東京多摩借地借家人組合

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定期借家推進協議会が「定期借家シンポジウム」開催

2008年04月03日 | 定期借家制度
 定期借家推進協議会と都市住宅学会共催による「定期借家シンポジウム」が3月19日、東京都千代田区の日本大学経済学部7号館で開催されました。

 会場に入ると、動員された不動産会社の社員らしき人がいっぱいでした。冒頭挨拶した同協議会代表世話人の藤田和夫全国宅地建物取引協会連合会会長は、8年前の定期借家法創設当時について「当時の国会は今のようなねじれはなく、自民・さきがけ・社民・自由党の政権で共産党以外は大変協力的だった。しかし、法務省はうるさくて法務委員会では法案が通らないために、法案の名称を借地借家法一部改正から良質な賃貸住宅等の促進に関する特別措置法に変え建設委員会で法案を通した」と苦労話を披露しました。また、「関係団体が非常に苦労して成立した制度だが、いまだに普及に欠けている。(定期借家制度を)完全なものにするために消費者の了解をとった上ですすめていきたい」と定期借家制度のさらなる改悪に向けて決意を示しました。

 来賓には、自民党の衆議院議員の桜田義孝氏、根本匠氏、保岡興治氏が挨拶に立ち、事業用定期借地権が20年から50年に延長された成果を強調し、「今年は法改正を視野に、定期借家の見直しを本格的検討していきたい」と訴えていました。
また、国土交通省住宅局の鎌本氏は「定期借家制度は5%の普及にとどまっているが少しずつ普及している。同制度は良質な賃貸住宅のストックの改善に大きく寄与している」と定期借家制度を絶賛する挨拶を行ないました。

 第一部の講演では、国土交通省住宅局の井上俊之住宅総合整備課長が、07年度に実施した同制度の活用状況調査結果を説明しました。定期借家制度の認知状況では、入居者の33%が「全く知らなかった」、定期借家制度の活用状況では新規契約に占める割合4年前の調査で4・7%が今回は5・0%と全く普及されていないことが明らかとなりました。

 続いて、同協議会の居住用定期借家マニュアル検討ワーキンググループの座長である吉田修平弁護士が、シンポ当日配布された改訂版「定期借家住宅のスマート活用術」を使い、同協議会の改正課題となっている①重要事項説明と重複する家主の事前説明義務の廃止、②普通借家から定期借家への切替の容認。③小規模住宅について(1)特約がなければ一定の理由により借家人の中途解約を認める現行制度を維持したうえで(2)当事者が中途解約を排除する特約に合意した場合には有効とする。以上3点について説明しました。

 第2部では、一部のパネリストに全国消費生活相談員協会・不動産取引研究会代表で消費生活相談員の玉城恵子氏他をまじえて定期借家制度がかかえる問題点についてパネルディスカッションが行なわれました。玉城氏は定期借家契約の苦情内容として「非正規労働者いわゆるワーキングプアの人達向けの敷金、礼金、仲介手数料0の短期定期借家の賃貸物件が増加し、家賃を滞納して退去を迫られる相談が増加している」等について報告がされました。

 定期借家推進協議会は、定期借家制度の普及促進と借地借家法の改悪に向けて毎年この時期にシンポジウムを行なっているが、国会のねじれ状況を受けて2年前と比べると議員立法成立はかなり困難な状況の中で、本丸の正当事由の見直しは次の課題として、定期借家制度の見直しにしぼって法改悪をすすめようとしていることが明らかとなりました。定期借家推進協議会の借地借家法改悪に向けての執念と今後の借家制度の見直しの動きに目を離せないことを感じたシンポジウムでした。



組合は定期借家制度に断固反対です。

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