阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

明日(12月3日)NHKニュースウォッチ9に出演します

2013年12月02日 21時39分10秒 | 政治

 11月30日、読売新聞の夕刊(社会面)で、私のコメントが取り上げられました。見出しは、政党交付金「返還逃れ」ですが、私は政党を移った時に自ら返還しているケースとして紹介されました。(記事の最後の部分です)

 政党を移った方々が、もとの所属政党の支部に残っていた政党交付金を資金管理団体に差し替えて残金が出ないようにしているケースを、税金の目的外使用として批判する論調の記事なのですが、私はその中では例外的なケースとして取り上げて頂いたようです。私自身は政治資金に関して「疑われる余地は一切残さないように対応しよう!」と決めていたので、民主党として国民から頂いたお金は民主党議員でなくなる以上、国民にお返しするのは当然と思い、直ちに返還していました。そのこと自体もすっかり忘れていたのですが、今、報道各社は、「政治資金取材班」を組織して情報収集をしており、390万円を返却した私のケースが目に止まったようです。明日はNHKからも取材を受けることになりました。21時からの「NHKニュースウォッチ9」私のインタビューが紹介されるようです。

 私自身は、政治資金パーティーはしない、企業・団体献金も受け取らないポリシーを貫き通しています。自転車に乗り、お金はあまり使わないエコ・フレンドリーでヘルシーな対話型活動を心がけ、政党交付金と個人献金の範囲内で活動しています。お陰でいつも自転車操業ですが、このスタイルは、私自身の政策、政治的価値観、ライフスタイルと一致しているので、今後も続けたいと思っています。
 


 

原子力協定について、これから両院議員総会で議論→採決

2013年12月02日 14時36分25秒 | 政治


 今日は16時~両院議員総会です。トルコとUAEへ原発輸出を行う原子力協定について賛否を問うことになっています。この問題では私が部会長を務める「国家政策部会」で議論を続けてきました。私たちの党は通常の政策の方向性を決める時「部会」で多数数で決めた結論を最大限尊重して頂き、その上で「総務会」で決定することになっています。しかし、原発輸出の問題は原子力についての党の方向性を左右する大きなテーマです。改革政党としての原発政策の方向性を民主的な方法で決定できれば、党にとっては大きな前進だと思います。私は原発輸出には反対の立場で討論に参加します。

 さて、下記に添付するのは、11月13日の外務委員会の質疑です。私は外務委員会では3度にわたってトルコへの原発輸出について質問しました。以下に添付するのはその3回目です。この質問では、フィリピンへの水害支援の在り方、さらに米国が無人爆撃機によってパキスタンの部族地域などで民間人を巻き添えにしていること、自分自身が活動したパキスタンの部族地域での経験に基づいて質問しています。




○阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 きょうは、フィリピンで発生した台風三十号の被害、日本政府としてどのような支援を行っていくかについて、そして、アメリカによる無人機の問題、これは今世界的に大変大きな問題になっています、この問題に対する日本政府の基本的な考え、そして今後の取り組み、さらに、前回積み残したトルコへの原発輸出についてお伺いをしたいと思います。

 一時間、大変長い時間でございますが、出張帰りの大臣に、ぜひおつき合いをいただきたいと思います。

 さて、まずフィリピンで発生した台風についてですが、私、今さまざまな方面から情報収集をしているところではありますが、死者が恐らく一万人を超えてくるのではないかということ、そして、現地において略奪などが発生しており、支援活動は相当困難が予想されるというような状況を聞いております。

 まず、日本政府の情報収集についてなんですけれども、どのようにして行っているのか、そして、その情報をどのように今後の支援活動に生かしていくのか、この点について大臣の認識そしてお考えを伺いたいと思います。

○岸田国務大臣 今回のフィリピンにおける台風被害の深刻度は、国際社会においても大変大きな衝撃を与えています。

 私もけさ帰国をいたしましたが、インドで行われましたASEM外相会議におきましても、ちょうどフィリピンのこの被害の報道と重なったものですから、各国ともこの問題に対して深い関心を寄せ、そして支援を行わなければいけない、一同にこうした議論を展開しておりました。

 そして、御指摘のように、この深刻な事態に対しまして、情報収集の重要性、大変重要だと存じます。

 我が国は、今日まで緊急援助の実績を積み上げており、今回のフィリピンの台風被害につきましても、こうした経験を踏まえて迅速に対応をしております。例えば、台風が上陸する前日に、国連等援助機関と調整するため、JICAから一名を国連災害評価調整チームに派遣しまして、災害が発生した翌日には現地入りをしております。

