キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

本屋で心細くなった経験ありませんか?

2015年07月07日 | ☆読書


東京ビッグサイトで開催された、東京国際ブックフェアに行ってきました。
今回は事前に招待状をもらったので、予約制の講演会にも参加です。
作家さんを招いてのトークショー形式のもの2つ聞いてきました。
参加無料。



私は最近は本を読んでないし、もともとあまり現代の小説を読まないので、読んだことのない作家さんたちですが、全員芥川賞・直木賞受賞の先生たちです。新刊を読みまくっている夫はいずれもよく読んでるみたい。
参加した公演は直木賞作家の辻村深月氏の講演と、芥川賞作家の柴崎友香氏、直木賞作家の西加奈子氏の対談。



講演中は撮影禁止なので、始まる前の様子。



そして、禁断のスケッチ。
柴崎友香氏の横顔がきれいでついスケッチし始めてしまいました。




直木賞作家の西加奈子氏。
こちらのかたはテレビでも拝見してて、とても話が面白いし、切れ味鋭い話に感心します。




どちらの講演も気合い入れて受付に並び、最前列で聴きました。
その中で心に残る話がありました。
どの作家の本も読んだことなかった私ですが、この話が聞けただけでも出かけてよかったなと思いました。


私は、時々大きな本屋さんや図書館に行くと、すごく心細くなることがあります。
「こんなに本があるのに、絶対全部読むことができないんだ…どうしよう」
と絶望感にさいなまれるのです。例えて言うなら、大海原のど真ん中に浮き輪もなしにぽつんと取り残されたような心細さ。
こんなことをときどき周りの人に話しては、「そんな風に感じるなんて変~~!」などと、奇異な目で見られたりしていたのですが、このセミナーの中でこの話が出てきました。



まず、辻村深月氏の読書遍歴の話の中で、彼女が小学生になったときに初めて学校の図書館に行き、「わ~こんなに本がある!この本全部読んでもいいんだ!」と感激したというエピソードを紹介していました。
私もそういうことを思ったことが、幼き日々にはあったかもしれませんが、思春期以降はその反対の気持ちです。

そして、柴崎友香氏と西加奈子氏の対談では、柴崎さんが「今読んでる本なんですけど、『本は読めないものだから心配するな』というんです。この世にある本は全部読めるはずもないのだから、全部読めないなどと言って悲観することはないんですよね」みたいなことをちらっと話しました。

思わず、私のために言ってくれてるのかと思って、夫と顔を見合わせて吹き出してしまいました。

本は読めないものだから心配するな〈新装版〉
クリエーター情報なし
左右社

この本自体のテーマはそういう物ではないのかもしれませんが・・・。



わかってるんです。
この世の本を読み切れないことくらい。
そんなことで絶望するのは、あほらしいということも。
でもなんとなくそう思ってしまうことを誰かと共有したいなと思っていました。
この話が出てきて、ちょっとうれしかったのでした。


その日の夜、友人の誕生会で集まりました。
本好きな人が多いので、このセミナーの話をしました。
そうすると、やっぱり「本屋に行って心細くなる」という人はいませんでした。友人の悩みは「本屋に入ってこんなに本があるのに、読みたいと思う本が一冊もない日がある」ということだそうです。
なるほど。
本屋に行っても人それぞれ、思うことが違ってて面白いですね。





そしてこのブックフェアから帰ってきて、久しぶりに一晩で一気に小説を読みました。

辻村深月氏が面白かったと言っていた本「その女アレックス」
夫はちょうどセミナーの朝読み終わったばかりだったらしい。
ちょっとグロテスクなハードな描写も多いのですが、テンポよく読めるミステリーでした。
評判にたがわず、とっても面白かった。(暴力シーンやグロいところは斜め読み)
で、寝不足です。
また本が読めるようになったかもしれません。

その女アレックス (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋


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