東京多摩借地借家人組合

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個人名義を会社組織に改めると無断譲渡・転貸に当たるか

2006年12月06日 | 借地借家の法律知識
(Q)建物を借りて、個人営業をしていたのですが、税金対策上、会社組織に改めました。経営の実態には変わりはないのですが、会社名義で建物を使用すると無断譲渡転貸として契約を解除されるでしょうか。

(A)建物の賃貸借契約は、当事者間の個人的信頼関係を基礎としているものですから、信頼関係を裏切って借家人が第三者に賃貸建物を使用収益させたときは、その背信行為に対する制裁として民法は貸主に契約の解除を認めています。しかし、すべての無断譲渡・転貸が解除の対象となるものではなく、その行為を個別的具体的に解して、外観的形式的に賃借権の譲渡または転貸の事実があっても、それが貸主の信頼を破るようなものでない限り解除権は発生しないと考えられます。
 信頼関係を破るような背信行為の判断基準は、主として物的に賃貸人の経済的利益を中心に考えるべきで、例えば賃料請求権や建物の保存を危うくすることです。従って、賃貸人の承諾も得ないでした譲渡・転貸でも、その使用方法、賃料の支払い方法等において格別の変化がなく賃貸人に損害を与えるものでない限り、そこには背信性がないとされます。
 本問の場合には、税金対策の関係で個人営業を会社組織に改めて、賃借建物を使用させても解除の対象にはならないと考えられます。形式的には無断譲渡・転貸になりますが、改組の前後を通じて経営実態に変化なく、賃貸人に格別不利益を与えていないからです。

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