乱鳥の書きなぐり

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『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 7 後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないか

2020-01-12 | 観世流(続)百番集、日本古典文学大系(謡曲)、能楽関係本

 

  『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 7 

 

 暮れのことだっただろうか。
 つい先日のこと。
 親切な方に、文庫本に真山青果の 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』が出版されていると教えていただいた。
 そこには、元々の謡曲は『望月』ではなく、『石橋』であったと記されていたという。

 私は、文庫本の『元禄忠臣蔵 御浜御伝綱豊卿』は読んでないので定かではないが、今一度松竹座の案内などを確かめてみると、そこには『望月』と書かれていた。
 しかし、原作では、『石橋』であったのかもしれないと後ろ髪を引かれる。
 私は真山ものが苦手なので、読むに至らないのが残念である。

 親切な方のおっしゃるように、元『石橋』であったが、面を使うために、『望月』に変更されたのかもしれない、とのこと。

 確かに『観世流続百番集』で『望月』をみると、直面(ひためん)であり、一部布で顔を覆っている。
 髪も『石橋』のように百毛ではなく、『望月』では歌舞伎の『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』のようにファッション性が『石橋』とはまた異なる。
 のちに歌舞伎で、謡曲変更したとしても不思議ではない。


『岩波講座 能・狂言 能鑑賞案内』、『望月』を弄っていると、338ページに次のように説明されていた。

「獅子」が舞われる曲として『石橋』がある。それは、獅子口の面をつけた獅子そのものの舞であるが、これに対して本曲(『望月』)は、人が芸能として獅子を舞う。他に内外詣(うちそともうで)(金剛)で、神主が獅子を舞う。

 なるほどと、納得する。


 また、『能を読む 4 信光と世阿弥以降 異類とスペクタル』や『観世流続百番集』「望月」を読むと、歌舞伎の 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』には、『石橋』よりも内容的に『望月』の方が向いていると思える。

 
 よって、原作では『石橋』であったかもしれないが、後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないかと、私は考えているが確信は持てない。


 
 参考図書
 『観世流続百番集』「望月」
 『能を読む 4 信光と世阿弥以降 異類とスペクタル』
 『岩波講座 能・狂言 能鑑賞案内』
 『日本の古典芸能 3 能』
 
 

 
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 1
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 2 『望月』【詞章】
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 3 『能を読む-4 信光と世阿弥以後 異類とスペクタクル』より『望月』
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 4 よもやつれづれ  
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 5 複数本を探しても、答えは見つからず…乱鳥迷鳥気味である。
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 6 真山青果全集は見つからず…乱鳥再び迷鳥乱飛のまま、宿り木へ 
 
 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 7 後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないか 


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Unknown (sisi様へ Ranchoより)
2020-01-15 03:15:33
sisi様、こんばんは^^
今、自分の返事を読み返して、変なことに気づきました。

家族の忍耐あるのみは、我が家のことだけです^^
夫はわりかし音痴に近い状態なんです(っていうか、夫婦揃ってです^^)
なので、色々と器用で何事もこなされるsisi様の尺八は素晴らしいと想像しています。

ところで、昨日は大阪でミュージカルを楽しんできました。
直行で帰ったのに、家に着くと12時前でした。
余韻が強く、まだ眠る気分ではない状態です。
私、舞台で感動したる興奮すると、朝まで眠れないことがあるから、困るんです^^

人って楽しい時間を持てると、満足感は大きいですね^^


   いつもありがとうございます。   Ranchoより
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Unknown (sisi様 Ranchoです。)
2020-01-13 09:35:40
良い意味でsisi様を先頭に^^
殿方はそいった方が多いのかもしれませんね。

夫も退職してすぐに、おそらくプロ用のリコーダーを二本、オーダーメードしました^^
時々思い出したようにいていますが、これレコードの調べのイメージと、ちょいズレている^^
家族は忍耐あるのみです^^

尺八でJAZZって、素敵ですね。

JAZZではないのですが、つい最近までは待っていたのがデビュー前から好きだった和楽器バンドの尺八と箏とボーカルでした。
尺八もあのように吹けるんだなと感心して見聞きしていました。
尺八の音色って、心に響きますね^^

Autumn Leaves、頑張って吹いて、私たちにお聞かせくだされば嬉しいです^^
 

      コメントをありがとうございました。 Ranchoより
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Unknown (Unknown)
2020-01-13 05:52:11
いやいやgoodsを集めるのが趣味で、仕舞いや謡曲まではとてもとても(笑)。
春霞。たなびきにけり久かたの。月の桂の花や咲く。げに花かずら.色めくは春のしるしかや。面白や天ならで。ここも妙なり天つ風。雲の通路吹きとじよ。乙女の姿。しばし留りて‥(羽衣より)
それにしましてもRancho様はよく勉強されていますね。流石に謡本について分析能力を持たれている方の足元にも及びません。

勉強といえば、最近尺八のロツレチハをドレミの音階に変えて、Jazzの曲を尺八で吹けるようにチャレンジしています。まだまだ私にとってロツレチハの楽譜は難解ですが。余談ですが、何ごとにもgoodsから入るので、楽譜も読めないのに、尺八が3本になってしまいました。今年はAutumn Leavesが吹けるのが目標です。
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Unknown (sisi様へ Ranchoより)
2020-01-13 00:30:54
sisi様のおっしゃるとおりですね。
『石橋』は松羽目物の意味合いが濃いので、おめで出たい場合が多いですね。
歌舞伎でも小芝居でも『石橋』は演じられることが時々ありますね。
その場合、こをけ下ろす場面と台に乗っても毛振りの部分で歌舞伎は今や派手派手な演出になっていますね。

能楽の『石橋』は『安宅』と同様、一見歌舞伎より追いついて見えました、その実、人数が多かったり集合体になって小さな能楽堂を目一杯に使われるものですから、かなり迫力があると感じます。

あらら^^
sisiさん、めん、お二つ目ですか???
それはもう、仕舞いや謡曲をなさいませんと^^v
仕舞いや地唄などされるときは必ずやおっしゃってくださいね。
よほどのことがない限り、Rancho.夫とともに、駆け付けたいと思います^^

   頑張れ〜〜sisi様^^v   Ranchoより
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Unknown (sisiです。)
2020-01-12 22:48:18
能の望月は、仇討ちをテーマにした曲で主人公の友房が獅子舞を舞います。”しゃっきょう”は中国・インドの仏跡を旅する寂昭法師が、山西省の石橋にさしかかった時、文殊菩薩の乗り物である獅子が現れ獅子舞を披露します。両方とも獅子舞がありますが、石橋のほうが、連獅子など祝いの色合いを持っています。
そうすると、忠臣蔵の方は敵討ちなので、望月が正解かと…。(しし)
*歌舞伎の連獅子はハデハデですよね。能は渋い。
門外漢のわたくしには全くついていけません。
そういえば、昨年末、また小面の面をつい手に入れてしまいました。これで2面目です。こんなに集めてどうしたいのでしょうか。
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