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乱鳥の書きなぐり

『身毒丸 』 折口信夫  2  此頃になつて、それは、遠い昔の夢の断れ片(はし)の様にも思はれ出した。  / 父の背

『身毒丸 』 折口信夫  2  此頃になつて、それは、遠い昔の夢の断れ片(はし)の様にも思はれ出した。  / 父の背

   「折口信夫全集 第十七巻」中央公論社
   1954(昭和29)年11月
   「折口信夫全集 27」中央公論社
   1997(平成9)年5月




「おまへには、まだわかるまいがね」
といふことばを前提に、は小半時も、頑是のない耳を相手に、滞り勝ちな涙声で話してゐたが,大抵は覚えてゐない。


 此頃になつて、それは、遠い昔の夢の断れ片(はし)の様にも思はれ出した。



 唯この前提が,その時、少しばかり目醒めかけてゐた反抗心を唆つたので、はつきりと頭に印せられたのである。


 その時五十を少し出てゐた父親の顔には、二月ほど前から気味わるいむくみが来てゐた。


 父親が姿を匿す前の晩に着いた、0奈良はづれの宿院の風呂の上り場で見た,父の背を今でも覚えてゐる。

 
 蝦蟇の肌のやうな、斑点が、膨れた皮膚に隙間なく現れてゐた。




 
『身毒丸 』 折口信夫  1  信吉法師が彼(身徳)の肩を持つて、揺ぶつてゐたのである。

『身毒丸 』 折口信夫  2  此頃になつて、それは、遠い昔の夢の断れ片(はし)の様にも思はれ出した。  / 父の背
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