在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

スペイン広場近くのストゥディオハウスL

2007-11-28 23:17:29 | 行ってはいけない
スペイン広場に向かって右に、まっすぐ伸びているドゥーエ・マチェッリ通りがある。その通りに入ってすぐ左にローゼンタールなどを置いている高級食器店ストゥディオハウスLがある。
昨年の今頃、仕事の帰り道、ウィンドーを覘くと、良さそうなナイフ・フォークセットが安くなっている。かなり重厚な雰囲気のお店で、冷やかしで入るお店ではない。しかし、購入する気持ちがあったので入った。
その旨を伝え、品物を出してもらっている間に店内を見た。奥に、白のシンプルな角型の食器が展示されていた。とても気に入ったが、食器一式は、数年前に、2度に分けて日本からかかえて持って来ていたので、前菜を出す時に盛皿として使えそうな、中型の長方形のお皿を2枚購入することにした。ところが、展示されているのが最後の1点というので、1枚の購入となった。10ユーロであった。
その後も、もう少し店内を見回し、レジに着いた時には、皿、フォークセット共、半分以上包んであった状態だった。品物を受取り、支払いを済ませ、店を出た。
ところが、家に帰って、買ったお皿をよく見たら、角が1か所、すっと削り取ったように欠けている。良く見ないとわからないくらいだが、確かに削れている。
もう閉店に近い時間だったし、翌日は祭日でお店は休み、しかし、翌々日、ちょうどスペイン広場まで行く予定があったので、その時に取り換えてもらうこととした。
そして、当日、できるだけ早い方が良いと思い、お昼にはお店に着いた。お皿を見せて、事情を話すと、店主(まだかなり若い若造風)にいきなり、本当にいきなり文句を言われた。
まず、うちでは、包む前に必ずお客様に見せて確認をしてもらう、だから、絶対に私たちがやったものではない、つまり、あなたがやったんだ、と言う。(たかだか10ユーロのお皿だと思ったのだと思う。レジに着いた時には、すでに包み始めていたので、店員は私に見せていない。)
次に、自分の仕業でなければ、すぐ、その日のうちに電話を入れるはずだ、と言う。また、どうして昨日のうちに来なかったのだ、とも。(購入は夕方で、家に帰ったのは19時過ぎだった。また、昨日は祭日だったので、お店はクローズ。)
その他、持ち帰る間にぶつけたとか、開けた時にうっかりやっただろうとか、実にいろいろな言いがかりをつけてくる。
あまりに馬鹿らしい反論に、そして、絶対に自分の主張をまげない店主の態度、返金・交換なんてもってのほか、という態度に、それはそれは頭に来た。だから、当然、確かに声が少しは大きくなったのは認める。でも、できるだけ理論的に反論したつもりである。
すると、変な言いがかりを付け、営業を妨害するのであれば、警察を呼ぶ、と。その間、二人くらい、馴染みの客が入ってきただけで、他のお客様はいないから、別に営業妨害にはなっていない。
結局、しぶしぶ、最後の1枚の為、新しいものが入荷したら連絡をすると、かなり投げやりな態度で言い、2ヶ月後、連絡があった時も、引き取りに行った時も、一言も誤ることもなく、相変わらず、うちは絶対に悪くない、仕方なく譲歩したという、実に大きな態度だった。
それまでの会話の中で、うちはこんなに高級なものばかりを扱っているんだ、うちのお客様はすごい人ばかりだ、だから、こんな間違いが起こるはずはない、と言っていた店主。でも、実際に間違いは起こった。
たかだか10ユーロの皿1枚しか買わない客なんて、うちの客じゃないよね(実際にはフォークセットを購入しているし、お皿は2枚、または、後に追加しても良いと思っていた)という態度。
こんなお店に行ってはいけない。

”スム 2001” アカデミア・デイ・ラチェーミ

2007-11-28 17:30:27 | Puglia プーリア
“Sum Torre Guaceto 2001” Accademia dei Racemi -Puglia
面白いワインだった。
ラベルは見たことがあるが、飲んだことがあるかないか記憶にない。今まで気に留めなかったワインであることは間違いない。
プーリア州のワインで、値段が安くて美味しいとの評価で、その昔、有名だった「フェッリネFelline」を造っているワイナリーである。これも、それほど値段の高くないワインのはずである。しかし、それがこんなに美味しいとは。と言っても、美味しいの意味は、素晴らしく良くできているワイン、最高の評価のワイン、というのではない。これほど完璧な状態でワインを飲めるとは、良く考えてみるとなかなか珍しい。まさにパーフェクトな飲み頃だった。
品種は、スッスマニエロ100%。最近は、本当に面白い土着品種が復活している。
色は、ガーネット色で、爪はオレンジがかる。なるほど、インゲン豆fagioloの色に近い感じ。やや透明感が全体にある。
香りは、腐葉土が出ている。そして、スパイス臭。とてもよく熟している。やや臭みのある熟成香だが、その臭みがとても良い。よく熟しています、と語っているよう。プルーンのコンフィ、サクランボの一種marasca、ニガヨモギrbarbaro、バルサム臭、ヨード臭、野菜臭、ミネラル、などなど。果肉の豊かさが香りからも感じる。
味に、やはり厚みがある。やわらかく、酸がほどよくあり、塩味もある。全てが非常にバランスよく存在している。タンニンもエレガント。ボディがありながら、控え目なところもあり、後味の持続性が良い。
幸せを与えてくれるワインは、高いワイン、有名なワインだけではない、ということを教えてくれたワインである。
ところで、試飲はマグナムボトルから。これほどの美味しさは、マグナムならではだと思う。大きなボトルの中でゆったりと過ごせて、ワインもきっと幸せだったのかも。