 そして、今後具体的な支援活動を進めていくに当たりまして、情報収集はますます大事になってくると認識をしております。これまで、在フィリピン大使館を通じまして、フィリピン政府と緊密に情報交換を行い、これを踏まえてしっかりと支援策を決定していきたいと考えております。

○阪口委員 国際的な援助活動を行う、その上で非常に重要だと思うこと、より早く展開をすること、そして、いかに現場のニーズに応える活動をするかということだと思います。

 その上で、現地の政府と連携をして情報収集をする、これは基本だと思いますが、同時に、やはり独自の情報収集の力を持っていかなくてはいけない。

 今、NSCを設置するということで、情報をいかに首相官邸が中心になって活用していくかという体制の強化が図られていくんだと思いますが、この一次情報をいかに収集をして分析をしていくか、特に、こういった災害時の迅速かつ効果的な対応を行う際に大変に求められてくると思っております。

 ぜひ、例えば地域研究者であるとか現地で展開をしているNGO、また、さまざまなそういった現地のコミュニティーのネットワークの中から情報収集をする、そういった方向も今後打ち出していく必要があるのではないかと思います。

 この点について、特に、情報収集力を全般的に強化する、インテリジェンス能力を高めていくという点から、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○岸田国務大臣 我が国の情報収集能力を向上させなければならないという問題意識、大変重要であると私も思っております。

 御指摘のように、まず我が国自身の情報収集能力を上げるべく、体制や人員の整備等を考えていかなければいけないわけですが、それとあわせて、国際機関、NGO、そして現地政府、関係者と緊密な連携体制を構築していかなければなりません。

 平素からの情報収集もあわせて、迅速にこうした関係者との情報交換、情報収集が可能になるような体制をつくっておく、こういった点も大切にしていきたいと考えています。

○阪口委員 日本政府は、医師や看護師ら二十五人の国際緊急援助隊を派遣ということで、もう本日にはレイテ島最大都市のタクロバンの医療施設に展開をしている、あるいは、する予定であると聞いております。私は、こういった最大都市における医療活動は大変に重要であると同時に、より現場に入っていく、そういった支援も求められていると思います。

 今後のオール・ジャパンの救援活動について、現時点でどのような予定であるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○岸田国務大臣 台風の被害に対する我が国の具体的な対応ですが、人的支援の面では、十一日に派遣を決定した国際緊急援助隊、そして医療チーム、既に、被災地のレイテ島に入り、所要の活動を開始しております。また、十二日には、自衛隊を国際緊急援助隊として派遣することを決定し、既に一部がマニラに到着をしております。これは恐らく先遣隊ということだと思いますが、こうした段階を踏みまして、しっかりと自衛隊の活用も考えていきたいと思っております。

 そして、緊急シェルター、水、衛生分野で一千万ドルの緊急無償資金協力を行うことを表明したほか、ビニールシート、マット等、六千万円相当までの緊急援助物資をフィリピンに供与すること、これを決定しております。

 こうした支援、これを着実に進めなければなりません。決定したことを一刻も早く実施し、そして、被災された方々のもとに実際に届くように、しっかり努力をしていきたいと考えています。

○阪口委員 我々日本としては、津波災害を受けた経験、そして、これまで日本には余りなかった、海外から援助を受けた経験という蓄積がございます。近隣のフィリピンに対しては、やはり、日本のプレゼンスをしっかり見せると同時に、本当に必要な支援を行う万全の体制を構築して人道援助を行っていただきたい、まいりたいと思っております。

 さて、アメリカの無人機について問題提起をさせていただきたいと思います。

 実は、私の個人的な経験もこの問題にはかかわっておりまして、二〇〇二年の秋から冬にかけて、ちょうど九・一一のテロが発生し、また、テロとの闘いが行われていた、当時のパキスタンのトライバルエリアにおいて、私は、選挙の監視、調査、そして報告をするという仕事を現地において行っていた経験がございます。

 当時は、オサマ・ビンラディンを初めとするアルカイダの一派が、まさにパキスタンの行政や警察権が及ばないトライバルエリア、部族支配エリアに潜伏をしている、このように言われておりまして、アメリカによる爆撃が行われておりました。大変な数の犠牲者が出ていると同時に、私も、現地で活動する中で、場合によっては攻撃に巻き込まれるリスクもある活動であるということを現地で認識しておりました。

