コーラルブルーの海に囲まれ、亜熱帯の緑深い海に包まれている「日本でいちばん天国に近い島」志手島。その島で世界最大級のカマキリが発見された。
『びっくりな動物大図鑑』を執筆中のフリーライター・藤間は取材のため、現地へ向かう。
だが、楽園とは別の姿が・・・
最後に行き残るのは誰だ!?
読み始めたらとまらない、サイエンスサスペンス長編
書店で見かけた荻原浩の新作「楽園の真下」の帯の文句に惹かれて、図書館に予約したのは昨年の8月。
週に一度就航している船で渡るしかない絶海の孤島、志手島。
フリーライターの藤間は大型のカマキリを探すのだが、興味を持ったのは人口の割に自殺者が多いという事だった。
カマキリを探すために野生生物センター長の秋村という女性と行動を共にし、ある日島の食堂で闘魚のフライを食べたことから二つの話につながりが見える。
読み始めはそれ程でも無かったのが、と言うか最後に生き残るのは誰だという惹句に何となく先が見えるような気がしたのだけれど、どっこい想像の上を行く展開に家事もせずに読みふけることになった。
実は私、この手のパニック小説は好きだ。
篠田節子の「絹の変容」や「夏の災厄」などのほか、外国作品も興味深く読んだものだ。
「夏の災厄」は、郊外のある地域で致死率が異常に高い感染症が爆発的に広がるという、現在の新型コロナウイルスの感染拡大を彷彿とさせる話だった。
この「楽園の真下」は、決して目新しいテーマではない。後半繰り広げられる死闘もこの手の話にはありがちだが、それでもと言うか、やっぱりと言うか、読み始めたら止まらない。
そしてラストの一行が予感させる未来。