あまり問題にされていないが、ツンドラの永久凍土に保有されている水が逸散し始めている。米国カリフォルニア大学が行ったNASAのランドサットが撮影した画像の経年比較研究では、北極圏であるシベリア西部の湖の面積が6%減少したことを確認し、個数でも100以上の消滅を観測している。
ツンドラでは、温暖化で氷が溶解した場所にある腐植化した泥炭層は、分解を早めて m2 あたり数kg のレベルでメタンまたは炭酸ガスとして空気中に消失している。
例年以上の淡水が、北極海とオホーツク海に流れ込んでいるわけである。北極海では世界をめぐる海流を弱めているし、オホーツク海では親潮の流れに影響しているであろう。
もうひとつの影響がある。ユーラシアプレート上のツンドラ重量が毎年大量にコンスタントに消失して、拮抗するプレートとの重量バランスが変化している。ユーラシアプレートを押し込んでいるインド大陸の周辺に巨大地震が多発しているのは、この影響が出始めたものと推測している。
プレートの境界に位置する日本は、整列しなおしているプレート間の拮抗がおさまるまで場所、時期共に予測できない地震の対応をしておかなければならない。体感地震が少ないといわれていた九州や四国、北海道などの地震が起こり始めている。
日本での地球温暖化を考えると、大雨・大雪と巨大台風、地震および干ばつの対策が主となるだろう。水面上昇はすぐに恐れる事はない。
地球温度が2℃をこえると、全地球的なさんご礁の白化で、炭酸ガス吸収のメインを占めている海域の炭酸同化作用が大幅に減速してしまうというシミュレーション結果が出されている。それ以降は急速な温暖化へと突入することを意味する。この温暖化が数百年間の変化であれば、別の場所にさんご礁が形成されて問題が回避される可能性がある。2026年~2050年が2℃到達の時期にあたるようだ。あと30年程度の話である。 NASAは、地球温度が1℃上がれば、地球の熱線放射が平衡を保つ限界をこえてしまうと発表した。
円石藻など別の石灰化する植物プランクトンの増殖が進みサンゴの代わりをしてくれるかもしれないと多少の希望もあるがそれでも全地球的なサンゴの白化は温暖化促進を大きく後押しするだろう。一般的に表層を流れる海流には栄養塩が不足しており、栄養塩の豊富な深層海流を湧昇させることで、こうした植物プランクトンの増殖を促すことが出来る。
海底地形の変更でこうしたことを行うことが出来れば、自然エネルギーを利用した積極的な炭酸ガス低減のシステムを生み出すことが出来る。希望がないわけではない。
温暖化による影響とは雨が降りすぎたり、降らなさすぎたりすることを意味するから、こうした大きな気候変化は淡水供給量にも巨大な変化をもたらし、すぐに世界中の食糧生産低下に結びつく。水産資源も各国が保護にまわり、海の国境線は常に国家間の緊張が存在することとなろう。自由経済をアメリカが維持してきた今までのような体制は、気候変動で簡単に壊れてしまう代物である。フリーハンドで海外の食糧を購入することが今以上に困難になる方向にある。
日本人にはピンとこないが、65億人になった地球はいま、利用可能な淡水が異常に不足している。工業も農業も水がなければ発展させることができない。
1900年からの人口増加カーブを外挿すると2035年には地球の人口が100億人を越す計算になる。今年生まれた子供たちが成人した頃には、国家間で人々が色々な資源をとりあって争う時代に入っている。
すでに日本では金属盗難の事件が急増しはじめた。電線が切り取られたり、墓場からステンレス皿が多数盗まれたり、各地の村から多数の半鐘が盗まれている実状はすでに、国家間の資源争奪が熾烈になっている証拠である。
地球は100億人という人口をとても養えないわけだから、それまでに多くの人口増加抑制原因が働く。考えられるだけでも次のような多くの出費増が強いられることになる。
淡水供給量
食糧供給量
気候激化によるエネルギー使用量増加
輸送治安の確保費用
他国侵略の抑止費用
流民流入防止費用
流民受け入れの社会費用
国内治安維持費用
地球温暖化による巨大台風・豪雨・豪雪・地震等の対策費
マラリアや鳥インフルエンザのような新規疾病対策費
治水、造水など貧困国への援助
日本はこれから30年の間に、政府の不要な歳出を締め出し、借金を返し、すでに現在でも値上がりをはじめている食糧やエネルギーなどの自給をふやし、国防費用も負担するプログラムが練られなければならない。何とかなるだろうというのんびりした態度をとっておれるほど、あまり時間はない。
過去にローマクラブが石油資源枯渇によって地球的な経済危機が訪れると主張したが、その後の油田発掘や省エネルギー技術の発達で、幸い予測どおりにはならずに済んだ。そのことを思い出し、今回の地球温暖化も一部の学者の売名行為だと楽観的に考えている人たちがいる。
ローマクラブの時との違いは、予測ではなくすでに人間が大気中に吐き出してしまった CO2 による温暖化の影響の話なのだ。炭酸ガスを始めとする温暖化ガスの問題は予測の問題というより物理の性質の問題である。海水や樹木にどう吸収されるかという点で充分な知識がなくそこだけが予測の問題なのだ。すでに、台風や豪雨、豪雪など様々な事件が世界中でおきている。多くの人がよりよい生活を求めれば、その傾向は必ずいまより増加・拡大する方向でしかない。
いまより良い暮らしが眼前にある国家は、中国やインド、ブラジルといった巨大な人口を擁している国々である。食糧や、エネルギー要求速度はこれまでの先進国とは比較にならないスピードであることが予想される。ローマクラブの判断に近い領域とは、炭酸ガスにより、さらに変化速度を増すという破綻までの時間の予測の部分である。
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