3月28日のブログで葉わさびについて書かせていただきました。
生産者さんによく言われることは
「葉わさびはそのまま食べてもおいしくないよ。
イジメないと辛さが出てこないからね。しっかり、下準備してよ。」
葉わさびの下準備というと、適当な長さに切った葉わさびに
70℃くらいのお湯を回しかけ、塩もみするというのが一般的ですが、
なぜこのような下準備が必要なのでしょうか?
●70℃のお湯をかける理由
わさびや葉わさびの辛味は、シニグリンという苦味成分が
酵素(ミロシナーゼ)によって分解されることによって発生します。
この酵素が一番元気よく、活動してくれる温度は40℃前後。
しかし、40℃ではシニグリンの苦味は消えません。
熱湯を使えば、苦味は消えますが、今度は酵素が働かなくなってしまいます。
そこで、酵素が元気に動いてくれる上限70℃のお湯だったら、
同時に苦味も消すことができ、ベスト!ということになりました。
●なぜ塩もみをするの?
苦味成分シニグリンと酵素(ミロシナーゼ)は、別々の細胞の中に入っています。
この2つの成分が細胞から出て、辛味を作り出すためには
細胞を傷つける必要があります。
塩でもむというのは、この細胞を傷つけるための作業です。
さて、今回は葉わさびの茎と葉を分けて、別々に下処理をしました。
●葉の方は、塩昆布で和えました。
●茎の方は牛肉と炒めものに。
味付けは、同量の酒、醤油、オイスターソースです。
どちらもピリッとして、食が進みます。
当たり前のようにやっている料理の下準備にも意味があります。
栄養成分や機能性成分のことなど全くわかっていなかった時代に、
経験から生み出された知恵って素晴らしいですね。