A bigger splash ア・ビッガー・スプラッシュ
監督 ルカ・グアダニーノ
たまたま監督がアメリカからの飛行機の接続に間に合わず、帰国が遅れ、出席できなかった。
そこで、代わりに、友人からの挨拶が上映前に一言あったのだが、外国では受けているのだが、イタリアでの反応はイマイチ、との紹介であった。
なるほど、これは面白い。イタリアでは受けないが、外国(つまりアメリカ中心)では受ける要素がどこにあるのか。
まだイタリアでは劇場公開されていない作品で、9月のベニス映画祭に出品されたものである。
最近のイタリア映画は、外国での上映が意識されてか、役柄を外国人とし、英語で作られるものが多くなってきている。
これも原作がそうであるからなのだと思うが、主要人物4人ともが外国人の設定で、英語での作品である。
外国人4人が、シチリアより南にあるパンテッレリア島で夏のバカンスを過ごす間の複雑な絡みにさらに事件が絡んでくるメドロラマ、ややエロチック、そして一応(と付け加えたい)スリラーである。
声が出なくなり引退を余儀なくされた元女性ロックスターが、自殺未遂経験のある若くてカッコイイボーイフレンドと夏のバカンスを過ごしている。その別荘にはプールがあり(原作の題名は「プール」)海が綺麗なパンテッレリア島なのだが、海のシーンはほとんどなくプールばかりである。
そこにロックスターの元恋人が娘を連れて突然やってくる。
ちなみに、この娘役が、この春話題になった「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」で注目されたダコタ・ジョンソン。
ここでは金髪で登場し、あまり「グレイ」の面影はないような気がするのと「グレイ」は見ていないのでどうなのかよくわからないが、この作品での演技は必ずしも良かったようには思えない。というより、非常にシニカルな雰囲気を漂わせる役なので、全体に無表情的だったからかもしれないが。
若い恋人はかなり性格の良い男で、失いたくないの、と言いながらも心が揺れ動く元ロックスター。
元恋人の方もこれまた性格が良く、元ロックスターを忘れられない。押しに押し、最後にはロックスターとのよりが戻る。
娘は、惚れる訳ではなく、ただの興味から若い男に近づいていく。
若い男の方は、元ロックスターに惚れているのではあるが、若干魔が差した感じで心が揺れ動きだす。
ここで、イタリア人が面白くないと思うかもしれない要素の一つを想像してみる。
いわゆる「悪人」がいないのである。
娘役がまあまあ相当するが、ただシニカルなだけで悪女ではない。
みんな良い人、でもなんだかこうなってしまう、という感じが変凡、平坦。画面がさらっと流れていくだけ。
事件は、元恋人と娘のバカンスが終わり、いよいよ明日出発という最後の夜に起こる。
若い男と元恋人がプールで喧嘩、格闘になり、若い男が元恋人を思い余って殺してしまうのである。
そこからは、画面とは別に結構コメディになった。
絶対にすぐにバレるよねーという設定なのであるが、移民がうろうろしているパンテッレリア島なので、別荘に侵入した移民との格闘の末に殺されたことで落ち着いてしまった。ありえない~
最後のシーン。大雨の中、パトカーがサイレンを鳴らして元ロックスターと若い恋人の乗っている車を追いかけてきた。
いよいよばれたかと思い、恐る恐る車を停める。
すると、事件の担当警官が、彼女にCDを差し出し、サインを求める。
ここまでくると完全にコメディ。
これくらいの男女の絡みはイタリアではいたって普通のことで、別に。。。という気もするし、いくらなんでも殺さないよね~と思ったり、あっけないハッピーエンドやら、最後のコメディやら、会話は最後の警官のセリフを除いてあとは全部英語だし、画面は綺麗で悪くはないのだが、イタリアで成功に繋げるのはやや難しいような気もした。
しかし、アメリカ人は、こういうコメディ的でもあり、ハッピーエンド的なところが結構好きなのかと想像してみる。
