阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や平和構築活動、趣味や日常生活についてメッセージを発信します。

ふるさとをください

2008年04月11日 00時33分58秒 | 日常
 今日はホームページの更新作業や、支援者訪問活動をしていましたが、夜は和歌山が舞台の映画・「ふるさとをください」を観ました。この3月に「民主スクール」の研修で訪問し、様々な意見交換をした施設「麦の郷」が舞台でもあるので、本当に楽しみにしていました。思っていた通りの素晴らしい映画でした。 

 精神障害を持った方々の自立を支える施設「麦の郷」が設立され、活動を開始します。しかし、住民は「安全を守れるのか」「地価は下がるし、娘の縁談にも差し障る」と、激しい反対運動を起こします。この映画では、お互いの深い溝と、対話によって少しずつ理解していく様子が、和歌山の美しい自然とともに描かれます。

 私たちのような健康な人間であっても、一日にして精神障害をきたす可能性があるのです。ところが「気違いと一緒に生活できるか(映画の中のセリフ)」という偏見も、人間の心のどこかに潜んでいるのでしょうか。実際にこの施設を設立・運営してきた伊藤静美さんにとっても、地域の方々に理解を頂き、地域と共存するための苦難は大変なものだったようです。

以前は、障害を持った方に英語でハンディキャップという言葉を使いましたが、これは、帽子を持って物乞いをしている人の姿が語源らしく、今はチャレンジド(challenged)と呼びます。より多くの挑戦の機会を与えられている、より多くを乗り越えて生きているという尊敬の気持ちを込めた言葉です。とは言え、様々な偏見、そして苦難との闘いの厳しさは変わりません。

 この映画の中の圧巻のシーンは、施設長の女性と反対運動のリーダーが対峙した言葉のやりとりでした。「ワシらはふるさとを守りたいんや」というリーダーに「
そのふるさとをほんの少しだけ、分けてもらえへんでしょうか?」「ここにいてる人たちには、帰るふるさとがあらへんのです」

 地域から、そして家族からも帰ることを拒否された人たちにとって、このような施設は社会生活を営み、人間としての尊厳を持って生きる最後の場所なのです。厳しい財政の中であっても、そんな方々の笑顔を守れる国家になれるかどうか、それが、私たち自身の尊厳であり、品格だと思います。

 また、「苦労することが生きていることや。精神病院にいた時は、普通の人のように苦労したかったんや。」というセリフにも心を動かされました。「沢山お金を稼いで、沢山税金を払いたいんです」そのためにも、税金を有効に使えるように、無駄遣いは徹底的になくしていかなくてはなりません。

 「麦の郷」は実際には和歌山市にあるのですが、映画の設定では、粉河が舞台になっています。粉河の駅前商店街や、百合山から見渡せる桃源郷、そして紀の川の流れ。私の日々の活動の場が映画になっていることにも感動しました。主人公の女性の実家として撮影に使われた酒屋「紀ノ川屋」は、3月下旬の訪問活動でお話を伺った店でした。約束通り、ようやくですが、観に行きましたよ!

 この映画は11日までの公開予定でしたが、18日まで延長されるようです。(ただし、19:30からの1回だけです)皆さんも是非観て下さいね! 


写真:百合山(展望台)から見る桃源郷の様子が映画にも出てきます。桃の花のピンクは、本当にきれいですよ。