 当時、少しでも現地の社会に入っていくためということで、私も民族衣装を着て、ひげを生やして活動していました。私の顔は、余りひげが似合う、立派なひげを蓄えるそういった顔ではないんですけれども、しかし、少しでも現地になじんで、奥深く入っていこうとすると、そういった攻撃を受けるリスクが生じ得るということ。

 また、よく聞かれたのは、日本政府の基本的な考えはどうなんだということなんですね。要するに、アメリカの側に立つのか、それとも、我々の側に立って、アメリカのこういった攻撃をやめさせる、あるいは何らかの問題提起をする意思があるのかということも聞かれました。

 このような、本当に現地に住んでいる人々、民間人の方々にとっては、突然ミサイルによって攻撃をされる、これは大変に大きなストレスを感じる、人道的な問題であると思います。

 こういった私自身の個人的な経験に基づいて問題提起をさせていただきたいと思うんですが、まず、二〇〇九年、オバマ大統領がノーベル平和賞のスピーチで述べた言葉、短い言葉ですので引用させていただきたいと思います。

 一定の条件が整ったときのみ戦争は正当化される、最後の手段として、また自己防衛のために、適切な武力で遂行され、民間人は可能な限り犠牲にしないという条件である。オバマ大統領は、スピーチの中でこのようなことを述べております。

 ところが、この十月、国連は、米国、英国などの無人機攻撃による各国市民の被害について報告を行いました。まさにパキスタンやアフガニスタンにおいては、二〇〇四年以降、市民四百七十九人以上が死亡したという結果を公表いたしております。そして、全体の死者は二千二百人であるということも述べております。

 そして、この市民の犠牲に対して責任がある国として、経緯を調べて公表する義務を負うと指摘、無人機攻撃の大半を実施している米国に対しては名指しをし、事実関係を明確にするように求めた、このような報道がなされております。

 また、ヒューマン・ライツ・ウオッチやアムネスティ・インターナショナルのような国際人権団体も同様の指摘を行って、この無人機による爆撃、そして、そこに一般人の被害が多数出ているということに対して、国際社会としては真剣に向き合っていかなければいけない、今そういう時期に来ていると思います。

 まず、大臣にお伺いをしたいんですが、この数字、四百七十九人の民間人が巻き添えになっているということについて、これは数字の大小ではないと思いますが、この事実についてどのようにお考え、お感じでしょうか。

○岸副大臣 お答えを申し上げます。

 委員の御質問にもございましたとおり、アフガニスタン及びパキスタンにおきましては、テロとの闘いがいまだ続いております。その中で、無辜の民間人の方が多数犠牲になられている、このこと自体は大変痛ましいことだというふうに考えておる次第でございます。

○阪口委員 痛ましいことであると思いますという後に、もう少し言葉を期待したんですが、少し官僚的な答弁であったのかなという思いもいたします。

 では、大臣はいかがでしょうか。

○岸田国務大臣 もちろん、今、岸副大臣から答弁させていただきましたように、こうしたテロとの闘い等によってさまざまな地域において民間人の犠牲が出ていること、大変痛ましいことだと思います。

 そして、その実情や背景や理由につきましては、それぞれの地域において、場面において、さまざまなものがあります。やはり我々は、それぞれ個別に具体的に対応を考えていかなければならないと思いますが、基本的に、暴力の停止、そして非人道的な状況の改善、こういったものに対してしっかりと努力をしていく、こうした貢献を行うことは考えていかなければならないと思います。

○阪口委員 今、非人道的な状況の改善というお言葉がありましたが、まさに米国の爆撃によって非人道的な状況が生まれているということ、これはやはりしっかり認識をしなければいけないと思います。

 その上で、さらにお聞きしたいんですが、このようなケースにおいて、テロリストを殺害する上で、どうしても民間人の犠牲というもの、これは避けられていないというのが現実だと思います。

 民間人の巻き添え、被害というのは、これはもうやむを得ないものなんでしょうか。テロリストを殺害する、この大義のためにはいたし方ない犠牲であるとお思いでしょうか。あるいは、やはりこういった人道的被害というものは徹底してなくしていくという立場に立つべきだとお考えでしょうか。この点、お答えをいただきたいと思います。

