阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

福島第一原発内を視察

2013年01月16日 23時33分17秒 | 政治

 昨日は福島第一原発を視察しました。事故後、環境委員会で3キロ圏内まで入ったことはありましたが、施設内に入ったのは初めてです。3000人の方々が廃炉に向けて懸命の努力をしている姿、3時間近くも視察できたのは本当に貴重な経験でした。

 今、原子炉は冷温停止状態(22度~36度)が安定的に維持されています。今の最大の課題は、4号機において使用済み燃料プール内の燃料取り出しを行うこと。原子炉建屋屋上部のがれきが撤去されたので、燃料を取り出す作業に必要な建物を設置する作業が行われていました。この建物の天上部からクレーンを用い、ロボットを使ってプール内の燃料を取り出す作業を今年中に始めるための準備が行われていました。

 3号機も同様の工程を目指していますが、放射線量が多いため同じように作業することはできません。まずは4号機での経験、知見を元に1号機、2号機においても具体的な計画を立てる予定ですが、とにかく慎重に放射線量を調査・コントロールしながら、もっとも適した工程を発見し、作業につなげていくのは極めて困難な作業です。

 一方、原子炉を冷却するため、建屋の地下に滞留している高濃度の放射線物質を含んだ水を浄化処理し、注水冷却に利用しています。この過程で発生する汚染水を貯蔵・処理するのも重要な作業ですが、地下水が一日300~400トンほど混入するため、その処理が大きな負担になっています。さらに、万一地下水が汚染し、その地下水が海洋に到達した場合であっても海への汚染拡大を防ぐため、遮水壁の設置工事も行われていました。

 原発関連の作業と言えば、通常なら電気関係の作業が中心になるのですが、廃炉に向けた作業に入る足掛かりとしてとしての建設・土木系の作業、そして、その作業を行う前提としての様々な調査に膨大な人手と時間がかかる実態も理解できました。

 大きな使命感と責任感を持ち、命の危険に晒されながら膨大な作業を一歩一歩進めている様子に感動しました。政治の責任として、この工程をいかに後押しすべきなのか、そして今後の原発政策はどうあるべきか、情報を分析し、国会において問題提起をしていきます。

 それにしても、これほどの努力と財源は全て廃炉のためです。再生可能エネルギーなど新たなエネルギー戦略の構築に向けて使われるのであれば、どれほど大きな価値が生み出せていたかと思うと無念でなりません。