”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

私の夏の読書フェア

2024-09-26 14:41:00 | 本と雑誌

この夏は、入院したこともあり、

500ページを超える分厚い本を3冊も読むことができました。

  

  

京極夏彦さん

 ・冥談

 ・厭な小説

宮部みゆきさん

 ・あんじゅう

    

 

私は、というより私たち夫婦は、京極夏彦さんの大ファンです。

私もほぼすべての本を読んでいました。

2004年までは・・・。

 

2005年、野菜ソムリエの資格を取ってからは、

野菜・果物、食、健康、農業、栄養などの本ばかり読むようになりました。

2013年以降は、気持ちに全く余裕がなくなり、

本はじっくり読むというよりも、資料として目を通すために購入するようになりました。

  

当然、小説を読む心のゆとりなどありませんでした。

  

  

だから、この夏は貴重な時間をいただいたと思っています。

京極夏彦さんも宮部みゆきさんも、どちらかというと、おどろおどろしかったり、

怖かったり、不穏な空気が流れていたり・・・。

決して爽やかな小説ではないのですが、読後感が妙に心地良いのです。

  

  

こちら、京極夏彦さんの「厭な小説」なのですが、

決して我が家の保管状態が悪くてこうなったのではありません。

印刷でわざと古本感を出しているのです。

 

なぜ、こんな凝ったことをするのか?

 厭な子供

 厭な老人

 厭な扉

 厭な先祖

 厭な彼女

 厭な家

と読み進んでいって、最後の「厭な小説」に行きついた時、

その謎が解け、ぞくぞくっとしてきました。

 

  

  

私は、自分自身の楽しみのための時間を作るのが下手で、

つい後回しにしてしまうため、疲労感だけが残ることが多々あります。

 

いつもブログを拝見している「幸せ時間」さんが、9月24日の記事に

三連休の最終日は、最低限の家事以外は自分のための『まったりした時間を過ごす!』と決めました

と書かれていて、

あっ、私に足りないのはこれだ!! と気づかされました。

 

  

「幸せ時間」さん、ありがとうございます。

これからは自分時間を見つけて、

まだ読んでいないおどろおどろしい世界の続きを楽しみたいと思います。

 

 

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おいしいごはんが食べられますように

2024-05-25 20:00:45 | 本と雑誌

高瀬隼子さんの

「おいしいごはんが食べられますように」

第167回 芥川賞受賞作

 

ネットでこの本の書評を偶然目にし、読んでみたいと思い、

買い物ついでにイオンの本屋さんに行った。

あまり文芸書に力を入れていないような書店ではあるが、なぜか1冊だけ置いてあった。

 

 【気になるところに付箋を貼ったら、付箋だらけになってしまいました。】

  

 

この小説は、同じ職場で働く3人の男女を通して描かれている。

芦川…体が弱く、早退やドタキャンが多いが、なぜかみんなが当然のように守ってあげている女性

押尾…仕事ができて、いつも芦川の穴を埋める役回りの女性

二谷…職場でそこそこうまくやっている男性

  

 

食に対する考え方もそれぞれ異なっている。

芦川さんは、きちんと食べること=きちんと生きること と考える人で料理も丁寧に作る。

 

押尾さんは、電車に乗って遠くの話題の店まで出かけることもあるが、

外食ばかりではお金もかかるので、面倒に思いながらも自炊をする。

 

二谷君は、一日3回の食事をしなければいけないことにしんどさを感じ

自分たちで作らなくてもスーパーやコンビニに行けば売ってるし、

何ならカップ麺やサプリでいいと思っているくらい

「おいしい」という感情を抱くことに面倒臭さを感じている。

  

 

芦川さんはたしかに食に対してきちんとした考えを持ってる。

でも同じ女性として共感できない部分もたくさんある。

彼女は、片頭痛で会社を早退した翌日、迷惑をかけたお詫びにマフィンを焼いてくる。

ご丁寧にひとつひとつ、

ピンクの花の絵がプリントされた半透明のビニールと緑黄色のリボンで包装されている。

マフィンと言えども、お菓子作りには体力がいる。

こんなにかわいいマフィンを作れるのなら、「早退しないで会社で仕事しろよ!!」と思う。

 

  

芦川さんは次々に職場に手作りのお菓子を持ってくるようになる。

ホールのフルーツショートケーキ。

ただし、これは切り分けても8人分にしかならない。

本当に同じ職場の人のためを思って作ったのか?

自分のナッペの技術を見てもらいたかっただけではないか?

