東京多摩借地借家人組合

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敷金の管理は誰の責任?

2008年04月18日 | 借地借家の法律知識
(Q) 分譲マンションを持ち主から賃借して住んでいます。初めは、間に管理会社が入っていたのですが、倒産したとかで、現在は、持ち主に直接家賃を払っています。

 先日、更新の際、入居の時に払った敷金の話が出て、管理会社の社長がお金を持ち逃げし、敷金が大家さんの手元に入ってきていないので、自分たちで管理会社と交渉して下さいと言われました。もちろん、大家さんも再三交渉はしてくれたようです。いきなり、そんなことを言われても、どうすればよいか分かりません。支払った敷金は、家賃の3カ月分ですので、私にとっては大金です。

 その管理会社は、現在も名前を変えて運営されているようですが、交渉したら返していただけるものでしょうか? また、その際どのように交渉すればよいのでしょうか?




(A) 借り主に対する敷金の管理責任者は貸主です
(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO役員 賃貸住宅コンサルタント 朝永 彰)


 分譲マンションということですから、家主さんも一般の方で、慣れていらっしゃらないのでしょうか。

 まずは、その家主の方にもお分かりいただきたいことは、借り主が支払った敷金の管理責任は、その借り主に対しては、家主にあるという点です。

 家主は、自らの代理人として管理会社に業務を委託していたわけですから、借り主が管理会社に支払ったお金は、家主に支払ったのと同じ法的効果があります。つまり、たとえ現実に家主が管理会社から敷金を受け取っていなくても、借り主に対しては、受け取ったものとして行動しなければならない義務があります。

 要するに、借り主である相談者が、直接、管理会社と交渉する必要は一切ありません。既に家主の代理人に敷金を支払ってあるという事実に基づき、退去時には、正々堂々と、家主から敷金を返してもらうように要求してください。その際、家主は、いったん自腹を切ってでも借り主に敷金を返却しなければなりません。

 かわいそうですが、家主は、明け渡し時ではなく管理会社が倒産した時点で、取り戻せるかどうかは別として、賃借人の敷金を管理会社から取り戻す行動をしなければいけない立場なのです。

他人に家を貸して、賃料を取るということは、このようなリスクを伴うものなのです。



[2006.3.15 日経 住宅ネット相談室 掲載]



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