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要件緩和検討を答申へ 老朽化マンション建て替え 規制改革会議

2008年11月26日 | 最新情報
 政府の規制改革会議は二十五日、年末にまとめる規制改革に関する答申の中で、老朽化マンションの建て替えに関し、現行法で義務づけられている要件を緩和する必要性を盛り込む方針を固めた。

 マンション建て替えの要件は、区分所有法で規定され(1)所有者の数(2)専有面積に応じて所有者に与えられる議決権-ともに、五分の四以上が賛成しての「決議」を行うことを義務づけられている。

 国土交通省によると、築三十年以上のマンションは全国に約六十三万件あり、十年後には約百七十二万件に急増する。

 これに対し、建て替えが実現した事例は、阪神大震災などによる建て替えを除き百二十一件にとどまっている。

 規制改革会議は昨年、要件が厳しすぎることが建て替えが進まない要因とみて、国交、法務両省に実態調査を要請。このほどまとまった結果では、築三十年以上のマンション約四百五十件の管理組合が回答。「五分の四」の緩和については、回答した組合のうち、人数要件で「緩和が必要」47・1%、「不要」38・2%、面積要件で「必要」37・8%、「不要」43・2%と意見が分かれた。

 要件緩和に対しては、政府内にも「本来なら全員が同意しなければならないのに、五分の四を緩めるのは難しい」といった慎重論がある。

 このため同会議は答申後も慎重に議論を進める。(東京新聞11月26日)

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賃料不払を理由に建物の鍵を交換した賃貸人の行為は、違法な自力救済行為に当たる

2008年11月26日 | 最高裁と判例集
東京地裁判決 平成16年6月2日
(判例時報 1899号 128頁)

《要旨》
 賃借人の賃料不払を理由に建物の鍵を交換した賃貸人の行為は、違法な自力救済として不法行為が成立するとしたものの、賃借人に損害が生じたとはいえないとされた事例


(1) 事案の概要
 室内装飾品類の販売等を営む法人Xは、平成10年10月、賃貸人Yとの間で建物賃貸借契約を結び、その建物を事務所兼倉庫として使用していた。
 しかし、Xは資金繰りが悪化し、平成11年3月及び4月分の賃料支払を遅延したうえ、Xの実質的な経営者Aが同年4月に、刑事事件で逮捕拘留されたため、業務の運営が困難になり、5月分以降の賃料を一切支払わず、その支払の目処も立たない状況に陥ってしまった。
 そこでYは、平成11年6月、Xに対して、未払賃料等合計298万円余の支払がなされない場合には賃貸借契約を解除する旨の意思表示をするとともに、その場合には本件建物の鍵を交換する旨通知したが、Xからの入金は期限までに実行されなかった。Yは本件賃貸借契約が解除されたという前提のもとに、この建物に赴き、居合わせた、Bの従業員の立会いのもとに、鍵の交換を行った。
 そのためXは、Yが鍵を交換した行為は違法な自力救済であり、これによって営業ができなくなったとして、債務不履行又は不法行為に基づき合計3,110万円余の損害賠償を求めて提訴した。

(2) 判決の要旨
 ①本件賃貸借契約は、契約解除通知および期限の経過によって、Xの債務不履行を理由とする解除により終了したものと認められる。
 ②本件鍵交換の予告はされていたものの、建物内の動産類の持出しの機会を与えることなく、Xが、事前事後において、承諾ないし容認したものとは認められないことからすると、本件鍵交換は未払賃料債権等の履行を促すために行われた、Xの占有権を侵害する自力救済に当たり、緊急やむを得ない事情は認められず、不法行為が成立するものと認められる。
 ③Xは、本件鍵交換によって、本件建物内に立ち入ることが困難となり、業務を遂行することが困難となったことが認められるが、本件鍵交換当時、Xが、逸失利益等の請求の前提となる正常な業務を遂行していたものと認めるのは困難である。
 ④したがって、Xの占有権を侵害する不法行為に該当する本件鍵交換によって逸失利益相当の損害が発生したとするXの主張は採用できない。


(3) まとめ
 本件では、賃貸人の賃貸借契約終了後の鍵交換行為について、「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が損する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」との最判昭40・12・7の示した一般的基準を引用して、違法な自力救済であると判断している。



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