乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

全国ごほんろさんの旅 まずは岩手・・・で、化け猫に遭遇か?

2008-05-02 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

 

      ・・・って、化け猫ちゃいますから!!

 

   全国ごほんろさんの旅

     

 旅に出た。

 といっても、書物の上でのこと。

 旅行書やガイドブック、民話や関連作家などの本を頼りに、その土地と遊ぶ。

 これがまた、なかなか楽しい。

 家に居ながらにして、その地方の知らない事がいろいろと見えてくる。

 当然行って見たくもなるが、なかなか思うようにはいかない・・・ってな訳で、このような楽しみを見つけてしまった。

 

 とりあえずは、理由なしの岩手県から。

 いや、理由は自分なりにあるのかも知れない。

 

 ちょうど5,6年前にもなるだろうか。岩手に一度行った事がある。

 酒がうまい。やたら澄んだ味覚のマンボウと、ホヤの造りのニオイにおけるギャップが大きい。この感覚は、ある種、たまらなく惹きつけられる。

 

 ちょうどその頃、私はH・G・ウエルズに凝っていた。

 いつもの事ながら、馬鹿な私は 地底人やら何やらとはしゃぎ、岩手の地底湖に向かった。

 だが、ついたその日は運悪く水かさが増え、見ず終い。

 近くの住民と話していると、こんな事を聞かされた。

「地底湖に入れないのは、年に二度ほどで、いつもは入れるんだけどねぇ。(標準語に近い岩手弁)」

 ショックが大きい。

 

 次に期待していたのは浄土ヶ浜。

 観覧船に乗ることもでき上機嫌だった。

 ところが、波がきつく、上陸することはできなかった。 

 このようにして、待望の岩手2ポイントには見事にふられ、片思い。

 ここまでくると腹立たしいと言うよりも、肩の力が抜けてしまったといった方が近い。 

 上のような言うに足りない理由が内なるところに潜んでおり、岩手を選んだような気がする。

 

 さてさて、次はどこに行こうか・・・。

 彷徨う乱鳥。惑う乱鳥。

 そして、無駄という名の最高の時間を楽しむ。

 かくして、私のごほんろさんの旅は始まった。

 いつどこにたどり着くか分からない、気ままな旅。

 

     

 

コメント (11)
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『木々高太郎全集 6』 朝日新聞社

2008-05-02 | 読書全般(古典など以外の一般書)

 記録だけ  2008年度 35冊目   

 

   『木々高太郎全集 6』

 

                   

 著者 木々高太郎

 朝日新聞社 

 上下段・440ページ 980円

 昭和46年3月25日 第1版発行

 

 本日木々高太郎全集 6』 を読了。

 第6巻には次のような作品が載せられていた。

 

 随筆(1)「故郷とその中学」      

    (2)「私の出発」   

    (3)「パヴロフ先生をしのぶ」   

    (4)「私は最後の弟子だった」   

    (5)「ヒポクラテスの全集」    

    (6)「Logico-physiologicus」   

    (7)「秋空と真理」        

    (8)「匂いと条件反射」   

    (9)「百の仮説」         

    (10)「比喩と比論」   

    (11)「思想としての条件反射学」  

    (12)「身のうちの生物」   

    (13)「汎化と分化」        

    (14)「憧憬」   

    (15)「科学者と情熱」       

    (16)「投射と予備」   

    (17)「感覚と表現」        

    (18)「文学における実感について」   

    (19)「『明暗』について」     

    (20)「ドストイェフスキイの研究」   

    (21)「ドストエイェフスキイの癇癪描写」 

    (22)「劇作論」   

    (23)「日本詩の音律」       

    (24)「福士幸次郎とその作品」   

    (25)「江戸川乱歩論」       

    (26)「小栗虫太郎論」   

    (27)「探偵小説二年生」      

    (28)「いよいよ甲賀三郎氏に論戦」   

    (29)「探偵小説におけるフェーアについて」 

    (30)「批評の標準」   

    (31)「『人生の阿呆』自序」    

    (32)「新泉録(A)」   

    (33)「探偵小説の評論について」  

    (34)「新泉録(B)」   

    (35)「推理小説の範囲」      

    (36)「探偵小説の地位の向上」   

    (37)「探偵小説の本質」

 詩  (1)「渋面」

    (2)「月光と峨」

遺稿詩篇・絶筆   

    (1)遺稿詩篇           

    (2)絶筆

戯曲 (1)「上品下品」

初期作品(1)「家出」

作品解説 須田勇

       中島河太郎

       金子光晴 

木々高太郎年譜

 

 木々高太郎全集の6巻目では随筆が群を抜いて興味深かった。

 とりあえずは全集は読み切ることができた。

 私の場合は、おそらく彼の作品の中では『網膜脈視症』の次に随筆が好きだというのも、皮肉なものである。

 彼の言っていることは、結構うなずけることも多い。

 また医学的な知らない部分もこの本によって知り得た事は、余得ともいうべきか・・・。

 根っからの学者肌の物の考え方は作家としては魅力的で、作風は別として、安部公房氏と同方向に感じ、とても好きだった。

 次は2、3冊なりと、 林髞(木々高太郎)氏の方を読んでみようかとも思う。

 

 6巻目には詩がのせられていた。

 私はたまたま読み残し部分を、JRの中で読んでいたからたまらない。

 気恥ずかしい詩が綴られ、他人に見られればどうした物かと、気が気でなかった。

 中には好きな物もあった。

 しかし木々高太郎氏がこのような一面も持っていたのかと思うと、なんだか楽しい。

 この木々氏が、随筆の中で書いていたように、詩人 萩原朔太郎も好きなのかと思うと、不思議な感じがする。

 多分こういった二面性を持つ男性というのは、地位や名誉などに関係なく、女性に好感をもたれるのではないだろうか・・・。

 ただ、彼の年上の女性に対する執着と理想像の壁は事の他厚く、興味の無い女性を簡単には受け付けないにおいを感じ、そこが魅力とも思えるのである。

  

 彼の作品などを読んで、ドストエフスキーの作品も、以前読んだ物も含めて、しっかりと読みたくなった。

 彼は好きな物に対しては とことん力説するので、多少なりとも影響を受け、こちらの興味の範囲が広がるところが好ましい。

 そういった、厚みのある人物のように感じさせる木々高太郎全集であった。

 

 

コメント (2)
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