○岸副大臣 先ほども委員からもお話ございましたけれども、現地で行われているテロとの闘い、これは我が国もテロとの闘いについては重視をしておるわけでございます。

 その中で、先ほどオバマ大統領のお言葉も引かれました。やはり、民間人がそういった攻撃に巻き込まれるということは極力避けていかなければいけないんだと思います。

 先ほど大変痛ましいという答弁をさせていただいたんですけれども、これは、無人機であろうと、いかなる攻撃であろうと、民間人が巻き込まれるということは極力避けなければいけないことでありますし、事実として犠牲者が出ているということについては大変痛ましいことである、こういうことでございます。

○阪口委員 国連は、責任がある国は経緯を調べて公表する義務を負うと指摘して、米国を名指ししているわけですが、基本的に、日本政府としては、国連を支持するのか、あるいは米国を支持するのか、どちらの態度を現状でとっているのか、今後とるのか、この点についてはいかがでしょうか。

○岸副大臣 戦闘の方法についてでございますけれども、いわゆる軍事的必要性と、また、文民及び民用物の保護という人道的な要請の、双方の要素を考慮しなくてはならないわけでございます。

 こうした観点に立ちまして、砲爆撃につきましては、軍事目標に限られるべきであるという区別原則等をしっかり考慮する必要があるものと理解をしております。

○阪口委員 まずは情報開示をするということが、仮にアメリカがみずからの正当性を国際社会に対して訴える場合においても、これは最低限必要なことだと思うんですが、アメリカ政府は、基本的に、これは秘密作戦であるということを理由に、国連や、そして遺族が求める情報開示には応じず、説明責任を果たしていないということであります。

 一度の無人機攻撃で何人の兵士が殺され、そして何人の民間人が犠牲になったのか、これは判断するのも大変に時間がかかります。何といっても、一万キロ以上離れた米国の本土において、そこで赤外線カメラによる情報をベースに攻撃をオペレーターが行うわけですから、現地における作戦と比べても、みずから検証すること、これ自体も困難が伴うものだと思います。

 しかし、民間人を結果的に殺しておいて、その事実を判明するための努力をしない、これは、これ自体、大変に人道的な問題をはらむものだと思いますが、この点について、どのようにお考えでしょうか。

○岸田国務大臣 御指摘の、パキスタンにおける米軍の無人機攻撃ですが、こうした個別の案件において、米国とパキスタンが、これまでどのような経緯を経て、そして、どのような背景のもとに、どんなやりとりをし、あるいは約束等があるのかないのかとか、さまざまな事情について、我が国としては詳細を知る立場にないものですから、その辺を確認できない立場から評価ですとかコメントするのは、ちょっと適切ではないのかもしれないとまず思っております。

 ただし、この無人機の問題は、国際世論の中で、さまざまな議論の中で、今大きく取り上げられようとしています。

 我が国としましては、一般論として、こうして大きな議論が起こりつつあるわけですから、こういった問題について、引き続き大きな関心を持って注視をしていかなければならない、これだけは間違いなく言えるのではないかと思っています。

○阪口委員 大臣がいろいろな意味で明快にはお答えしにくい立場であるということは、私もよく理解をいたしております。

 ただ、今大臣が答弁された内容の中に私は誤りがあると思います。

 この十月にパキスタンのシャリフ首相は訪米をして、オバマ大統領との会談の中で、紛争の当事国ではないパキスタンにおける無人機の爆撃は主権侵害であり、これは停止すべきだという表明を出しているんですね。にもかかわらず、米国は攻撃を続けている。これは大変に国際的にも大きな問題だと思います。

 米国がこの攻撃を続けている法的根拠、これはどこにあるんでしょうか。

○岸副大臣 米国政府によります無人機による攻撃、これも含めまして、あらゆる米国の軍事行動につきましては、関係法規に従って行われるということが説明されておるわけでございます。

 他方、米国のオペレーションの詳細につきましては、我が方が当事者ではございませんので、その詳細について知り得る立場ではないわけでございます。

 そういう意味で、なかなか確定的なコメントを申し上げる立場にはないということを申し上げさせていただきたいと思います。

○阪口委員 先ほど小川委員の問題提起にもありましたが、我々は人間の安全保障を実現する、そのためのリーダーシップをとっていくということを国際社会に対して約束している立場であります。そして、このような人道的な被害をもたらし、また今、国際社会における大きな問題になっているテーマについて、やはり他人事であるという態度は許されないと思います。

