ニュースで「マクロン大統領は5日夜、テレビで演説を行い、ロシアの脅威がヨーロッパに差し迫っているとして、「フランスの核の抑止力を、ヨーロッパの同盟国などにも拡大することについて戦略的な議論を始める」と述べ、フランスの核兵器による抑止力、いわゆる「核の傘」を、ヨーロッパに広げることについて、検討を始める考えを明らかにしました。」と報じられました。
短絡志向の妄言である“核の傘”に頼る人々には、人類が生存をかけて取り組んでいる核禁会議の崇高な論理は理解ができないのかと、悲しくなるばかりです。
一人でも多くの方に「 核兵器禁止条約第3回締約国会議宣言」を読んでいただきたいので、ここにその抜粋を掲載いたします。
ちなみに第3回核兵器禁止条約第3回締結国会議には、日本共産党からは、吉良よし子参議院議員、笠井亮前衆院議員が参加しました。
核兵器禁止条約第3回締約国会議宣言(抜粋)
核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議が7日採択した宣言「世界の不安定増大の中で、核兵器のない世界へのわれわれの誓約を強化する」の抜粋訳は以下の通りです。
・締約国は、核兵器が人類にもたらす存亡の危機に対処する揺るぎない決意を再確認した。
・広島と長崎の人々に与えた核兵器の壊滅的な影響を厳粛に想起し、核時代の幕開け以来、核兵器とその実験の影響に苦しんできた無数の犠牲者と被爆者のことを認識する。
・地政学的緊張の高まり、核兵器の増強と近代化、軍事・安全保障ドクトリンにおける核兵器の重要性の高まり、核拡散と核軍拡競争の危険性の高まりは、国際社会に即時かつ断固とした行動を求めている。核紛争の脅威は人類の存亡がかかった脅威だ。TPNWは、この激動の時代における希望の光だ。
・署名国、オブザーバー国、市民社会、科学界、学界、個人、宗教指導者、核兵器使用・核実験被害者の参加を歓迎する。
・国際法と多国間協力が損なわれつつある不確実性の時代にあって、多国間機関は世界の平和と安全の維持にとって極めて重要だ。
・長年の軍縮・不拡散体制が損なわれ、既存のグローバルな安全保障構造がさらに弱体化している。二極化が進む国際環境は、核兵器使用の危険を激化させている。対話を再構築し、核の瀬戸際政策への回帰を防ぐ緊急の行動が必要だ。
・署名国94、締約国73により、本条約の普遍化に向けた進展を歓迎する。未批准の国に対し、署名・批准、加盟を求める。
・核兵器が、人類の生存と福祉に重大な影響を及ぼし、破滅的な人道的・環境的結果をもたらすことへの重大な懸念を再確認する。
・核兵器の使用に対する唯一の保証は、核兵器の完全廃絶である。核兵器がもたらす壊滅的な人道的結果とリスクは、核兵器のない世界の実現の緊急性を支えている。
・日本被団協が、2024年のノーベル平和賞を受賞したことを祝福する。
・世界中で2000回以上の核爆発実験が実施され、21世紀に入っても続いている。核兵器の使用と実験の結果が国境を越え、環境を汚染し、社会経済発展を妨げ、食料安全保障を脅かし、現在と将来の世代の健康を害し続けている。
・被害者支援と環境修復のための国際信託基金の可能性について議論する。
・第2回締約国会議以来、9カ国が依然として1万2000発以上の核弾頭を保有していることを強く懸念する。核兵器の多くは厳戒態勢にあり、数分以内に発射できる状態にある。すべての国、とりわけ核兵器保有国には、核兵器完全廃絶のための多国間交渉に参加する責任がある。
・核抑止力は、すべての人の生存を脅かす核リスクの存在を前提にしている。意図的であれ偶発的であれ、核兵器の使用は破滅的な人道的結果をもたらす。
・非核保有国の領土への核兵器配備を憂慮している。そのような核の取り決めを持つ国に対し、取り決めに終止符を打つよう求める。
・核兵器のいかなる使用や使用の威嚇も、国連憲章を含む国際法に違反し、国際人道法に反し許されない。核の威嚇を明確に非難する。
・核兵器は、核兵器を保有しているか、核抑止に賛同しているか強く反対しているかにかかわらず、すべての国家の安全保障や存立を脅かす。すべての国家の安全保障が核兵器によって脅かされており、すべての国家は、核兵器の全面的廃絶という喫緊の安全保障上の利益を有している。
・核のレトリックやいわゆる「責任ある」行動を通常化する試みを拒否する。大量破壊をもたらす脅迫は、人類全体の正当な安全保障上の利益に反する。いかなる国家や行為者も、大量破壊兵器によって人類の存在を脅かす権利はない。
・核兵器の近代化と拡大のために膨大な資金を使い続けることは、擁護できない。貧困や公衆衛生といった世界的課題への取り組みに振り向けられるべきだ。
・締約国は、核の危険に立ち向かう決意において結束している。核兵器の完全かつ検証可能で不可逆的な廃絶は、単なる願望ではなく、世界の安全保障と人類の生存にとって必須だ。条約の効果的な実施と普遍化によって、核兵器が再び使用される恐れがなくなると確信している。われわれの前に立ちはだかる挑戦は、すべての国を条約に参加させ、核兵器の時代を永遠に終わらせることによって、克服できる。