宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

「刺繍に思いを託すおまじない」

2009年02月18日 | Weblog

(画像はクリックされましたら拡大します。)

画像の方は、80年代中頃に出されたおまじないの本です。
「ロマンチックギャルに贈る」という副題が何とも当時らしいのですが、
内容の方と言えば、意外と古典的な日本と西洋のおまじないが多く
収録されています。

この本の冒頭に、刺繍によるおまじないの方法と体験談が紹介されて
います。

戦時中の「千人針」も、千人の女性の手が加えられた後に神社で
お祓いを受け、その後戦地に赴く男性に手渡された訳ですが、
「刺繍する・縫う」という行為も、呪術の中でしばしば行われます。

以下本文です。

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それでは、理想の恋人があなたの前に現れるよう、おまじないをかけましょう。
あなたは手芸が好きですか。
「私ぶきっちょなの」と悲観する必要はありません。
意欲さえあれば充分。

初めに、あなたの理想とする条件を幾つか思い浮かべて下さい。
例えば、「いつまでも誠実で優しい人」と決まったら、白い布に、「誠実、優しい」と
刺繍をします。
その時心の中で、「理想の人と巡り会えますように」と念じます。
きっと近いうちに理想の人と会えるでしょう。

………

(実証例)

O・Tさん (20歳)

私ブスなんです。
自分ではそうも思ってないんだけど、皆「ブスだ、ブスだ」って言うから、
多分ブスなんでしょう。
だから何度も片思いのまま失恋。
ブスで損ばかり……。

もう、こうなったら綺麗な事はやめにして、現実主義でいく事にしたんです。
それからの私、「男は金よ」と言い切り、金の無い男はハナからシャットアウト。
どんなブ男でもいいから、金のある男に思いを巡らしました。
だってお金さえあれば、いくらブスの私だってチヤホヤする男って
多いでしょう。

そこで白いハンカチに、「金・金・金」と刺繍をしました。
まるで怨念のように、白いハンカチが金という字で埋まるくらい。

そんなハンカチが四枚目になった時の事です。
ついに、思い通りの金持ちの彼が現れました。
彼は大牧場の跡取り息子。
ちょっとチビデブですが、心の優しい人なんです。
歳も10歳も上ですが、却って頼もしいし、ファザコンの私にとってはうってつけ。
知り合って3ヶ月で早くもゴールイン。

彼の両親とも同居ですが、私達の為に洒落た家も作ってくれ、私専用の
ポルシェも買ってもらいました。

真っ赤なポルシェで風を切って走る私は、ブスでも注目の的。
今、とっても幸せ。

ちょっと気の引けるおまじないでしたが、これからはいい妻、いい嫁になって
恩返しをしたいと思っています。

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冒頭から、こうした生々しいというか、自分に正直過ぎるというか何とも
言えないおまじない成功談まであり、当時らしい濃い本だと思います。

彼女について言えば、結局夢が実現したから良かったのか、人間として
もっと大切な事に目を向けた方が良かったのか、良し悪しの見方が難しいです。

しかも、この本が書かれた当時は、日本経済は今のように不安定ではなく、
そしてバブル景気に差し掛かる頃でした。
今この彼女は恐らく40代後半の年齢だと思いますが、今どのような
生活をしているのかについては全く分かりません。

わたくしでしたら、「金・金・金」と刺繍する事については、あまりにも
人間として割り切り過ぎているような、そして必ずどこかで反作用を
受けるのではないか、という気もしますし、反対に男性のケースで言えば、
「外見が並外れて美しいから女性だから、それだけの理由で結婚する」
というのと同じように思います。


しかし、「念を込めて刺繍する」という行為を呪術として行う場合、かなり
強いものとなり、この辺りは色々と応用が利きそうに思います。

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