 特に被害を受けた方々、これは補償も全くされないんですよね。アメリカが情報をしっかり公開して、誤爆による、また巻き添えによる被害であるということを明確にして、そして補償する、これは起きてはならないことですが、少なくとも補償する、そういった態度を示さない限り、大変な憎しみ、テロの連鎖、これが起こり得ると思います。

 やはり、日本政府としては、この連鎖をとめるための努力をしていく必要があると思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、先ほど委員の方からシャリフ首相の発言について紹介がありました。

 十月二十三日の米・パキスタン首脳会談共同記者会見におけるシャリフ首相の発言、私も承知をしております。

 ただ、その発言は承知しておりますが、先ほど言いましたように、これまでの経緯ですとか、背景に何があるとか、これは我々十分把握しておりませんので、我が国の立場から、ちょっと具体的にコメントは差し控えさせていただきたい、こういったことを先ほど申し上げた次第でございます。

 そして、こうした無人機の問題につきましては、先ほど法的根拠の御質問もございましたが、まず、今現在、保有ですとか使用を禁止する条約ですとか国際法は存在しないとは認識しておりますが、一般論としまして、武力紛争における戦闘の方法及び手段、これは国際人道法によって規制をされていると認識をしております。

 無人航空機が武力紛争において使用される場合も、同様に国際人道法の適用を受ける、これは当然のことだと認識をしております。

○阪口委員 今、国際人道法について御指摘がありましたが、米国の自由人権協会、これは米国における最も影響力のある人権協会ですが、この団体は、国際人道法は、個人が敵対行為に参加することを阻止する場合を除いては、標的殺害、つまり無人機によって、レーダーで誘導された爆撃によって個人を爆撃する、これは暗殺に近い手法だと思いますが、こういった標的殺害を禁じている。そして、米国が世界のいかなる場所でも疑わしい敵に対する無人機または他の手段による軍事力行使の正当性を主張するなら、他の国が米国内で同様の行為を行うことも正当化される、このように述べております。

 これは、解釈すれば、自分たちの国で他国がこのような行為を正当化するというようなことがあり得ない、あってはいけない以上、アメリカもするなということを米国内の人権団体が表明しているということだと思います。

 この点についてどのようにお考えでしょうか。

○岸田国務大臣 御指摘の国際人道法についてですが、まず、砲爆撃は軍事目標に限られるべきであるという区別原則、軍事目標主義、こういった考え方は考慮する必要があると考えております。

 いずれにしましても、個別の問題については、先ほど申し上げたとおり、ちょっとコメントは控えたいと存じますが、こうした大きな議論が今国際社会で起こっていることについては、しっかりと留意し、そして注目をし、そして我が国としても今後の対応について考えていかなければならない、このように思っています。

○阪口委員 この問題に対する日本政府の今後の方針、これはやはり国際社会の期待に沿うものでなければいけない。そして、その上でのリーダーシップをとっていくということが、私は、日本としての国際社会における存在感の一つの見せ方ではないかと思います。

 女性が教育を受ける権利を主張して、それゆえにタリバンの攻撃を受けたマララ・ユスフザイさん。彼女は、ノーベル平和賞の候補者にもなりましたが、テロリストによって攻撃を受けた立場でありながら、ホワイトハウスにおいて、オバマ大統領に対して、無人機攻撃がテロリズムをあおっている、先ほど申し上げたように、テロの連鎖を生み出しているということを強く訴えました。

 日本政府としては、この問題に真剣に取り組んで、国際社会を引っ張っていく、国際世論をリードしていく、そのような方向性をぜひ打ち出していただきたいと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○岸田国務大臣 御指摘のマララさんですが、これは十月の十一日ですか、オバマ大統領一家と懇談をされ、そのやりとりの中で無人機攻撃に対する懸念を表明し、そして、罪のない被害者が無人機攻撃で殺されており、パキスタン国民の反発につながっています、こういった指摘をしたということは承知をしております。

 こうしたマララさんの発言も含めて、この問題について、今国際社会で議論が行われていると承知をしております。

 ぜひ、そうした中で、我が国としてどうあるべきなのか、真剣に考えていかなければならないと思っています。

○阪口委員 真剣に議論を行っていく上で、基本になる国際法、これを押さえておく必要があると思います。

 先ほど法的根拠ということをお伺いしたんですが、これはちょっと確認をさせていただきたいんですが、一九四九年のジュネーブ諸条約及び追加議定書によると、このようなことが述べられております。

