東京多摩借地借家人組合

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事実と異なることを告げられた賃料値上げや更新料の支払約束は消費者契約法で取り消せる

2006年12月28日 | 消費者トラブルと消費者契約法
消費者の取消権

 消費者契約をする場合、事業者は、①重要事項について事実と異なることを告げたり(不実告知)、②将来の価額、金額、価値の変動が不確実な事項について、断定的な言い方をして(断定的判断の提供)契約をすることができません。また、事業者は、③ある重要事項やそれに関連する事項について、消費者の利益となることだけを強調し不利益になることを隠して(不利益事実の不告知)契約することができません。 取引社会ではあの手この手の方便を使って、事業者は契約を勧誘します。事業者は、消費者に比べれば、売りつける物品、サービスあるいは契約内容について、圧倒的な情報を握っています。情報量の格差をこれ幸いに消費者をだますような契約は不公正です。消費者契約法は、右の三点のようなことがあった場合、消費者にあとから契約を取り消す権利を与えました。

  借地借家契約の場合

 消費者契約法は、平成一三年四月一日からの施行ですから、この法律が適用されるのは、四月一日以降の契約に限られます。しかし、それ以前からの借地人、借家人は、この法律を使えないのかといえば、そうではありません。当初の借地借家契約が平成一三年四月一日以前であっても、その借地借家契約に付随して、例えば、地代家賃の値上に関する契約、更新料支払に関する契約、一時立退再入居に関する契約、立退に関する契約、借地建物増改築に関する契約、更新に関する契約など、当事者間で取り交わす合意事項があります。これらの付随的合意は、その一つ一つが消費者契約となり得る別個の契約であり、既存の借地借家であっても、平成一三年四月一日以降になされるこれらの契約(合意)には適用されます。

 (例1)賃料値上問題

 地主・家主が今年は税金が上がったので賃料を上げてくれといってきた。借地借家人は止むを得ないと思って値上に応じたが、実は税金は上がっていなかった。賃料増額契約について公租公課額の増減は重要事項なので、この点で事実と異なることを告げられて増額を承諾した借地借家人は、増額合意を取消すことができる。

 (例2)借地更新料支払問題

 更新料支払約束のない借地契約なのに地主は更新料を要求した。その理由として、法律でも支払うことになっているし、自分の貸地の借地人は全員が払っていると説明した。借地人は、しぶしぶ更新料を払うと約束してしまったが、地主の借地人の中には払っていない人も数人いたことがわかった。この場合、支払約束のない更新料について支払義務があるという法律はないし、他の借地人全員が支払っているということも事実と異なっており、いずれも重要事項と言えるので、この借地人は、更新料支払約束を取消すことができる。 借地借家人が取り消せる契約のあり方は、もう一つあります。


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