そして、芦川さんのお菓子攻撃は続く。

桃のタルト、クッキー、レモン風味のマドレーヌ、トリュフ、りんごのマフィン、

チーズケーキ、カップゼリー、ドーナツ、いちごのショートケーキ、焼きバナナ、

チョコとマシュマロのマフィン、パンプキンパイ、スイートポテト、わらびもち、プリン・・・。

 

  

そんな手作りのお菓子を食べる時のマナーが皮肉たっぷりに描かれている。

大きな声を出し、「んーっ」「うまあぁっ」「すごっ」といちいち「っ」を入れて感動を伝える。

半分ほど食べたところで「このソースってどうやって作るんですか?」

と、さほど興味のないことを聞き、

すべて食べ終えたら、「あ~おいしかった!ごちそうさま。」

と、殊更満足げに聞こえるように宣言しなけらばならない。

 

 

こんなことを芦川さんの手作りお菓子を食べながらやっているのだから、

職場の中にも、この手作りお菓子の習慣を快く思っていない人もいるはずだ。

  

  

そして、恋人関係にある芦川さんと二谷君。

芦川さんは「体にいいものをきちんと食べないと」と言いながら、

二谷君の部屋で時間をかけて、料理を作ってくれる。

その手作り料理を食べた日の夜中、まるでお清めでもするかのように、

二谷君は脂ギトギトのカップ麺を作って食べている。

そして、芦川さんが会社に持ってくる手作りお菓子も、

二谷君は陰でぐちゃぐちゃに踏みつぶし、ゴミ箱に捨てるようになる。

 

  

 

私は、手作りお菓子を仕事場で配ったことはない。

いや、あることはあるが、それはあくまでも試作の味見をお願いした時であり、

「うまあぁっ」「すごっ」よりも「シナモン効きすぎてない?」とか

「これ、年寄りには硬すぎるよ。」などと批評されることが多かった。

 

  

毎日の食事作りに関しては、芦川さんに近いことをやっているが、

私は彼女が好きになれなかった。

それは、彼女の行動に相手への思いやりが感じられないからだ。

きちんと食べること=きちんと生きること」という

自分のポリシーを貫くためにやっている自己満足の行動に思えてならない。

手作りの愛情ではなく、手作りの暴力を感じた。

 

 

食に対する考えは人それぞれであり、その人が置かれた環境もそれぞれ異なっている。

食育活動をしていても、「これ以上は踏み込んではいけない。」と思うことは度々あった。

 

 

二谷君は、恋人の芦川さんが憎くてカップ麺でお口直しをしたり、

お菓子を踏みつぶしたりしたわけではない。

ただ、「残業して、遅くまでやっているスーパーに寄って食材を買い、

それから飯を作って食べることが、本当に自分を大切にすることなのか?」

と、考える二谷君にとって、芦川さんの「手作り」は攻撃でしかなかったのだと思う。

  

  

同じ職場で働いていた芦川さんと押尾さんと二谷君はそれぞれの道を歩むことになる。

二谷君は千葉に異動になり、押尾さんはとあるミスから会社を辞めることになる。

そして、芦川さんは二谷君と結婚する。

  

ずっと、芦川さんの仕事の穴埋めをしてきた押尾さんの最後の挨拶、実にスカッとする。

本を置いて思わず拍手をしたくらいだ。

 

  

そして、この本のタイトル「おいしいごはんが食べられますように」

ずっと誰が誰に向けて言っているのだろうかと思っていたが・・・。

これは、元チアリーディング部だった押尾さんから芦川さんと二谷君に向けた皮肉な応援ではないか?

 

  

ほんわかしたイラスト、タイトルとは違った「食」という部分で人間の本質を突く

ちょっと恐い小説だった。

 

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おかわかめにムカゴが!!

2023-09-06 18:32:45 | 本と雑誌

現在の庭のおかわかめです。

隣りに枯れたアイコが写っています。

おかわかめは、葉が少し黄色くなり、

上の方の葉は小さくなってきましたが、まあまあ元気です。

  

  

毎年、秋になって枯れても、また翌年になると自然と生えてきて、

何の手もかけていないのです。

だから、お恥ずかしいことに、野菜として葉を摘む時以外は、

ほとんど気にしていないような状態です。

 

  

ブログのお友達がおかわかめの栽培にご苦労されているのを知って、

私も少しは勉強しなきゃ!!と思い、

おかわかめに関する記事を読み始めたのが最近のこと。

  

