阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

雇用と尊厳を守るために

2008年12月18日 19時03分49秒 | 政治
 雇用情勢が日に日に厳しくなっています。私は毎日毎日訪問活動を続けていますが、雇用に対する関心が大変強くなっていること、そして、与党が第二次補正予算案の見送りを決めた失望感を強く感じています。

 それにしても、トヨタ、ソニー、キヤノンなど、企業体質の良好さに定評があった大企業が、なりふりかまわず人員削減を始めていることに強い失望と怒りを感じます。

 人材派遣法改正によって、派遣労働者を含む非正規雇用が激増しました。この法案は本来、働き方の多様性を確保するのが目的であり、会社にとって都合の良い安価な労働力を生み出すのが目的ではなかったはずです。

 まず、一番弱い立場にある非正規労働者が切り捨てられる企業、そして社会からは、人間に対する尊厳を感じることができません。まずは経営陣が賞与・給与をカットし、人件費は役職が重い者から順番に削減するべきでしょう。

 麻生内閣は日本経済を「全治3年」と断じましたが、ついこの前までは、「史上空前の好景気」と、政府・与党は経済政策を自画自賛していました。多くの庶民にとっては豊かさを実感出来るものではなかったにせよ、多くの企業が最高益を更新していました。内部留保の財産は少なくないはずです。私がかつて在籍していたキヤノンは、大分の関連会社が1200人の派遣社員を解雇しましたが、毎年のように史上最高益を更新していたはず。1200人の人間を冬空に放り出すほど切迫した状況なのか、大いに疑問です。
 
 収益が上がらない事業は大胆に切り捨ててもリストラはせず、人員を成長部門に集中させるダイナミズムがキヤノンを超優良企業に成長させた戦略だったと思います。トップが経団連の会長を務めているこの会社を擁護するつもりはないけれど、私は、日本を代表する企業が、ここまで非情な首切りを断行する大きな理由は、企業スピリットの劣化とともに、政府・与党の経済政策が全く期待できないからだと思います。そのために過度に縮小路線に走っているのではないでしょうか。
 
 民主党(野党3党)は、「国民の命を救うための緊急雇用対策法案」を参議院に提出、可決されました。麻生首相は先日の党首討論で「景気対策は間に合っている」との認識を示しましたが、事態はひっ迫しています。国民の雇用、そして尊厳を守るための緊急景気対策。与党には、その深刻さが理解できないにしても、せめて速やかに成立させる妨害はしないことを、強く求めたいと思います。


 写真:海南市下津町市坪の町並み。「熊野古道」の提灯が沢山見られます。