宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

例え妖精に逢えなくても……

2007年05月30日 | Weblog
(写真はクリックされましたら拡大します)

わたくしと同世代の女性よりも、もう少し上の世代の
女性達の方に更に馴染みがあると思いますが、
写真の本は某少女雑誌での毎月の連載によって
非常に人気を博した「妖精シリーズ」の中の一冊です。

各妖精の基本データは変わりませんが、イラスト
の担当者によって妖精の顔や雰囲気が変わったのが
印象的でありました。
この本のイラストはそのシリーズ中の初期の方に
当たる、耽美派系少女マンガ家に分類される、
まつざきあけみ氏によるもので、わたくし自身は
彼女のやや古風で格調を感じさせるイラストが
非常に好きでした。

その夢ある妖精シリーズも、90年代中頃辺りで
姿を消してしまい、その雑誌の方は現在も存続し
つつも、現在は完全に別雑誌にしか見えないほどに
大きく変貌してしまい、昔を知るわたくしには
非常に残念に感じられました。

この本は53枚のトランプの各カードに、一人ずつの
妖精を対応させたオリジナルカードが付属して
います。
「あの妖精さんたちが、53枚の美しいトランプに
なりました」

わたくし自身はこれらを占いやゲームに使用する
予定はありませんが、以前から懐かしく感じていた
所、最近偶然入手出来る事になり、そうしてこの
本が本日到着した次第でした。

大人となった今、これらのシリーズに登場する、
「文房具が大好きな妖精ピッキー」「妖精ウサギ
ピョンピョン」「蜂蜜の妖精ハニー」などは、
あくまで「このシリーズの中のキャラクター」である
という事が理解出来ますが(もし今も信じている人が
いらっしゃたら申し訳ないです)、それでも
わたくしを含めて当時の子供達は、それらの絵の
通りの妖精が本当に実在するものと信じていました。

そうしてそのシリーズの中ではしばしば「妖精
Q&A」なるものが設けられ、読者の少女達による毎回
大体同じような質問に、先生が回答するという
コーナーがありました。

この写真の本の中のQ&Aの一部です。
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Q.「妖精さんに会うためには心を美しくして、
いつも優しい気持ちでいる事が必要だそうですが、
その努力が目立たない地道な努力でも会えますか?
その他にはどんな事をしたらいいでしょうか?」

A.「妖精さんと私達は、お互いの心と心で話しを
するので、あなたが本当に優しい気持ちの持ち主
であるならば、妖精さんはすぐにわかってくれます。
ただそれだけに、嘘やごまかしは絶対ダメ。
妖精さんに会いたいからって表目だけ優しいフリを
しても、たちまち見抜かれてしまいますよ。
それよりも、皆が嫌がる仕事を引き受けたり、
人の悪口を言わない……などの地道な努力の方が
ずっと効果的です。
また妖精さんのメッセージはとても控え目で、
うっかりすると気づかずに過ごしてしまいます。
道端の小さな花にも目を留めるような、デリケートな
感受性を育ててね。」

Q.「妖精さんに会いたいといつも思っているのに、
中々会えません。
妖精さんに会うには霊感のような特別な能力がいるの
ですか?」

A.「前にもお答えしたように、妖精さんに会うために
必要なのはキレイで優しい心ですから、霊感のような
ものは必要ありません。
ただいつもモノに感動出来る感受性は大切にして下さい。
折角妖精さんが話しかけてくれても、心の中が
カチンカチンではそのメッセージを受け取る事が
出来ませんものね。
本を沢山読んだり、音楽や絵に親しんで、みずみずしい
感性を育ててね。」
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ほぼ毎回「妖精と出会うためには何が必要か」という
質問があり、それに従って毎回「キレイで優しい心と
デリケートな感性の持ち主になる必要がある」という
回答が掲載されていましたが、結局そのシリーズの
中の妖精が実在するか、実際に会えるか否が
重要であったのではなく、少女達を「キレイで優しい心と
デリケートな感性の持ち主になる」ように誘導しようと
したのが実は最重要であったという事に気づいたのは、
やはりわたくしが大人になったという事なのでしょうか。

このシリーズの必要性はともかく、少女達にそうした
心の導きを与えるものは、現在非常に少ないように
思います。

もし妖精の事を「妖精さん」と呼ぶ成人女性がいれば、
このシリーズの読者であった可能性が高いと思われます。
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