そうしたら、やたら「ムカゴ」という言葉が出てくる・・・。

私は、ムカゴと言ったらヤマノイモのムカゴしか知らなかったので、

「えっ!! おかわかめにもムカゴ!?」

と、驚いてしまいました。

  

 

で、よくよく見てみると、

(@_@)

ムカゴが付いている!! (@_@)

 

  

  

  

 

改めてムカゴについて調べてみました。

「ムカゴ」というのは、果実でも種でもなく、植物の栄養繁殖器官の1つです。

脇芽が養分を蓄えて太った部分のことで、

「ムカゴ」を付ける植物は、他にもオニユリ、ノビル、ニンニクなど結構あります。

  

おかわかめの栽培について調べていくと、

「おかわかめは、種から育てるのは難しいので苗から育てましょう。」

と書いたものばかり。

植物だから、種はあるはずなのに・・・。

  

きっと、おかわかめにとっては、

軽くて小さな種で時間をかけて生長するよりは、

栄養たっぷりのムカゴを付けて、それを地面に落とすことにより、

子孫を残す方が効率が良いと判断したのでしょう。

 

  

改めて、その植物にはその植物にあった繁殖の方法があることを実感。

植物が生き、子孫を残すための戦略を見た気がします。

  

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百年ごはん こんな本が欲しかった!

2019-08-16 14:52:16 | 本と雑誌

静岡新聞社から、こんな宝物のような本が出ました。

   

しずおかのおかあさん ふるさとの百年ごはん

    

この本には、静岡県内の西から東まで

主な郷土料理や行事食が、月ごとに収められています。

そして、月の初めのページには、

その月の行事や風習について楽しい説明が書かれています。

    

この本を読んでいると、

年中行事→地のものを使った行事食→郷土食

と、ひとつの線で結ばれていく様子がわかります。

      

これまで、どなたにお聞きしても、

だいたいの手順は教えていただいても、

あとは「そんなの目分量で作るだよ!!」と言われてきた

鯖だしの芋汁(山芋とろろご飯)とか、

  

   

なかなかうまく作れない鬼まんじゅうのレシピも載っています。

  

  

年を重ねるごとに、地域の風習に興味が沸いてきます。

月ごとに、作っていきたいお料理がいっぱい。

こんな宝物を残してくれた静岡のおかあさんたちに感謝!!

  

静岡を離れて都会で暮らしている人にも贈りたい一冊です。

 

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笑い過ぎて泣いたこの一冊

2019-03-28 15:49:07 | 本と雑誌

一気に読んだ・・・

と言いたいのだけれど、そうもいかなかった。

  

もう、可笑し過ぎて、いちいち「そうそう!!」と頷き、

大笑いをする。

そのたびに、本を閉じるからなかなか読み進めることができなかった。

    

それは、こちら。

   

本多理恵子さんの「料理が苦痛だ」。

   

新聞の書評を読んで、今の自分の心情に近いものを感じ、

すぐさま本屋さんへ。(ネットで買おうとしないのが、「昭和」ですね。)

     

私は、料理は好きだと思う。

家事の中では一番好きだ。

よほど体調の悪い時を除いては、毎日ご飯を作っている。

  

でも、正直、SNSには疲れている。

Facebookを始めたきっかけは、

「盛り付けがヘタ!」とか「料理の写真がまずそう!」と言われたから・・・。

 

毎日、自分の家の夕ご飯を投稿して、

多くの人の目にさらされれば、盛り付けにも気を使うようになるだろし、

写真の撮り方も工夫するようになるのでは・・・と考えた。

いわば、Facebookは修行の場だった。

  

しかし、SNSにはおしゃれな家庭料理だけでなく、

豪華なフレンチやイタリアンのフルコースがこれでもかと登場する。

いまだに「修行」を続けている私は、

そんなウソかホントかわからない自慢料理の数々と

きらびやかな世界を見るのに、ほとほと疲れてしまった・・・。

  

だから、SNSは夢の世界!!

現実は、「突撃!隣の晩ごはん」状態。

買ってきたお刺身に昨日の煮物の残りがテーブルにのっている。

それが日常。

というくだりに大変救われた。

  

「ちゃんとした料理」を「毎日作り続ける」ことに

疲れてしまった人は、読んでみることをお勧めします。

 

ただし、笑いをこらえるのが大変なので、

電車の中、病院の待合室では読まない方がいいかも・・・。

顔が涙でぐちゃぐちゃになります。(*'▽')

 

 

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