 第一に、戦時に敵意を持った相手を攻撃することは認められているということであります。しかし、無人機攻撃は、敵意や武器の有無の識別が十分ではない可能性が高いこと、これが大きな問題であります。

 そして、仮に標的がテロリストであっても、このジュネーブ条約によると、敵対行為を行っている最中でなければ、過去の行いを理由に攻撃はできないということであります。

 また、テロリストへの攻撃は捕獲が難しい場合に認められていますが、その場合でも警告が必要で、それらの手順を踏まない攻撃は裁判によらない処刑であり得るということであります。

 無人機による攻撃は、当時は想定はされていなかったとは思いますが、このような、ジュネーブ条約に明らかに反すると思われる点を多々含んでいるということもございますので、これは繰り返しになりますが、日本政府として、この点において、人道的な見地から国際社会をリードしていく役割を果たしていただきたいと思いますし、そのことによって、平和に貢献をする、人道上の問題に対して果敢に挑戦をする日本という存在感をぜひ出していただきたいと思います。

 特に、この際に、日本が問題提起をする場は国連であると思うんですね。ぜひ、国連総会に対して、無人機攻撃による民間人の犠牲を懸念し、国際人権・人道法に違反することがない国際ルールの確立、そして、主要国による透明性のある調査、すなわち、無人機攻撃を行う国があったとすれば、まずはその国自身が責任を持って調査をするということを認めるべきであると思います。そして、犠牲者が生じてしまった場合、責任を持って補償をする、これも私は必要な態度だと思います。

 このような、国際ルールを確立するための働きかけをぜひ日本として行うべきだと思いますが、重ねて大臣の考えをお伺いしたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、ジュネーブ条約との関係においての指摘につきましては、参考にさせていただきたいと存じます。

 そして、その上で、こうした問題に対する国際的な議論、しっかり注視をしていきたいと存じます。その上で、我が国の具体的な対応等についても検討していきたいと考えます。

○阪口委員 次に、トルコへの原発の輸出について、私、今回質問するのは三回目なんですが、前回、十分に聞き切れなかったこと、また政府の答弁が十分ではないと私なりに感じたことについて、改めてお伺いをしたいと思います。

 なぜなら、前回の答弁の中には、商業契約がまだ終わっていない、あるいは民間の事業であるがゆえに政府にはわからないというような答弁が多々あったと私は受けとめております。

 しかし、国会においてチェックできる機会というのは、まさに原子力協定への賛否を表明するこの局面だけなんですね。ここから先は、基本的には我々が関与できない、少なくとも意思表示を国会においてするという機会はございません。その中で、にもかかわらず、十分な情報がないままに賛否を判断しなければいけない、これは大変に大きな問題だと思います。

 そういったことを踏まえて、何点かお聞きをしたいと思います。

 さて、三菱重工が中心になって原発の施設、原発のハードをトルコに提供する、この点については私も理解しているんですけれども、この後、この三菱重工、伊藤忠商事、フランスのGDFスエズが、原発事業を運営して、そして国営トルコ電力会社とともに、まさに電力を生み出していく、事業として運営をしていく役割を果たすわけでございます。

 前回も再三確認しようとしたんですが、原発事故が起こったときに、その責任を一義的に負うのは原発の事業者であるということですよね。

 まず最初の質問なんですが、その事業者としての責任の割合というのは、現時点では商業契約の中には定められているんでしょうか。要するに、日本の企業が二社入る中で、どの程度の責任をこの商業契約において日本企業が負担することになっているのか。この点について、政府が把握している状況をまずは教えていただきたいと思います。

○後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今のトルコにおける原発契約でございますけれども、具体的な契約の中身がまだ定まっておりませんので、現段階では不明であるということでございます。

○阪口委員 これは皆さんに、答弁者としての大臣に問題提起をしたいんですが、どの程度責任を負うかが決まっていない段階で、どうやって原子力協定に対する賛否の態度を我々が決めることができるんでしょうか。率直な疑問としてお伺いをしたいんですが、いかがでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、原子力の安全の重要性につきましては、当然のことながら、十分認識をしております。福島原発事故の経験と教訓、これをしっかり国際社会と共有する、高い水準の原子力安全が実現するよう協力していかなければいけない、我が国の立場はそういう立場だということは認識をしております。

 その中で、協定を結ぶことの意味ですが、これは、協定の中で、原子力安全に対する国際的な関心の高まり等を踏まえて、原子力安全関連条約に関する規定を設けるとともに、要するに、協力の分野として、原子力の安全についての協力ということをこの中に規定しております。

 こうした我が国として行う協力、例えば人材育成ですとか、あるいはシステムの構築ですとか、こうした協力を通じまして相手国における原子力発電施設の安全性確保にしっかり貢献していきたい、このように考えています。

 ですから、今の時点で原子力協定を結ぶ意味は、その点が政府の役割として重要だと考えております。

○阪口委員 確かに、まずは原子力協定を締結して、そこから始まるんだというのが政府の立場なのかなと、私は、答弁を聞いていて、あるいは先日からのさまざまな議論の中で感じる次第でございます。

 ただ、先ほど問題提起をしたように、もうここで協定を締結するのか否かという判断をしてしまうと、少なくとも我々は、原発にさまざまな問題があったとしても、国会議員としての態度を表明する機会というのはないわけですね。

 ですから、基本的な協定に対する政府の態度として、さまざまな事情でこの協定を早く結びたいという政府の側の都合はわかりますけれども、しかし、今、原発事故を起こした日本、そして日本を取り巻く状況、海外に対して原発輸出を行うということの意味の大きさを考えると、商業契約の中身がどうなっているかわからない、そして、日本政府が結果としてどのような形で責任を負うのかが明確ではないという段階でこの原子力協定の賛否を問うのは、私は非常に問題があると思っています。

 今、日本政府の責任という点について触れましたが、基本的には、原子力事業を運営する中に日本企業が入っている限りは、もし事故が起こったときに、その責任を日本政府が負う可能性があるというのが私の認識なんですが、その点についてはいかがでしょうか。

 例えば、この責任というのは、企業だけでは負い切れない賠償責任、数兆円以上に及んだ場合に、当然、日本政府がそれを肩がわりするという可能性も生まれ得ると思いますが、この点、いかがでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、先ほども申し上げましたが、原子力協定というのは、政府間、二つの国の政府の間における協力の枠組みを定めるものです。ですから、具体的なプロジェクト、これはもう民間の話ですので、これは協定の中で内容を定めるものではありません。協定と民間のプロジェクトの関係は、しっかり整理しておかなければならないと存じます。

 そして、その上で、もし事故が発生した場合の責任という御質問をいただきました。

 これは、原子力発電所が所在する国が、原子力損害賠償に関する国際条約、どのような条約を締結しているかということによるわけですが、この原子力損害賠償に関する国際条約を原子力発電所が所在する国が締結している場合にはそれに従い、そして、現状、原子力損害賠償に関する条約、三系統ありますが、ウィーン条約、パリ条約、CSC、どの系統におきましても、原子力発電施設において万が一事故が起こった場合の損害賠償の責任は、当該施設の運用者、原子力事業者が負う、こうした原則になっておりますので、この原則に従って物事が処理されることになると考えます。

○阪口委員 事業者が責任を負う、そして、事業者が所属をしている、事業者の国籍にかかわる国が責任を負う可能性、私は、今の答弁を聞く限りにおいても、否定はできないと思います。これはさまざまな道義的責任や、あるいは技術を提供した国として、やはりその修復だとか問題の解決に対する責任というものも生じてくると思います。

 原子力協定と民間の契約の関係、これは私も一〇〇%理解しているんです、もうずっと聞いていますから。

 ただ、原発の輸出という本当に大きな問題において、同時に契約の内容、そして責任の所在、責任の分担、そして政府の責任、ここがやはり明確にならないと、この問題に対する態度の表明が極めて難しい、この認識はぜひ共有をしていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 南カリフォルニアエジソン社が、今回トルコに原発の施設を提供する予定の三菱重工、まさに三菱重工が納入した蒸気発生器から放射性物質を含む水が漏れたということによって、廃炉になりました。

 これは厳格に言うと事故ではないんですね。事故ではないけれども、故障が起こったという事実が明らかになったがゆえに、現地で住民による反対運動などが起こって、トータルの判断で、もうこれ以上原発の事業を続けていけないということで廃炉になったというケースでございます。

