博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大宋提刑官』その7

2009年11月28日 | 中国歴史ドラマ
『大宋提刑官』第35~38話まで見ました。

嘉州で国庫から20万両もの銀が強奪されるという事件が発生。事態を重く見た皇帝は知州の范方、通判の袁捷のほか、重臣薛庭松の推薦で宋慈も捜査に当たらせることに。(薛庭松は他ならぬ宋慈の岳父です。)通判の袁捷とは同年に進士に登第した仲ということで、タッグを組んで捜査を進める宋慈。しかし国庫の管理にあたっていた公孫健が盗賊団と結託して銀を盗み出したという袁捷の報告に対して次第に疑問を抱くようになり……

ということで、このシリーズの見所は通判の袁捷。思い切りネタバレしてしまうと、彼こそが20万両の銀を盗み出した真犯人なのであります。清廉潔白で有能ではあるが高官とのコネクションが無いばかりに出世できず、なのに文句も言わず黙々と日々の仕事を誠実にこなす清貧の人……と見せかけて実は野心勃勃、目的のためには手段を選ばず、おまけに弾指神通までマスターしているというひねた悪役ぶりに惚れ惚れしてしまいます(^^;) 

彼の妻が夫を評して「あの人は欲しい物は必ず手に入れる了不起な(すごい)人よ」と言ってますが、これが袁捷の人となりを表しているでしょう。

しかし盗み出した銀を何に使うつもりだったのかと言うと、高官への賄賂に充てて出世の糸口にするという夢も希望もない用途なのが何とも…… ここは嘘でも「起義のための資金」とでも答えて欲しかったところです。それとも南宋人にはもう『水滸伝』バリの替天行道は現実味のない選択肢になっていたということでしょうか。ぶっちゃけ、奇跡的に国家転覆できたところで今度は金国とかを相手にしなくちゃいけないと考えるとウンザリしてくるしなあ……
コメント (14)
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