら授業をした。
それは、生徒たちにとって、未知の世界を開眼させる契機となった。
さらに、課外授業として休日の「理科クラブ」を創設していた。
野山の植物や動物、鳥の観察である。
双眼鏡を5個も自腹で購入して、生徒たちに使わせた。
それも、生徒たちにとっては、未知の世界の開眼だった。
夜の校庭の高台では、草間先生が望遠鏡を設置した。
この望遠鏡も先生が自腹で購入してもので、如何にも高級なものとして生徒たちにの目には映じた。
眼で見てきた月や星とは雲泥の差がある天体観測に生徒たちには歓喜するとともに、異次元の世界を強烈までに生徒たちの胸によどめたのである。
徹は、初めて大人の女性を感じさせる草間先生に、可愛いがられる生徒の一人になりたいと密に願望するのだ。
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