
カフカ『通りの窓』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社
通りの窓
ひっそりと暮らしていて、それでも時折、何かに結びつきがほしい人、一日の時刻や、天気や、仕事の事情、そのたぐいのことが変化するのに応じて、すがりつける腕といったものがほしい人ーーーとなると、通りに面した窓無しはやってはいけない。何を求めるのでもなく、ただ疲れた人間として、まどのところにいて、目を上と下、空と人の群れに向けている。何となく少し首をうしろにそらしていると、下の馬が車と騒音もろともに巻き込んで、ついには人の営みにと引きこんでいく。
写す
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます