【あらすじ】
コメディアンを目指しながらも、日々ピエロのバイトで生活している男。
病気の母親と二人で暮らしているが、本人も突然笑い出してしまう病気を持っており
世間からの目と治安の悪さが重なり合って、次第に社会から孤立していく。
自分がアメリカ映画をあまり観ない理由のひとつに
「合理主義的なポップコーンムービーがウケる土壌だから」ってのがあって
派手な映像美を求める気分にあまりならない自分にとっては
どの作品の予告編も魅力的に映らないのだよな。
そんな中、この作品は予告だけでメチャクチャ惹かれた。
「ダークナイト」で悪の視点から見たストーリーの面白さがウケる、
ということに気づいたのは世界的な映画界のターニングポイントになったと思う。
まあ普段から日本製のRPGなんかを遊ぶと悪側の正義ってのが逆に食傷気味ではあるんだが、
「悪いやつは倒す! YES!」だけでまかり通っているアメコミで
ひたすら悪を徹底する作品ってやっぱり興味が湧くわ。
で、実際に観るとこれがまた面白い。
キチガイがキチガイゆえの貧しさに逆恨みして殺しまくるだけの映画なのに
すべてのシーンがなぜかものすごく面白い。
ホアキンのちょっとした所作、演出とカメラワーク、
ジョーカーダンス等の間を埋めるための「遊び」部分や
ぶっ殺すシーンでのギャップ狙いで流れるオールディーズ。
素晴らしいとか美しいとかいう感想は微塵も抱かないのに
とにかく「面白い」と思わせる凄さ。
登場人物をカッコよく見せる技術がハンパない!!
最近は嫌煙がどんどん進んでるけれど、
カッコよく見せるための小道具としてタバコはすげえ優秀なアイテムだw
頭のおかしい人間の思考回路をエンタメとして昇華するセンス。
正直、ストーリーもミステリをよく読む人間にとってはありきたりなんだけど
そんな定石すら吹っ飛ばす魅力にあふれた映画。
バットマンシリーズへの繋がり方を考えると非常に趣き深い。
しかしあれだなー、銃がなければジョーカーも誕生しなかったかと思うと
やはり銃社会はフィクションだから面白いのであって
現実ではメリットないよなー。