創作 愛されたい願望 1)

2024年11月29日 06時50分55秒 | 創作欄

松井徹は幼い頃、母親の春子から度々、暴力を受けてきた。

ヒステリックな性格の春子は、心のイライラを息子にぶっていたのである。

だが、何故か弟の春樹にはほとんど、感情を爆発させることはなかった。

徹の血液は母親と同じB型だった。

一方の弟は父親の真司と同じA型であり、温厚で無口な父親に性格が似ていた。

1歳違いの弟が幼稚園に通っていたのに、徹は幼稚園に通っていなかった。

徹は母子家庭の幼馴染の朗と野山を駆けずり回っていた。

知恵遅れで同世代の晶子とは、畦道や堰で遊んでいた。

堰とは、田圃に水を引き入れる水路である。

畦道は蛍が飛ぶ季節となると幻想的となる。

感動する晶子の肩を抱いてみた。

小学となった徹も、母親から暴力を振るわれていた。

堰を石や木材の切れ端で堰き止め魚を獲るなど悪さをして、問題を起こしていた。

人の畑からスイカも盗んで食べていた。

母親は農業や蚕をやっていたが、父親は村の役場に勤める半農家であった。

その父親は役場に勤務していた未亡人と親しくなったことで、家庭は騒動ともなる。

「そんな顔していて、よくも女から惚れらたもんだね」母親にとっては当然の嫌味だった。

実は、相手はあろうことか幼馴染の朗の母親の峰子だったのだ。

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