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【あらすじ】
愚直に生きてきた主婦と巨大なホテルチェーンを統べる女社長。
二人の末期ガン患者が出会い、その達観した姿勢同士で意気投合する。
病院で死んだ少女が残した「生きてるうちにやりたいことメモ」を偶然手に入れ
残りの人生を使ってメモの内容を実践していく。
相変わらずたおやかな吉永小百合と相変わらずカッコいい天海祐希のナイスキャスト。
従順な社長秘書のムロツヨシもいい演技。
なのだけれど。
最初から登場人物のヘイト管理がヘッタクソで呆れる。
家事に非協力的な亭主と、家族より仕事を優先する娘と、ひきこもりの息子。
不倫を隠そうともせず、会社を乗っ取ろうとする旦那。
幼い頃に自分を捨てた父親。まわりにいじめられていた過去。
そんな不幸自慢を続けてとりあえず最初に同情をひいて泣かせる、
そこからスカイダイビングやエジプト旅行で日常からの解放。
なんとも短絡的で頭を抱えてしまう序盤の展開。
なにからなにまでご都合主義だしセリフのひとつひとつがあざといし
そもそも大金持ちと知り合って好き勝手に遊びまわる妄想自体が設定として安っぽい。
子供だましというか、年寄りだましな内容。
要はずっと生きてきた女性に「あなたの人生は間違ってませんでしたよ」と慰めるための作品。
そのためにどんな人にでも理解できるレベルのシナリオじゃないといけないし
共感を与えるためには多少現実から歪めてでも、主婦の人生を完全肯定する必要がある。
俺はまだまだ死ぬ予定もないし、人生でやりたいことが山ほどあるし
「実際に余命を知らされたときに何をやろうか」という参考にもならない。
まあ、俺みたいな人間が観る映画ではなかったな…。
それでも、ヒューマンドラマとしてまったく飾り気のない素朴さが
最後まで静かに胸に響いて気持ちよかった。
「病気で人が死ぬ悲しい映画」ではなく、自分の死を悲しいことと思わない二人の姿に
死を前向きに捉える考えを抱かせるという点で
実際に病気で悩んでいる人には特効薬のような価値があるとは思う。
上映が終わったあと観客席を見たら自分以外の全員がババアで戦慄した。
そういえば、ポスターのキャスト欄に大きくももいろクローバーZの名前があって
一体どんな役なんだろう、と気になっていたんだが。
結局本人役で出演していて、やりたいことリストの「ももクロのライブへ行く」を
叶えるためだけの出演。なんじゃそりゃ…。
しかも「20代の人~~!!」という定番の呼びかけから
70代は珍しいという理由でステージへ呼ばれて一緒に踊るというネタがあった。
実際にそんなことはありえないがwww ライブなめんなwww
しかしこのシーン、マジで数万人の観客がいるので
おそらくリアルのライブで客に協力してもらって収録したんだろうな。すげえ。
ここまで書いて気づいたが、客席の中で唯一異質な男がこんな映画を観てたということは
もしかして俺は他の客にももクロ目当てだと思われてたんだろうか…。
違うから。ただの邦画ファンだから。