緊急事態宣言の発出により、色々な施設が閉まるが、世田谷区図書館がまた閉まるのだそうだ。
2回目の緊急事態宣言時の対策が緩やかだったことを反省し、3回目はかなり強めにしたのだろうが、図書館の閉館はいただけない。
変異ウイルスの感染力がかなり強いということで、対応が強化されたのはわかる。しかし、ウイルスが人を介して拡大していくという原則は変わりがない。
であれば、やはり人の密集対策を一番にするべきである。またマスク無しで大声を発するような場面を規制することも必要だろうが、図書館はそのどちらにも当てはまらないはずだ。
公共の図書館は休業指示が容易だからやったのか?
非常に安易だと言わざるを得ない。
百歩譲って、不特定多数が大勢集まるかもしれないから閉館するのだというのなら、入場人数制限をすればいいだけの話であって図書館そのものを閉める必要はどこにもない。
というようなことを思ってネット上でちらりと意見を述べたところ、
「不特定多数が触る本を介して感染するリスクは低くない。図書館などは不要不急なのだから、命とどっちが大事なのだ?」という論調で反論してくる人がいたが、リスクゼロを求めるならもう一歩も家から出られなくなる。
リスクゼロを求めるのは現実的ではないし、相変わらず満員電車が放置されているような現状で、図書館を閉めて「対策やってます」と言われても、こんなことで感染者が減るのだろうか?と疑問に思う。
これまでの1年間でこの感染症について色々わかってきた。
感染ルートは飛沫とエアロゾルと接触。
そのための対策は、人混みを避け、マスクを装着し、大声を出すようなあるいは息遣いが荒くなるようなことを近距離(あるいは閉鎖空間)ですべきでない。
ドアノブや色々な物品を触ったことによる接触感染は手洗い消毒をすることで防いでいく。
対策はこれが基本のはず。
リスクを科学的に評価し、ある程度のリスクは取った上で社会生活を営んで行かなければ人間社会そのものが壊れてしまう。
そのことをこの1年で学んだはずだ。
図書館では誰も大声を出さないし、そもそも会話をする場所ではない。本を色々な人が触ると言うが、一冊の本が1日に何人の人に触られるのか?図書館利用人数と蔵書数を見れば、非常に確率が低いことがわかるはずだ。
そもそも利用する前後に手を洗うのは基本だ。
変異株がこれまでよりも恐ろしいから対策の強化が必要だと言うのであれば、電車の1両あたりの利用人数や、商業施設・飲食店などの床面積あたりの利用人数を制限する方が優先順位が高いと思う。
飲食店での酒の提供禁止は厳しい措置ではあるが、理由がわかるし納得できる。
都心への人の集中が問題であれば、百貨店の休業も理解できる。
図書館などのリスクの低いところを閉鎖して「やってる感」を出すのではなく、本当に効果がありそうだなと思える科学的根拠に基づく対策を打ち出してもらいたい。
納得できれば多少の痛みを伴っても協力できるというものだ。
1年も時間があったのに医療体制を整えてこなかった関係者の怠慢には言いたいことはいろいろあるが、それはまた別の稿に譲る。
都立図書館は閉館、国会図書館は入場制限。
画像にある世田谷区図書館は、予約して手配完了していた本の受け取りだけはできるらしい。同じ都内でも新宿区、中野区、足立区、江戸川区、大田区などは時短対応などはあるにせよ図書館は休館しないそうだ。練馬区、北区、千代田区は閲覧のみ停止(貸出業務は継続)。板橋、中央は完全休館。ざっと調べただけでも対応がずいぶん異なる。
きっと現場ではぎりぎりの攻防があったのだろうと思われる。
現場責任者の考え方の差が出ているのだろうか?