乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『神秘と詩の思想家メヴラーナ―  トルコ・イスラームの心と愛』 西田今日子訳 丸善プランネット株

2008-08-23 | 読書全般(古典など以外の一般書)

 

(写真はイランのテヘラン。モザイクやタイル画の素敵なゴレスレーン宮殿の窓。)

 

記録だけ  

 

 2008年度 95冊目  

 

 
 
   『神秘と詩の思想家メヴラーナ―
           トルコ・イスラームの心と愛』 
  

 

 

 イェニテルズィ、エミネ 著

 西田 今日子 訳

   1971年東京生

   武蔵野美術大学

   宝飾・貴金属加工業に従事

   現在、宝飾品企画・加工「かざりや」主宰

 丸善プランネット 株

 2006年6月20日 第1版 

 385ページ 3150円

 

 

 尊敬しているお一人のT様にお教えいただいて、読むことができました。

 ここに感謝申しあげます。

 ありがとうございます。

 

 

 私はこれまで メヴラーナ―(ヨーロッパが侵略と覇権争いに明け暮れていた中世期)という名を知らなかった。

 まぁ世間知らずで、何も知らないのだから、当然のことだ。

 教えていただいた『神秘と詩の思想家メヴラーナ―  トルコ・イスラームの心と愛』は、図書館で手に入れようと思えばゆうに一ヶ月はかかりそうだ。

 幸いにして、子供の通う大学にあった。

「付属図書館なのだけれどね、書庫だったよ。 『大学院 AA研究科』のものでね、周りには結構珍しい本が並んでいたよ。中東関係の本が多かったな。」

などと、図書館事情を話してくれる。

『そうなの。』

と、意味もない相づちとともに 礼を言う。

 聞き流してはいたものの、AA研究科っていったい何だろう・・・。アジアアフリカ研究科だろうか・・・。AhouのAtasiには分からない。

 

『神秘と詩の思想家メヴラーナ―  トルコ・イスラームの心と愛』は面白く、深かった。

 馬鹿な私がどこまで分かっているかは別問題として、兎に角一言一言が心にしみこんでくる。

 言葉も日本語訳とはいえ、美しく、美味く工夫されているせいか、鳴り響く。

 

 第5章のメヴラーナの影響には特に興味を感じた。

 メヴラーナ教団について詳しく書かれていた。

 一度は見たいと思っていたセマーはここから始まったらしい。

 イラン人も身につけるカリグラフィーは個々で学問として習得されていたんだな。

 メヴラーナ学舎は

  イルム(学問的知識)

  イルファーン(直感視)

  アダブ(教養・礼儀作法)

  神秘学、宗教、文学、音楽、カリグラフィー他、学問を修得する場として機能したと記されている。

 

 中でも私の心をとらえたのは、優美な比喩的伝統的言い回しの部分。

 これには、心を奪われてしまった。

 例えば、

  「炎(蝋燭)を消して」 → 「炎(蝋燭)を楽にしてあげて」

  「明かりをつけて」 → 「明かりに目をさますように伝えて」

                「明かりに告げて」

  「死者を埋没する」 → 「死者に磨きを輝かせる」

  「私」 → 「この貧しきもの」

   もし、私と行ってしまった場合 → 「呪われよ、この自我よ」

という具合。

 

 トルコで息づいたメヴラーナ―の言葉の数々は、実はペルシャ語で記されていたという。

 ペルシャ語が一番格調高いためだという。

 

 ペルシャ語で表現されたメヴラーナ―の言葉は、物語の部分を省いて、やがて詩の部分が一人歩きした傾向にあるという。

 去年 一人でバーバーターヘル廟に訪れた。

 イランの誇る詩人である バーバーターヘルも、メヴラーナ―を尊敬して影響を受けていたという。

 今では イラン人はメヴラーナ―にかなりの影響を与えられているという。

 

 メヴラーナ―は我が家の書棚にも二種類 十数冊並んでいた。

 ただし、ペルシャ語のものと英訳のもので、分厚くてかなりの冊数。

 本当はこんなにも長い内容なんだと思うと、教えの深さに驚くばかりだ。

 日本人の宗教観は、中東のそれとはかなりずれている。

 しかし宗教はともかく、人間の指針に触れる部分や、芸術、教養、品の部分では、今一度しっかりと見つめ直す必要を感じる。

 イランでは、ハーフェズ廟やバーバーターヘル廟、サーディ廟に行くと、一般のイラン人が声高らかに、まるで歌でも歌うかのように、詩を読み始める。

 優雅な調べが廟の中でこだまし、響きあう中で、中央に置かれた詩人の棺は、自分の創造した言葉の調べを聴き、眠りについているのである。

 メヴラーナ―はイランのそういった時間の流れの手助けの一部をしたのかも知れない。読み終えて、そんな風に感じるのである。

 

 最後になりますが、間違った内容や不愉快な表現などがございましたら、お教え下さいましたら嬉しいです。

 皆様、最後までお読み下さいまして、ありがとうございました。

 

 

  第1章 メヴラーナの生涯

 第2章 メヴラーナという人物―彼にまつわる逸話から

 第3章 メヴラーナの作品

 第4章 メヴラーナの思想

 第5章 メヴラーナの影響

 第6章 総論

 第7章 メヴラーナの言葉


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハムナプトラ 3  The Mum... | トップ | 『イランのむかし話』  マレ... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (闘いうどん 様)
2008-08-24 16:33:28

ありがとうございます。
参考にさせていただきます。

ハーフィズとサーディーは名前ばかり知っていて、実際に詩を読んだことがありません。
他の教えていただいたものも興味がありますので、読んでみたいと思いました。
(でも、私に読めるかな?ちょっと心配です^^)

九月中旬くらいから一ヶ月ほど留守をいたしますので、十一月くらいから読ませていただこうと思います。
楽しみが一つ増えました。
きっかけをあたえて下さいまして、感謝いたします。
返信する
Unknown (闘いうどん)
2008-08-24 07:15:25
TBありがとうございます。
ルーミーの詩は本当に美しいものなので、ぜひ他の翻訳もお読みになって下さい。井筒俊彦の著作集に『ルーミー語録』というのがあります。
あと平凡社東洋文庫にある『ハーフィズ詩集』、サーディー『薔薇園』、ニザーミー『ライラとマジュヌーン』はお薦めです。
返信する
こんにちは (聖なるブログ 闘いうどんを啜れ 様)
2008-08-23 10:03:11
先日はTBをありがとうございました。
とても参考になり、早速、読ませていただきました。

闘いうどん様のように読み込めればいいのですが・・・無理です^^;;
いつもの事ながら、一通りざっと読んだというだけで、何にも分かっておりません。
闘いうどん様のお気にいられております書物でしょうに、中身のない記録で、申し訳なく感じています。

お礼の意味と敬意をこめて、報告がてらTBさせていただきました。
中身の無い記録ではございますが、御笑納下されば、うれしいです。

お体に気を付けて、お仕事、頑張って下さいね。
返信する

コメントを投稿

読書全般(古典など以外の一般書)」カテゴリの最新記事