さて、バリに行くことを決めてスーツケースをどれにしようか迷った。と言うのも旅行の時の私たちの荷物は、最近は機内持ち込みできるキャリーケースひとつだけなのだ。
薄着で過ごせる四泊五日の旅。夫はパンツ二本とTシャツを三枚。それに薄手のカーディガン。私は夏のロングスカートとパンツ、カットソーとTシャツ四枚。それに二人分の下着。帽子やタオルや、細々としたものを入れてもいつものキャリーケースで充分だ。
行く時は半袖のTシャツに長袖のブラウス。その上にカーディガンを着て調節できるようにした。現地では日除けにその長袖のブラウスを着るつもりだった。
空港まではダウンジャケットを着て行くが、それは車の中に置いていく。そのままでは寒いのでストールを羽織る。靴は冬靴からサンダルに履き替えるが、それもキャリーケースに入る。夫の靴はリュックに入れる。
空港のツアーデスクで受付した時「預ける荷物はいくつですか?」と聞かれたのに「ありません」と答えたが、
「え!?無いんですか」 と聞き返された。
荷物を預けないのは私たちだけ。多くは一人がひとつの、大きめのスーツケースを持っている。持ち込みできるくらいのキャリーケースひとつだけしか無い私たちは、ちょっと恥ずかしい
それでも毎日着替えたし、不便は無かったのだけれど。
到着1日目の観光は4人の参加者で、案内してくれる現地ガイドさんは日本語がとても上手。でも日本に行った事はないという。
その日の観光はブサキ寺院、タナロット寺院のほかライステラスやキンタマーニ高原などだったが、私の心に触れたのはバリの人々の、暮らしに溶け込んだ信仰だった。
家々や商店の前には神様を祀っているらしい祭壇のようなものがあり、女性がお供え物を捧げているのを見たりもした。道路を歩けば路上のいたるところにもお供え物が。
ホテルのロビーにも、買い物に行ったコンビニのレジ脇にもそれはあった。
案内してくれたガイドさんの家では日に20個ものお供え物を作るそうだ。
そういえば「神様はバリにいる」という映画が公開されるようだが、その中にバリの人たちは町のいたるところに神様がいるって信じてるとのセリフがある。
本当にそうだと思う。
これまで観光してきたどこの国とも違った空気。それは私の心に深く沁みたのだった。