 ですから、いわゆる原賠法はここには適用されないということで、蒸気発生器を提供したメーカーであるというだけであるにもかかわらず、三菱重工は四千億円の賠償を求められているというケースが発生をしています。

 三菱重工は、これに対しては不服を唱えて、逆に訴えるというような態度も表明していると私は聞いておりますが、この問題がその後どのような状況になっているのかということについて、まずはお伺いをしたいと思います。

○石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 本件は、先生が言われるように、米国のサザンカリフォルニアエジソン社のサンオノフレ原子力発電所に三菱重工が納入した蒸気発生器から冷却水が漏えいし、結果として、先ほど御説明がいろいろありましたけれども、本年六月に廃炉の決定に至った案件でございます。

 先月、サザンカリフォルニアエジソン社が、三菱重工に、約四十億ドル、先生が言われたように、約四千億円の損害賠償請求を行うために、仲裁申し立てを国際商業会議所に行ったというふうに承知をしているところであります。

○阪口委員 日本政府としては、このような問題に対しては、あくまでも民間企業に対する訴訟であるということで、政府として直接かかわりを持つことがあり得るのか、あるいは、これは日本の原発政策にかかわる重大な問題として、政府として何らかのサポートをしていく考えがあるのか、この点についていかがでしょうか。

○後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに外務省石原政務官から御答弁ありましたように、事象としては民民の紛争処理ということでございますので、これ自身に関して政府が関与する部分はございません。そういう意味では、私どもは三菱重工の対応をウオッチしているという状況にあると思います。

○阪口委員 わかりました。

 最後に、トルコにおいて原発が建設予定であるシノップ市の状況についてお尋ねをしたいと思います。

 この町は、黒海沿岸の、大変に風光明媚な地とされておりまして、観光収入が町にとっては重要な収入であるとも聞いています。また、パキ・エルギュル市長は、二〇〇九年に、原子力施設がここに設置されるということに対して明確な反対の意見を表明して、反対派として選挙に勝って市長になっております。

 日本としては、こういった状況を理解した上で、この地に日本の技術で原発を建設する、また、日本がその原発事業の一翼を担うということであれば、やはりしっかりとした住民に対する説明責任を負うのではと私は考えているんですが、この点について、日本政府はこれまでどのような対応をしてきたのか、現地の人々に対する意識調査、こういったことも含めて、どのような情報収集と対応をしてきたのかということについて教えていただきたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、トルコ政府としましては、地元への説明、理解を得るためにさまざまな努力を行ってきていると承知をしております。

 EUと同じ方式のストレステストをトルコにおいても自主的に実施する意向を表明するなど、原子力安全強化の流れを踏まえた規制運用を図っていると承知をしております。

 そして、国民の理解を得るために、NGOを初めとするさまざまな団体に対し正確な情報提供を行っているという説明を受けておりますし、また、シノップ原発開発地域におきましても、現状は、地域住民から原発建設についておおむね支持を得られている、こうした報告を受けております。

 いずれにしましても、我が国としましては、トルコ政府から求めがあれば、我が国のこれまでの経験に基づく助言ですとか可能な範囲の協力、これはしっかりとやっていきたいと考えております。

○阪口委員 前回の質問でも指摘をしましたが、このシノップは、いわゆる北アナトリア断層、トルコを東西に横切る断層の北部に位置する。実際、シノップの周辺にどのような断層があるのかということについては現在調査中ということであると聞いておりますが、日本政府としては、可能な限りの情報提供と、そして、やはり現地において日本が一翼を担って原発を建設、運営するというのであれば、それにふさわしいさまざまな責任、説明責任をみずから負うという態度も私は必要だと思います。

 日本とトルコというのは友好国でもございます。原発が、日本、トルコの友好関係、信頼関係を失うきっかけ、理由になることがないように、これは今申し上げた現地を含めて、この点について万全の対応をいただきたいと思います。

 最後の質問、そして私からのお願いなんですが、大臣からコメントをいただいて、質問を終えたいと思います。

○岸田国務大臣 我が国としましても、原子力の安全につきまして、しっかりトルコ政府に協力をしていかなければならないと思っています。

 求められれば、しっかり助言も行わなければならないと思いますし、また、我が国の持つ経験や教訓、あるいは知見、技術、必要であればしっかりと提供していく、こうした協力を惜しんではならないと考えます。

○阪口委員 終わります。ありがとうございました。