監督 ルカ・グアダニーノ
たまたま監督がアメリカからの飛行機の接続に間に合わず、帰国が遅れ、出席できなかった。
そこで、代わりに、友人からの挨拶が上映前に一言あったのだが、外国では受けているのだが、イタリアでの反応はイマイチ、との紹介であった。
なるほど、これは面白い。イタリアでは受けないが、外国(つまりアメリカ中心)では受ける要素がどこにあるのか。
まだイタリアでは劇場公開されていない作品で、9月のベニス映画祭に出品されたものである。
最近のイタリア映画は、外国での上映が意識されてか、役柄を外国人とし、英語で作られるものが多くなってきている。
これも原作がそうであるからなのだと思うが、主要人物4人ともが外国人の設定で、英語での作品である。
外国人4人が、シチリアより南にあるパンテッレリア島で夏のバカンスを過ごす間の複雑な絡みにさらに事件が絡んでくるメドロラマ、ややエロチック、そして一応(と付け加えたい)スリラーである。
声が出なくなり引退を余儀なくされた元女性ロックスターが、自殺未遂経験のある若くてカッコイイボーイフレンドと夏のバカンスを過ごしている。その別荘にはプールがあり(原作の題名は「プール」)海が綺麗なパンテッレリア島なのだが、海のシーンはほとんどなくプールばかりである。
そこにロックスターの元恋人が娘を連れて突然やってくる。
ちなみに、この娘役が、この春話題になった「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」で注目されたダコタ・ジョンソン。
ここでは金髪で登場し、あまり「グレイ」の面影はないような気がするのと「グレイ」は見ていないのでどうなのかよくわからないが、この作品での演技は必ずしも良かったようには思えない。というより、非常にシニカルな雰囲気を漂わせる役なので、全体に無表情的だったからかもしれないが。
若い恋人はかなり性格の良い男で、失いたくないの、と言いながらも心が揺れ動く元ロックスター。
元恋人の方もこれまた性格が良く、元ロックスターを忘れられない。押しに押し、最後にはロックスターとのよりが戻る。
娘は、惚れる訳ではなく、ただの興味から若い男に近づいていく。
若い男の方は、元ロックスターに惚れているのではあるが、若干魔が差した感じで心が揺れ動きだす。
ここで、イタリア人が面白くないと思うかもしれない要素の一つを想像してみる。
いわゆる「悪人」がいないのである。
娘役がまあまあ相当するが、ただシニカルなだけで悪女ではない。
みんな良い人、でもなんだかこうなってしまう、という感じが変凡、平坦。画面がさらっと流れていくだけ。
事件は、元恋人と娘のバカンスが終わり、いよいよ明日出発という最後の夜に起こる。
若い男と元恋人がプールで喧嘩、格闘になり、若い男が元恋人を思い余って殺してしまうのである。
そこからは、画面とは別に結構コメディになった。
絶対にすぐにバレるよねーという設定なのであるが、移民がうろうろしているパンテッレリア島なので、別荘に侵入した移民との格闘の末に殺されたことで落ち着いてしまった。ありえない~
最後のシーン。大雨の中、パトカーがサイレンを鳴らして元ロックスターと若い恋人の乗っている車を追いかけてきた。
いよいよばれたかと思い、恐る恐る車を停める。
すると、事件の担当警官が、彼女にCDを差し出し、サインを求める。
ここまでくると完全にコメディ。
これくらいの男女の絡みはイタリアではいたって普通のことで、別に。。。という気もするし、いくらなんでも殺さないよね~と思ったり、あっけないハッピーエンドやら、最後のコメディやら、会話は最後の警官のセリフを除いてあとは全部英語だし、画面は綺麗で悪くはないのだが、イタリアで成功に繋げるのはやや難しいような気もした。
しかし、アメリカ人は、こういうコメディ的でもあり、ハッピーエンド的なところが結構好きなのかと想像してみる。