東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

1年ごとに更新されていた更新されていた土地賃貸借契約が一時使用目的とされた事例

2007年12月13日 | 最高裁と判例集
20年以上にわたり1年毎に更新されてきた建物所有を目的とする土地賃貸借が一時使用目的とされた事例 (東京地裁平成6年7月6日判決、判例時報1534号)


 (事案)
 1、Xは昭和46年12月にアルミサッシ等を製造販売することを目的として設立された株式会社で、当時作業場等を建てる土地探していた。Yは本件土地はいずれは自宅を建てるつもりでいたので他に賃貸することは考えていなかった。X会社をYに紹介した者が明渡請求があればいつでも明渡すことを保証すると言明、またXの社長も最近独立したばかりで用地の確保に困っており一時貸しでも良いから是非貸してほしいと懇願した。そこでYは一時貸しを条件にXの申入れに応じることにした。

 2、このような経緯でYはXに対し、昭和47年4月1日、一時的建物所有の目的、期間1年、賃料1か月10万円で本件土地を賃貸する旨の契約書を取交して賃貸した。その際一時使用のための賃貸借とすることを明確にする趣旨でXはYに対し、Yから明渡請求があったら速やかに原状回復して明渡す旨の誓約書を差入れ、紹介者も保証人として署名捺印した。なお、権利金や敷金の類の金銭の授受は一切なかった。

 3、X(賃借人)は早速本件土地に組立てハウス(軽量鉄骨カラー鉄板葺き)平屋建倉庫作業場約190㎡を建築し、以後これをXの倉庫、事務所作業所として使用してきた。

 4、その後本件賃貸借契約は「土地一時使用賃貸借契約書」を毎年取交して更新され、結果的には平成5年3月31日まで20年以上にわたって継続してきた。

 5、Y(賃貸人)が右期間満了後の本件土地明渡を求めたため、Xが昭和47年4月1日から30年の借地権の確認を求めて提訴、Yは反訴として建物収去土地明渡を求めた。


 (判旨)
 「以上認定の事実によれば、本件賃貸借契約は当初から、暫定的にXが倉庫作業所を建築使用するために、一時使用の目的で締結されたものであることが明らかであり、Yが借地法の規定を潜脱する意図に出たものとは到底認められないから、本件賃貸借関係が結果的には20年余の長きにわたって継続してきたものであるが、借地法9条にいう「一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明ナル場合ニ該当スル」としてYの主張を容れ、Xに建物収去土地明渡を命じる判決をした。


 (寸評)
 本件の特徴は、1年後とに一時使用契約を締結してきたが、それが20年以上経ったのだから、実質的には一時使用のためではなく、借地法が適用になる普通の借地契約なのではないかという点にある。本件事案の全体を読むと(例えばXは既に代替地を取得してあまり必要がなくなった)判決の結論はやむを得ない感じがする。  1995.11.


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年金記録―どうする、舛添さん (朝日社説12月13日)

2007年12月13日 | 政治経済
 年金の記録があるのに持ち主が分からない。いわゆる「宙に浮いた年金記録」約5千万件のなかで、コンピューターで名寄せしても解明できない記録が約4割にあたる1975万件もある――。

 年金加入者や受給者に、過去の保険料納付記録を通知する「ねんきん特別便」の発送が始まるのを前に、舛添厚生労働相はこんな数字を公表した。

 社会保険庁の手で約2割は名寄せができた。1割は氏名がのっていないために確認中だ。死亡が判明したり脱退手当金をもらったりして受給に結びつかない記録も約3割あった。

 しかし、残りの4割は結婚などで氏名が変わったり、過去の記録を間違って入力したりしたため、名寄せできない。本人の申し出や原簿の台帳との突き合わせが必要となる。時間がかかるし、最終的に本人に結びつかない恐れも強い。

 気の遠くなるような数字である。ずさんな仕事ぶりに改めて怒りがこみ上げる。社保庁の総力をあげて解明にあたるべきだろう。

 それにつけても釈然としないのは安倍前首相や舛添氏のこれまでの言動だ。

 「最後の一人、最後の一円まで確実に給付につなげる」。安倍氏は参院選挙でこう訴えた。舛添氏も大臣就任にあたり同様の約束をした。その際に強調されたのが3月末までに、と言う照合の期限だ。3月末までに「宙に浮いた年金記録」の問題が解消される。そう思った人は少なくない。

 ところが舛添氏は「あれは選挙のスローガン。意気込みを示したまで」と修正した。今になって作業は「エンドレス」といわれても誰も納得しないだろう。安倍氏の釈明も聞いてみたい。

 舛添氏は派手なパフォーマンスで国民受けを狙う劇場型政治が目立つ。が、そんな手法ではかえって不信を招くことになりかねない。やはり、ここはもっと率直に説明し、国民の協力を求めることが必要なのではないか。

 年金では、ほかに保険料を納めたのに記録がない「消えた年金記録」の問題もある。こちらは総務省に作られた第三者委員会で処理しているが、申し立てがあった2万7000件のうち、記録が回復したのはまだ数%にすぎない。

 年金の制度をめぐっては、保険料を固定し年金水準を削減するいまの制度を維持するのか。それとも、基礎的な部分は最低保障年金として税で賄うのか。与野党の考えは食い違ったままだ。

 おまけに、すでに法律に定められた基礎年金への国庫負担の3分の1から2分の1への引き上げも、いまだに財源のめどが立っていない。

 老後の支えとして「安心できる年金」は欠かせない。年金への信頼を取り戻す第一歩として、年金記録の回復は避けて通れない道だ。政府がどこまで「宙に浮いた年金記録」を減らすのか、それをエンドレスで見届けたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする