感想:あの人が消えた

2024-10-13 08:47:26 | 映画





~あらすじ~

運送業の青年・丸子。
配達を担当している「人が消える」という噂のマンションに入居した女性が、
愛読している「小説家になろう」作品の作者・コミヤチヒロだと知る。
配達を繰り返すうちに丸子は女性に好意を寄せていくが、
同じマンションに住む不気味な男がつきまとっていることに気付く。





この映画は事前情報なしで観たら結構面白かったのだけれど
ネタバレなしだと感想を書けないので
これから観る予定の人は今回はスルーしてください。








普通に一人で暮らしている女性からすれば、
配達員に惚れられるのって結構な恐怖でしかないと思うんだがなあ。
さっさと荷物を渡すべきところをコミュ障っぽく話されたら怖いって。

つきまとっている男よりも、この主人公のほうがストーカーに見えてしまう。
しかも何でもない場面でおどろおどろしい音楽を流して不安をあおったりして
アホなおばちゃんたちが昼に観るドラマみたいな安っぽい演出にイライラ。

ただの配達員なのに、勝手にマンションの住人に聞き込みをするのも不自然。
男が血まみれでベランダでタバコを吸っていたり、
意識のないコミヤを部屋へ運びこんでいたりという情報が出てきて
サスペンスとしても安いTVドラマのようなご都合主義。

すべて主人公の勘違いでしたーってオチだったら怒ろうかと思ってたんだが。





中盤からはガラッと様相が変わる。
コミヤは須藤、男は別府と名乗り、ともに公安のエージェントとして
マンションに潜伏しているテロリストを調査していることが明かされる。

そして前半での数々の謎が回想として再現され、
テロリストを追い詰めていく戦いの日々が描写される。

この突飛で意味不明な展開のギャップがめちゃくちゃ面白い。

公安のエージェントながら仮の姿をパーソナルトレーナーとして過ごし
日夜プロテイン片手に鍛錬にいそしむ別府。
清楚な女性に見えたはずが別府のミスにブチギレてしばき倒す須藤。

公安から支給されたペン型麻酔銃とか、「コナンかよ!」と
観客に突っ込ませてくれるゆとり部分も面白いw
制作が日テレ系なのでそっち方面の小ネタなんだな。

血のように見えた液体が実は奇妙な色のプロテインだったり
適当にかけた電話番号が何故か梅沢富美男(本人)につながったり、
とにかくシュールあふれる謎展開が繰り広げられる。

この笑いの作り方がとにかく上手くて
序盤からずっと別府の不気味な演技を貫いていた染谷将太の転換っぷりが見事。




というわけで。
映画としての予想外のブン投げが超楽しかった。
最初甘く見ていたぶん、伏線の消化の仕方もミステリファンとして満足の出来!!

上映スケジュールのあらすじだけ見ると
安っぽいホラーかサスペンスかという受け取り方しかできなくて、
最初からコメディ映画だと説明しておかないと動員につながらないんじゃないか。

ストーリーラインは超グダグダで普通ならぶっ叩くところだったのに
面倒なことを忘れてとにかく笑いに向かわせるパワーがある。

やっぱりたまにはこういう作品を楽しむ余裕を持たないとだな!!



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